最終兵器だよ?
カルロ隊は背後を突かれ、前後から襲われることで大きく隊列が崩れていた。既に半壊していた。
「カルロ様、逃げましょう! このままでは全滅です」
「黙れ! こいつを早く殺せ!」
カルロは叫ぶも、部下も皆自分を守ることに必死でとっさには動けない。
「終わりだよ、カルロ」
「おのれええええ、調子に乗りおって! 俺を殺すということは反乱だぞ! いいのか?」
「往生際が悪いな。既に戦争は始まってるんだよ。シャロンを侮辱し、手を出した罪は償ってもらうぞ」
俺は弓を引く。既に不利なことを悟っているカルロが部下に吠える。
「ち、畜生……。俺は貴族だぞ! お前らとは違うんだ! お前ら、盾になれ! 俺は次期当主、こんなところで死ぬわけにはいかないんだ!」
そう言って、部下を蹴とばしてこちらに押し付け逃げるカルロ。
「救いがないな、お前は」
盾になる敵兵を次々斬り裂くシャロン。
「お前ら、かかれ! そんな女一人くらい、囲んで殺すんだよ!」
シャロンは襲い来る敵をものともせずに両断する。
「今回は雑魚隊長に花を持たせてやるか」
と笑うシャロン。どこか嬉しそうだ。
「逃がさないって……言ったはずだぜ?」
俺は弓を引き、カルロの右足を撃ち抜く。カルロはバランスを崩し、そのまま倒れ込む。
「ぎゃああ! 俺の足が!」
「終わりだよ」
俺は近づくと、カルロは絶望した顔で震えあがる。
「ひ、ひい……た、助けてくれ。もう帰るから……。か、金も払う」
あまりの酷さにカルロの部下も動きが止まっている。
「大将って言うのは、往生際ってのが大事なんだ。シャロン」
俺が言うと、シャロンは思いっきり前蹴りをカルロの顔面に放つ。それを受けたカルロは何メートルも吹き飛んだ後、気絶した。
「殺す価値もないよ。縛りあげろ。交渉に使う。このまま、エンデも捕らえるぞ。今逃がすと、面倒になる」
エンデは敗戦を悟ったのか、既に逃亡を始めていた。うちの軍はそれを背後から襲って数を減らしている。勝負は完全に決したようだ。
エンデは部下を盾になんとか逃げようと河を渡っていた。背後からはパンクハット騎士団が襲い掛かっているものの間に合いそうにない。
だが、突如河底が大きく凹み、エンデの馬がバランスを崩し、エンデは河に落ちる。
「なっ! ど、どういうことだ!?」
パニックに陥るエンデ。河の中から、ずぶ濡れのダイヤが出てくる。
「最終兵器だから、良いところは貰うよ! けど、これは中々過酷な命令だよ、シビル。へっくしょい!」
ダイヤは河に潜り、河底を凹ませ時間を稼いだのだ。
最終兵器? であるダイヤのお陰でエンデはパンクハット軍に捕らえられることになった。
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