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やるじゃない

 森に潜むルイズは不機嫌な様子を隠しもしなかった。


「怪しいわ。本当に盗賊なんて来るのかしら? そもそもシビル隊なんて私達以外は田舎者の集まり。訓練では強くても、実践では負けるんじゃない?」


「その通りです。我々帝国軍が本当の戦というものを教えてあげねばなりません」


 側についているのは、元々ルイズの家の従者だった男である。ルイズを心配した父が部下を帝国軍に送ったのだ。


「なんで私がこんな田舎の軍に左遷なのよ……しかも上司はよくわからない軍師だし」


 近くの枝を払いながら、不快そうに呟く。


「お嬢様、き、きました! 盗賊達です!」


 その言葉を聞き、ルイズは軍人の顔に戻り観察を始める。


「本当に来たのね……。第四部隊が完全に交戦状態になってから動く」


 ルイズは時間といい、数といい聞いた情報と一致していることに驚く。


「領主軍か? お前ら、皆殺しにしろ!」


 盗賊の(かしら)が叫び、村の守備をしている者達に襲い掛かる。


 だが、南を守備していたシャロンは眉一つ動かさず冷静に命令を下す。


「弓隊、放て!」


 その言葉と共に、大量の矢が放たれる。盗賊達の一部が矢に倒れるも、その勢いは止まらない。

 シャロンは大剣の柄に握り、ゆっくりと盗賊の頭に向けて歩き始める。


「おお、美人が居るな! お前は殺さずに後で可愛がってやる!」


 頭は舌なめずりをしながらシャロンに斬りかかった。

 シャロンは、頭が自分の間合いに入った瞬間に、美しい動作で一閃で首を斬り落とした。


「え?」


 頭の首は綺麗に放物線を描き、地面に転がり落ちる。

 あまりにも無駄のない動きに、周囲の皆も何が起こったのか理解できずに沈黙がその場を支配する。


「弱い」


 淡々と呟いた無表情の美しいその横顔に、盗賊達は恐怖を覚える。


「一人も逃がすな」


 シャロンの言葉と共に、南を守る第一部隊が襲い掛かる。


 数では劣っている第一部隊ではあるが、守備に集中すればなんということはない。既に頭が討たれている敵の動きは精彩に欠けており、第一が押し始めている。


「つ、強いですね……うちの隊」


 ルイズの近くに控えていた男がシャロン達の奮戦を見て呟く。


「い、田舎者の癖に……やるじゃない。このままじゃ戦いが終わってしまう。行くわよ!」


 ルイズの号令と共に、第三部隊が一斉に盗賊達の背後を狙う。


「なっ! 後ろから援軍が?」


「いつから森に潜んでたんだ!? そんな時間はなかったはずだろう!」


 挟撃にあった盗賊達はトップがいないこともあり完全に瓦解した。戦闘が終わるまでは五分もかからなかった。


「副長、北側に援軍に向かいますか?」


「シビルが居るから必要はないと思う。が、念のために向かう。第三部隊はまだ生きている敵の拘束を頼む」


 シャロンはルイズにそう告げると、北側へ向かった。

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