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シャロンの思い

 シビルが去った後、ダイヤは不安そうに空を見つめる。


(僕もついて行った方が良かったのかなあ? けど正直大魔境に行くなら、僕も、いやシャロンですら足手纏いだ。最低S級と言われる大魔境に行ける人間なんてそうはいない。シャロンはそれにしても落ち着いているなあ、信じてるんだろうか)


 ダイヤはシャロンの方に目を向ける。

 その目は先ほどの冷静な目と真逆の、怒りで煮えくり返った目をしていた。シャロンは無言でシビル隊の皆から離れ森へ向かう。

 シャロンは付近の木を思い切り蹴り、なぎ倒す。木はそのまま倒れ、大きな音を立てる。


「いったい、上は何を考えているんだ……! なぜ、軍師が大魔境に行かねばならんのだ! ふざけるな!」


 シャロンは理不尽な上の命令に憤慨していた。だが、シビルには全くその様子を見せなかった。


「君は素直じゃないなあ。そんなに心配なら、もう少し、シビルに伝えたらいいのに」


「私が覚醒者であれば、ついて行くこともできたんだ! 私が弱いせいで……そのせいでシビルを危険に晒している。そんな私が、一体何を言える! 私は、自分の弱さが情けない!」


 シャロンは叫んだ。


「本当にね。僕達が強ければ……。強くなるしかないね。第三師団団長のアンジュさんが訓練に参加していいって。行く?」


「無論だ。覚醒者と手合わせできるなら、是非もない」


 自分の弱さに絶望したシャロンは、素直に教えを乞うことにした。更に上を目指すために。




 俺は二日かけて大魔境への国境沿いに向かった。途中多くの騎士の死体と、飛竜の死体が見つける。かなり激しい戦闘があったことがそれだけで分かった。

 国境沿いは鉄でできた分厚い壁が見渡す限り広がっている。その厳重さがそのままローデル帝国がいかに大魔境を危険視しているかを示していた。

 国境沿いに一人、ハルカ共和国の鎧を纏った男が立っている。エスターだ。明らかに浮いている。そして皆から睨まれている。


 あれに話しかけたくねえ~。

 そう思っていたら、こちらに気が付いたのか向かってきた。


「よう。良く逃げださなかったな」


「逃げても仕方ないでしょう」


「俺なら逃げだすね。自殺行為だ」


 誰のせいでこうなったと思ってるんだ。


「俺も誰かさんが余計なこと言わなきゃ行かなくて済んだんですけどねえ」


 とりあえずジャブを放つ。


「すまねえなあ。冗談置いておいてよ、詳しい案内がないと、目的地にたどり着くのは至難の業だ。今回の遠征はハルカ共和国の今後がかかってんだ。お前に迷惑かけるのは悪いとは思ってるが、貸しにしといてくれ」


 と真摯に謝罪された。こういわれると、反論し辛い。


「俺の戦闘能力はオーク以下ですよ……」


「だが、『神解』がある。逃げに特化すれば、そう死ぬことはあるまい。お前が危機を察知して、俺が邪魔者を仕留める。適材適所と行こうじゃねえか。そのために、これを貸してやる。使え」


 エスターはそう言うと、マジックバッグから一足の靴を取り出した。

 それは青く美しい靴だった。澄んだ空をそのまま靴にしたためたように輝いている。革靴のはずが、青い艶が、空のように見えた。

 明らかに価値があることが分かる。

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