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なぜ?

 北部は既に混乱の最中にあった。多くの者が我先にと逃げまどっている。

 俺は空を黒く染める大量の魔物を見つける。

 数が多い……! 目算でも五百近い魔物が宙に浮いている。全て魔蟲である。空から人を襲っていた。


「た、助け……」


 今も一人の少年が襲われている。

 俺はすぐさまランドールを構えると、矢を放つ。


「付与矢・【雷】!」


 雷を纏った矢が、少年を襲う蟲の頭を消し飛ばした。


「逃げろ!」


「は……はい!」


 少年は混乱しつつも、必死で逃げていった。


「シビル、いくらなんでもこれは……」


 シャロンが呟く。

 シャロンの言いたいことが分かった。そう、数が多すぎるのだ。今回は事前の準備もできていない。更にシビル隊の者も集まってきてはいるが、まだこの戦場には半分も居ない。


「シビル隊の者、時間を稼げ! 村人が逃げ切り次第、撤退する。それまでは俺達が民の盾になるんだ!」


 俺は大声を上げる。


「「「はっ!」」」


 兵士は気合を入れ直すと、魔蟲に襲い掛かる。

 俺は周囲を見渡し、避難状況を確認する。まだもたついている村人も多い。安全圏まで五分程はかかりそうだ。

 俺はあの魔物達の長を一瞬で察した。他よりひときわ大きい巨大百足が六本の腕で魔蟲達に指示を出しているからだ。


「シャロン、俺とあいつを仕留めるぞ」


「……それしかないだろうな」


 俺はあの化物の強さを肌で感じていた。

 B級のグランクロコダイルより更に圧力を感じる。


『この群れの長はA級?』

『イエス』


 ふう……。どうしてこんな化物ばっかり現れるかね。


「シャロン、こいつA級だ! 無理はしてくれるなよ! 付与矢・【雷】!」


 俺は矢を巨大百足に放つ。百足はそのドリルのような腕で、矢を弾いた。

 今の一撃を不快に思ったのか、百足が俺に襲い掛かる。


「そうはさせん!」


 シャロンは空中の百足へ距離を詰めると、大剣を振り下ろした。その一撃はドリルに弾かれるも、そのまま後方に吹き飛ばす。百足は目線だけをシャロンに向けると、六本の腕でシャロンを狙う。

 シャロンは軽快なステップで、器用に躱していく。だが、伸びる六本腕に攻めあぐねているようだ。


天使の唄(ホワイトソング )!」


 シャロンが叫ぶと、シャロンの体と盾に白いもやがかかる。だが、すぐにそのまま霧散してしまう。


「まだ……駄目か」


 シャロンは顔色一つ変えずに巨大百足に立ち向かう。巨大な盾を使い、攻撃を受け流す。巨大百足は、突如攻撃の方向を変えシャロンの足付近の地面を狙う。

 その一撃で大きく地面が削り取られた。

 それによりバランスを崩すシャロン。その隙を狙い、ドリルがシャロンを襲う。


「付与矢・【龍】!」


 分厚い光線のように放たれた矢が、巨大百足の腕に命中する。それにより大きくずれたドリルが、再び地面を抉る。

 勝てない、そう感じた俺は皆に叫ぶ。


「撤退だ! 各自撤退しながら、南部に逃げる!」


「シビル……」


 シャロンは何か言いたげな顔をしているが、今は聞いている時間は無い。


「逃げるぞ、シャロン。十分時間は稼いだ」


 俺は矢を放ちつつも、シャロンの手を掴み立ち上がらせる。

 逃げ切れるか?


 俺は不安になりながらも、南へ走る。魔蟲達はそれほど俺達に執着することもなくあっさりと逃げることができた。

 なぜだ?

 俺は疑問を持ちながらも、ただ生きるために走った。

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