合流
本陣には既に主要な人物はそろっているらしい。パンクハット軍総大将であるエルビスさん、バルデン侯爵、そしてバルデン軍の主要メンバーも勢ぞろいだ。
俺は小隊長兼軍師であるため端っこに座っている。
「リズリーか、待っていたぞ」
「バルデン侯爵、お久しぶりです」
二人は再会を喜ぶと、軽く抱き合う。
「久しぶりの再会が、戦争とはな」
「本当に。しかも中々の貧乏くじです」
「境界線付近の領主の宿命とはいえ、嫌なものだ。こちらも随分荒らされた。敵は既にバギー平野に布陣している。おそらく平野での戦闘になるだろう」
バルデン侯爵は嫌そうに言う。敵は二万近い。こちらは一方九千ほどだ。敵は人数差を生かしてごり押しするつもりだろう。こちらは高地を取り戦いたかったが、それは難しい。何と言っても、この平野はだだっ広い。
そして平野の先にはパンクハット領の都市が控えている。あそこを蹂躙されるわけにはいかない。しかも不幸なことに、城壁が殆どなく、籠城戦に全く向かない都市なのだ。
やっぱり城壁って必要だよね。城壁から岩投げて勝ちたい。高さは強さ。
「承知しました。さっそく軍議に移りましょう」
リズリーさんの言葉に、皆が頷く。皆が机の前に集まる。机の上には、バギー平野付近の詳細な地図が置かれている。俺のことを知らない人も居るので、簡単にリズリーさんが紹介してくれる。
「彼が先日の戦いの絵図を描いたシビル君か。今回も期待しているよ」
「バルデン侯爵、お久しぶりです。微力ですが、少しでも貢献できればと思います」
俺は深々と頭を下げる。
「君も気になることがあればなんでも発言してくれ。明日だが、おそらく平野で正攻法での戦いになるだろう」
「敵の総大将、副将はまだ来ていません。今のうちに数を減らせばよいのでは?」
「そう簡単に行くだろうか?」
「こちらも帝国騎士団がまだ来ていないぞ! 第三師団が援護に来るようだが、いつになるやら」
「ハルカ共和国と言えば、虎の子のハルカ宮廷魔術師団だ! 今回の戦でも背後から魔法で攻撃をしてくるかもしれん」
「あれは厄介だった。先に魔術師団を狙うべきだ」
「前方を兵士で固め、後ろに魔術師団を置いて攻めてくるのでは?」
と議論が勃発する。俺は話を聞きながら、明日の敵の戦略をメーティスさんに確認する。





