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負けない

 その後俺が何をしているかというと、シャロンの看病をしていた。

 やはり無理して子供を救出したようで、左肩に大きな傷を受けていた。だが、それを顔に出さずにガルシア男爵に子供を届けた後、今回の戦いに参加した。


 傷痕は少しずつ消えていっているが、その途中で熱を出した。相当高熱を出し、ずっと寝込んでいた。


「無理をさせたな、シャロン。今、タオル替えるからな」


 俺は冷やしたタオルをシャロンのおでこに乗せ、取り換える。


「また、定期的に見に来るから」


 俺がそう言うと、シャロンが体を起こす。


「シビル……行くな」


 いつもの減らず口が全くない。どうやら相当疲れているようだ。顔は真っ赤でぼんやりしているのが分かる。


「まだ立ち上がるな。寝てろ」


「お腹すいた……」


 真っ赤な顔で、シャロンが言う。


「もう夜中だからなあ」


「作って」


「え? 俺料理なんて作れないぞ? ダイヤに作ってもらうか?」


「別にシビルのでいい。早く」


「早くって……仕方ないな」


 本当に弱っているシャロンを見るのは初めてだが、普段より随分素直な分断り辛い。

 そして……、真っ赤な顔をして火照っているシャロンはどこか色っぽいのも問題であった。


「ふぅ……作るか」


 俺は簡単にお粥を作ると、シャロンの部屋に持っていく。

 味はなんとか食べれるという感じである。


「シャロン、ゆっくり食べろよ」


 だが、シャロンは手を動かす気配がない。


「……食べられない」


「え?」


「怪我してるから。食べさせて」


「お前……」


 俺が呆れていると、シャロンが下から覗き込んでくる。


「……嫌か?」


 泣きそうな声で言う。

 か、可愛い、だと!? シャロンは普段ツンツンしている分、破壊力が凄かった。一般人なら一発で恋に落ちるだろう。


 だが、俺は落ちない。負けないんだから!

 と脳内で謎の言い訳をしつつも、気づけばスプーンを手に持っていた。

 俺はお粥を冷ましつつ、シャロンの口元に持っていく。


「ん」


 シャロンは無言でスプーンを咥えてお粥を食べる。なんか動物に餌をあげているみたいだ。


「美味しいか?」


「塩味が強い」


 やはりシャロンはシャロンである。


「じゃあやっぱりダイヤに――」


「これでいい。別に食べないとは言ってない。もっと」


「お前なあ」


 俺は呆れつつも、シャロンにお粥を食べさせ続ける。シャロンは文句を言いつつも、綺麗に間食した。

 どこか満足そうな顔をしている。


「お粗末様でした」


「……ご馳走様」


 俺の言葉に、シャロンが小さく返した。普段もこれくらい素直だといいのに。そう思いつつも、俺は笑顔で席を立った。

 翌日のシャロンは昨日のことが恥ずかしかったのか、俺と目を合わさなかった。

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