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仕込み

 俺は軍議後、ダイヤを連れて野営地から少し離れた場所でライナスと落ち合う。虎の耳を帽子で隠しているらしく普通の人間に見える。


「ライナス、これ白虎隊用の軍服。これが無いと敵と思われるから着替えておいてね」


「分かりました。が、我々は明日の戦に参加しなくて大丈夫なのですか? 随分戦力差があるように思えますが」


「いや、君達にはやって欲しい任務があるからね。この任務が無いと、こちらは勝てない。それほど大事な任務だ。後、頼んでおいた道具も明後日まで調達しておいて。」


「分かりました。シビルさんが言うなら……本当に起こるんでしょう。俺達は俺達で精一杯やらせてもらいます。道具も、もう隊の者に手に入れるよう動いております。では」


 ライナスは仲間と共に、軍服を持って去っていった。

 白虎隊が居ないのは厳しいが、この戦の勝利のために潜んでもらわねばならない。


「また色々シビルは考えているんだねえ」


 ダイヤはこちらを信じ切った目で見つめてくる。


「ああ。全ては勝利のためだ。そして勝利のために君にこの大穴を埋めて欲しい」


 俺はそう言って、目の前の大穴を指さす。


「なにこれ。凄い深いんだけど……」


「これも勝利のために必要なんだ。人が複数人立っても大丈夫なくらいの硬度で埋めてね。中に土は入れちゃだめだよ。そして、ダイヤが崩せば、一瞬で穴に落ちるようにしてくれ」


「落とし穴? シビルは落とし穴が好きだねえ。僕、落とし穴作るのばかり上手くなっちゃったよ」


 そう言いながらもダイヤは両手を地面にあて、瞬く間に落とし穴を作ってくれた。穴が元から空いている分、簡単に出来上がった。


「よっ! 落とし穴職人!」


 実際、ダイヤはローデルでも有数の落とし穴職人と言えるだろう。落とし穴を無から生み出すのもやたら速い。


「これなら、何人乗っても大丈夫だと思う」


 やっぱりダイヤ、百人乗っても大丈夫! 

 とは流石に行かないだろう。


「助かったよ」


「はいはい。僕は乱戦だとあんまり役に立たないからねえ。こんなことでポイントを稼いでおこうかな」


 俺は穴の出来を確かめた後、ダイヤと共に野営地に戻り眠りについた。




 翌日、太陽が顔を出し始める頃目を覚ます。快晴だ。これから殺し合いが始まるとは思えないくらいに。

 俺は軽鎧に着替えると、朝食をとる。


「ねえ、シビル。そういえば白虎族の人にも声かけてたよね? 姿見えないんだけど?」


 ダイヤがパンを齧りながら尋ねてきた。


「ああ。白虎隊は切り札だからな。別の所に控えさせている。いざとなったら出て貰うつもりだ」


 おそらくメーティスから聞いた情報から今日の出番は無いだろう。彼等には彼等の役割がある。


「なるほどねえ。奥の手って奴な訳ね。後、僕達ってどこの大隊に配属されるの?」


 そう言えば言ってなかった。


「シビル隊は、独立して動いていいってさ。自由に動いて、仲間を助ける立ち位置だな。エルビスさんから許可も貰ってある」


「了解! 特別っぽくていいねえ」


「まあ軍師が率いている特殊な隊だからな」


 左右に分かれた別動隊は昨夜のうちにここを発った。


『別動隊は勝利して挟撃できる?』

『イエス』


 あちらは良い結果が期待できそうだ。

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