表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

136/362

私もついて行く

 その夜、俺は屋敷に再び向かう。


「どこにいくつもりですか、アンネさん」


 思いつめたような顔で、外に居たアンネ。


「シビル……。散歩よ、ただのね」


 だが、その顔を見れば目的は想像がつく。


「クラントン伯爵を直接狙うつもりですね。いくら貴方でもそれは流石に無理だ。警戒されているうえに、周囲は手練ればかりです」


 ブランの暗殺で、敵は暗殺を警戒しているだろう。無駄死にになる可能性は高い。だが、冷静な俺の指摘はアンネの心には届かなかった。


「あんたに何が分かるのよ! 負けたら、パンクハット家の皆も、リズリー様も死んでしまうのよ! 私は……リズリー様のためなら命も何も惜しくない。ただ、生きてくれたら……」


 アンネはそう言って、涙を流して蹲る。その姿は暗殺者ではなく、ただの少女そのものである。


「俺が必ず勝たせる! だから何も心配するな。おとなしく、戻ってきたリズリー様を歓迎する準備でもしておけ」


「何を言っているのよ! 勝てる訳ないでしょ! どれだけ戦力差があると思っているのよ。こんなの勝てる訳ないわ……」


 アンネはそう言って、泣きじゃくる。 俺のような来たばかりの軍師の戦略では安心できなかったのだろう。まだパンクハット家内での信頼を得られてないのを実感する。


「俺達はクラントン伯爵如きの軍にはやられたりしねえ。だから泣くな」


「……私もついて行く」


「え?」


 思わぬ言葉に思考が止まる。


「あんた、今からガルシア男爵家に行くんでしょう? その後は戦場でしょ? 私も戦場でリズリー様をお守りするわ。男装するから連れて行きなさい」


 確かに、アンネは強いかもしれないが、暗殺者が戦場で活躍できるのだろうか。だが、断れる雰囲気ではない。その目には命に代えても主君を守るという強い意志を纏った女の姿があった。


「……分かった」


 それにしても、愛する人を守るために祈るヒロインは要るだろうが、敵を暗殺しに行くヒロインが未だかつていただろうか。

 男装したアンネ、ダイヤ、シャロンと少数の兵を連れて、俺達はパンクハット領を発った。

お読みいただき、ありがとうございました!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、


『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると嬉しいです!


評価ボタンはモチベーションに繋がりますので、何卒応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  『復讐を誓う転生陰陽師』第1巻11月9日発売予定!
    ★画像タップで購入ページへ飛びます★
html>
― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公のために盗賊の脳をいじって廃人にしたヒロインは知っています。都市一つを洗脳もしてましたよ。
[一言] >それにしても、愛する人を守るために祈るヒロインは要るだろうが、敵を暗殺しに行くヒロインが未だかつていただろうか。  哀しいことに、なろうには結構いるなあ。  然し、レイプ描写は犯罪の原…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ