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事業

 俺達は村のはずれにある空き家を借り受けることになった。埃っぽいが、二階建ての立派な家である。

 何も思いつかない。メーティスさんを使ってまだ眠る鉱物を探そうかと思ったがどうやらすべて掘り尽くしたらしい。


「うーん、宝探しでもするか?」


 俺は一階の椅子に座りながら呟く。

 俺が一画千金を探しに行くスタイルだ。だが、これでは一時しのぎにしかならない。恒久的な事業を考えなければならないが、そんなの簡単に思いつくわけがない。


「外出て気分転換でもしよ……」


 俺は席を立ち、外に出る。

 外は雲一つない快晴である。村の外にヒントがあるかもしれない。馬を駆り、周囲をめぐる。基本的にやはり田畑ばかりである。


 田畑を抜けしばらく走ると、綺麗な花畑に出た。一面に黄色い花が咲いており、黄色の絨毯を敷いているようだ。俺は思わず口元を綻ばせた。


「綺麗だ……観光地にでもならないかな? 無理か」


 確かに美しい景色だが、これだけでは金はとれないだろう。綺麗な花畑に後ろ髪を引かれつつ、花を踏まないように慎重に周囲を探索すると、今度は広大な湖に辿り着く。

 直径三キロを超えるだろう、楕円形の巨大湖だ。水は澄んでおり、大小様々な魚が泳いでおり、蛙の泣き声が聞こえる。

 周囲には釣りをしている人も見える。


「魚釣りの店でも建てるか? うーん……」


 これも保留である。素人考えしか出ない。

 湖の周囲を移動していると、森に辿り着いた。


『森入るべからず。魔物も出て危険』


 と看板に書いてある。うーん、これはフリか? フリなのか? たしかこの森も俺の領土だったはず。なら入ること自体は問題はない。

 俺は意気揚々と森の中に入って行った。


 そして、五分後見事に迷子になった。森って本当にどこも一緒に見えるね。どこから来たかも、もうわかんねえや。


「なんかこの木さっきも見た気がするな」


 俺は目の前の木を見ながら呟く。最悪メーティスを使えばいいと思い、適当に歩いたつけである。

 既に日も傾き始めた。これ以上はまずいかもしれないな、と考え始めた頃、上から声がする。


「あっちだ」


 言葉と同時に、木の上から俺の右斜め前に石が飛ばされる。

 俺は突然の声に驚きつつ、木の上を見つめる。


「誰かいるのか?」


『木の上にいる者は敵?』

『ノー』


 どうやら敵では無いらしい。敵なら教えるメリットがないもんな。だが、返事はない。どうやら中々シャイな奴のようだ。

 俺は謎の森の民の言葉を信じ、右斜め前に歩いて行った。謎の言葉は正しかったようで、俺は無事森を出ることができた。


「それはおそらく獣人ですな。あの森は獣人の住処です。こちらから何かしない限り、害はないですよ」


 とのちに村長が教えてくれた。

 だが、この探索には収穫はあった。この村を救う新規事業について閃いたのだ。


「領主としての初仕事だ」


 俺はそう言って笑った。

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