告げる
結局朝になっても良いアイデアはでなかった。
結局白虎族の皆を救うためには、大樹を含めた感染した木々の伐採と焼却と行うこと、そして彼等に適切な治療を受けてもらうことが必要である。
『治療薬は存在する?』
『イエス』
『この病気について詳しい者はパンクハット領に居る?』
『ノー』
『ローデル帝国内には居る?』
『イエス』
『帝都に居る?』
『イエス』
『帝都の医者?』
『イエス』
どうやら、帝都にまで行かねば分からないらしい。
帝都までは数日。メーティスをつかえば、見つけることもできるだろう。だが、大樹を愛している彼等が、大樹の伐採など認めてくれるだろうか。
だが、認めてもらわねばならない。このままでは、白虎族は後数か月後には全滅しているだろう。
俺は説得のために再び森へ向かった。
森へ向かって、声を上げる。
「おーい、ライナスー。用が会ってきたんだ」
だが、返事はない。しばらくしても返事がないためどうやら本当に居ないようだ。
正直森の村への道なんて覚えていないが、仕方あるまい。メーティスを頼りに進む。
しばらくすると、前方から僅かに音がする。魔物か? と俺は警戒心を高め弓を持つ。
「シビルか? どうしたんだ、こんなところで」
木の葉の間から顔を出したのはライナスだった。手には大きなボアを抱えている。
「皆と話したいことが会ってきたんだ。病気についてだ」
「何か分かったのか?」
ライナスが嬉しそうに大声を上げる。
「ああ。と言っても医者とかに聞いたわけでもないんだ。まず俺のスキルについて説明させてくれ――」
俺はライナスに『神解』について説明する。
「なるほど。それで分かったのか」
「俺を信じてくれ。嘘でこんなことは言わない。後で帝都からこの病の治療法を分かる医者も連れてくるつもりだ」
「疑う訳ないだろう? 俺達のためにしてくれたんだ」
「ありがとう。この病気について族長と話したい。会わせてくれないか?」
「こっちだ」
族長に会うため、村へ向かった。
村に着いた後は、族長の家に案内され座りながら族長がやって来るのを待つ。
流石族長というか、ライナスの家より大きめの家である。
少しすると、ロブが何人か引き連れて現れた。一番後ろにはライナスも居る。
「久しぶりだな、シビルさん。話は少しだけ聞いた。この病気について、分かったらしいな。こちらも正直困ってたんだ。助かるよ」
ロブは笑顔でそう言った。ロブの顔は前より少し青白くて彼も病気に発症していることに気付く。
「すみません。この話は正直白虎族の皆さまからすると受け入れがたい話かもしれません。ですが、話させていただきます。これは私のスキルで分かった話です。病気の詳細はこれから帝都の医者を呼び対応する予定です。この病気はこの森の木々から貴方達に移っています。森の木々も病気にかかっているんです。その大本は……守り神である大樹です」
俺ははっきりそう告げた。
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