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殺しとくか

「あれが……覚醒者」


 俺は小さく呟く。


「なんだぁ? 勢いよくこちらを攻めてきた割には……おとなしいな」


 ヨハンはこちら側を見て呟く。

 奴の辺り一帯に居た人は全て原型をとどめていない。血で真っ赤に染まった地面の上には人間の姿に戻った男一人だけが立っていた。

 ヨハンはぎらついた禍々しい笑みを浮かべ叫ぶ。


「血の臭いだ……たまらねえ! この血と臓物の入り混じった悪臭に……酔いしれる!」


 完全にトリップした顔である。

 ヨハンは再び体を不死鳥に変えると、口から炎を吐いた。

 次の瞬間、百を超える兵士が消し炭になる。


「弱い! 一人残らず、俺が殺してやる!」


「ひ、ひい、助け――」


 本陣に突っ込んだ兵士達は完全に戦意を喪失し、背中を向け逃げまどう。

 ヨハンは軽やかに空を飛ぶと、そのまま縦横無尽に爪を使い、兵士を切り刻む。敵との戦いとはとても言えない、一方的な殺戮ショーである。


「このままじゃ、大隊が全滅するぞ!」


 ただでさえ少ない戦力を失う訳にはいかない。俺は弓を引き絞り放つ。


「付与矢・【雷】」


 矢は一直線に放たれ、ヨハンの大きな翼を撃ち抜いた。


「やったか?」


 俺の呟きとは裏腹に、ヨハンの翼は穴が空いたものの一瞬でその穴は閉じられた。


「不死鳥……」


 俺はただそう呟いた。奴は再生するのだ。あの強さで。ヨハンはたいして気にするでもなく、周りを見渡し俺を見つけると舌をぺろりと舐める。


「お前かあ……良い腕だ」


 目をつけられた! まずい! 殺気がこちらにまで伝わる。


「シビル隊、逃げるぞ!」


 俺は皆に命令をすると同時に馬を駆り、逃げ出した。


「おお、一瞬で逃げ出した。お前、うざそうだし殺しとくか」


 ヨハンは翼を広げ、こちらへ向かってきた。

 こちらの馬よりはるかに速い!


 ヨハンは驚くべき速さで近づいてくる。これは逃げきれない。俺の命の灯がきえそうになっていることを感じる。

 こんな化物達の戦いに参戦したことが間違いだったのだ。

 シャロンは俺の前に立ち、盾を構える。


「諦めるな……私が守ってやる」


「シャロン……」


『シャロンはヨハンの攻撃を受け止められる?』

『ノー』


 目をつけられていない今なら彼女だけでも逃がせるかもしれない。


「シャロン、君は逃げろ」


 俺は馬を駆りシャロンから離れると、弓を引き絞る。

 ヨハンの爪が目前にまで迫る。


「死ね」


「シビル!」


 シャロンの悲痛な叫びが響いた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 敵の覚醒者は、こちらの覚醒者が抑えるはずだったのでは…。遅い遅い。
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