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地獄鶏

 森に入って、五分。森の中は視界が悪く、息もし辛い。自然と息が上がってきた。


「ここの森は、というより大魔境全体が魔素が濃いな。森が通常よりも成長しているのもそれが原因だろう」


 エスターが俺の様子を見て、教えてくれた。魔素が濃いと、魔物が成長しやすいとは聞いたことがある。濃いと、息もし辛いのか。知らなかったよ。

 俺はメーティスで魔物の群れがこちらに向かっていることを察知した。


「エスターさん、こちらにブルーウルフ三十体程の群れが向かっています。どうしますか?」


「ほう。メーティスでの察知か。戦おう。ブルーウルフなら、倒せるか?」


 俺は無言で頷く。ブルーウルフはC級。この程度倒せなければ、未来は無いだろう。


「囲まれる前にこちらから襲いますか?」


「いいだろう。俺も既に奴等を感じている」


 俺は矢を番えると、ブルーウルフが襲ってくるであろうルートに矢を放つ。すると飛び出して来たブルーウルフの頭部に矢が刺さる。

 俺は素早く矢を番えると、三射放つ。その三射は三体のブルーウルフを仕留めた。


「中々の弓術だな」


 エスターがこちらを見て笑っている。その付近には十体を越えるブルーウルフの屍が転がっていた。既に残りはこちらの強さを感じたのか、逃げてしまった。

 エスターは死体をしげしげと見つめると、口を開く。


「見ろ、ブルーウルフの死体だが、皆痩せている。こいつらは大魔境内で十分な飯にありつけてなかったんだ。だから、明らかに強い俺にも襲ってきた。どういうことか分かるな?」


「ブルーウルフは大魔境じゃ、エサにもありつけない程弱いということですね」


 俺の回答に、エスターは頷く。


「そういうことだ」


 C級が、ここの最下層と考えると、溜息しか出なかった。


『周囲一キロメートル以内にA級以上が居る?』

『イエス』


 定期的に尋ねていた質問についにイエスと答えられてしまった。


『S級以上?』

『ノー』


 A級か。


『数は三体以上?』

『ノー』


『二体以上?』

『イエス』


 A級二体か。


『百メートル以内?』

『ノー』


 その後も尋ね続ける。


「西三百メートル先に、A級の魔物が二体。こちらに向かっています。周囲に他にA級以上はいません」


「ちっ。A級か。面倒だな。東に逃げるぞ!」


 エスターの後を追い、逃げる。だが、すぐさま再びA級魔物が引っかかる。数も多い。


「この先にもA級が居ます。数は二体」


「ここは群れの巣だったか……。俺にも察知できたぜ」


 エスターは不快そうに顔を歪める。話している間にも、魔物が木々をかき分ける音が響き渡る。

 森の中を我が物顔で闊歩し、遂に姿を現した。

 一言で言うと、黒い巨大鶏だった。


 だが、全長五メートルを超える体は龍のように鱗で覆われており、真っ赤なトサカが禍々しい。翼も鶏というより、龍に近い。龍と鶏を足して二で割ったような外見である。

 強い。不可思議な外見とは裏腹に確かな強さを感じ取る。A級なのだ。俺は図鑑に載っていた名前を叫ぶ。


地獄鶏(ヘルルースター)だ! 逃げましょう!」

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