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「おお、送ってくれたのか。ありがとよ、ライナス。別れの挨拶ができなかったことが悔やまれるな」


 ロブは頭を掻きながら、ライナスに感謝を告げる。


「別に構いませんよ。ですが族長、無理は止めて下さい。貴方はこの村でも重症なんですから」


「なに、歓迎するなら俺が獲ったボアの肉が必要だろう! ハハッ……ゲホッ!」


 といって豪快そうに笑った後に、大きく咳き込んだ。口元を押さえた掌は真っ赤に染まっていた。


「族長!」


 ライナスが大声を上げる。


「最近の風邪ってのは、思ったより酷くなるもんだな!」


 とロブは笑っているが、ライナスの顔は暗い。明らかにただの風邪では無いからだ。


「休んでいてください。俺が族長の分まで獲って来るんで」


「生意気いうようになったじゃねえか」


 と言いつつも、嬉しそうだ。ライナスは狩りのために村を出た。





 俺は村に戻った後も、白虎族の病気? が心配だった。家の中で一人うんうんと唸る。

 一族皆が同じ病気にかかることがあるのだろうか?

 何か他に理由がある気がしてならなかった。


『森の獣人達の病気は、伝染病?』

『イエス』


 やはり、伝染しているのか。


『その病気は人にも移る?』

『イエス』


 そもそも何が原因なんだ? なぜ白虎族だけが病魔に襲われたのか。


『食べ物が原因?』

『ノー』


『種族が原因?』

『ノー』


『場所が原因?』

『イエス』


 場所? 森が原因ということか?


 病気に詳しくないからよく分からんな。


『木から移った?』

『イエス』


 嘘だろう!? 木から病気になったって……。原因の木がもし大樹だったりしたら……。

 けどまさか大樹が原因ってことはないだろう。大樹は彼等をずっと守ってきて……。そんな大樹が原因なんて、そんな報われないことがある訳が……。


 俺は確認するのが怖かった。

 だが、確認しないわけにもいかない。


『彼等の守り神たる大樹から移った?』

『イエス』


「な……」


 俺は知りたくなかった最低の事実に、口から小さいうめき声が漏れた。


 俺は木が原因なら、その木を切ればよいと思っていた。だが、あの大樹であるとなるとそうはいかない。

 彼は大樹を尊敬し、崇めていた。


『この病気は木間でも感染する?』

『イエス』


『全ての木は既に感染している?』

『ノー』


『大樹から他の木々に感染している?』

『イエス』


 やはり大樹から他の木々に、ひいては白虎族の人達に移っているらしい。

 だが、これは最悪の答えである。

 既に大樹を中心とした百近い木が感染しているらしい。これからもどんどん増えるだろう。


『木を伐採して燃やすことでこれ以上の感染は防げる?』

『イエス』


『この病気は自然治癒可能?』

『ノー』


 これはノーなのか。これはもはや白虎族だけの問題ではない。あの巨大な森の木々が全て感染した場合、ローデル帝国中に広がってもおかしくない。

 どんどん悪い想像だけが広がっていく。

 まずい……。


『この病気は最終的には亡くなる?』

『イエス』


『白虎族の人達で最も重症な人は一ヶ月以上持つ?』

『ノー』


 ノーか。あまり猶予も無さそうだ。


『三週間以上持つ?』

『イエス』


 三週間か……。


『木々の治療は可能?』

『ノー』


 既に侵された木々は治せないのか。


『大樹を残したまま、病気の感染を防ぐ方法はある?』

『ノー』


 大樹を救うことができれば説得も容易だと考えていたが、やはり厳しいようだ。人間用の薬は考えていても、木々の薬までは用意できないのか。

 あまりゆっくりしている時間はない。俺はその後、何が正解か考え続けた。

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