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めっちゃ武闘派ですよ、彼女

 遂に、雪が降る季節がやってきた。開戦の十日前、軍の主な幹部八人を揃えた軍議がリズリーさんの屋敷で行われる。俺は幹部では無いが、軍師であるため、特別に参加している。


「軍についての報告事項だが、バルデン侯爵領内で賊が暴れている。そのため十日後の賊討伐に関して援軍要請の連絡があった。こちらは騎兵千を送る予定だ」


「クラントン家の奴等が不穏な動きをしております。この時期に千の騎兵を送るのは危険では?」


 リズリーさんの意見に幹部の一人が意見を言う。


「クラントン家の動きは俺も聞いている。だが、寄親の危機だ。無視する訳にも行くまい。賊討伐の四日前に、クラントンの侵攻ルートにある砦の兵を演習目的で移動させる」


「わざと攻めやすい隙を作るのですな?」


「そうだ。それに乗ってこなければ仕方ない。賊討伐の日がばれないように祈ろう」


「……承知しました」


「皆、戦の時は近い。警戒しろ」


「「「はっ!」」」


 こうして、幹部が全員出ていった後に、俺はリズリーに声をかける。


「釣られますかね?」


「エンデ・クラントンは馬鹿ではない。この直前に砦の兵が演習など見え見えの罠にはかからん。むしろ、演習は囮で賊討伐の情報を掴み、その日を狙ってくるだろうな」


「賊討伐の日こそ、我等が決戦の日と考えているとも知らずにですね」


 バルデン侯爵から出ている賊討伐は真っ赤な嘘である。金を払い、バルデン侯爵から実際に賊討伐依頼を周囲の貴族にお願いしてもらっている。

 討伐に出したと思わせた千人の騎兵は決戦の地に伏兵として隠れて貰う。


「裏切者が、エンデに伝えてくれることを祈ろう」


「自分が、偽の情報を掴まされているとも知らずに」


 俺達はスパイである裏切者に偽情報を掴ませ、本番を待つ。

 俺達は会議を終え、部屋を出る。


 廊下を歩いていると、アンネに出会う。既に怪我は治っているように見えた。


「アンネ、いつもありがとう」


 リズリーさんが掃除中のアンネに言う。それを聞いたアンネが俺に目線を送る。

 おいおい、俺は何も喋っちゃいねえぞ!


「詳細は知らないが、最近君がなにか動いてくれているのは感じていたよ。僕のために動いてくれていたんだろう?」


 それを聞いたアンネは、ああ……やっぱりリズリー様は私のことをよく見て下さっている、とうっとりとした顔をしている。

 いいのか、それで。


「はい! 最近は軍師シビルの元で少しでもお役に立てるように手伝いをしております。ですよね、シビルさん?」


「ああ、そうですね。はい」


「そうか。シビル、あまりアンネに無茶はさせないでくれよ。彼女は君と同じで戦いなんてとてもできる子じゃないんだ」


 いやー、めっちゃ武闘派ですよ。彼女。なんならあんたより強いよ多分。言えないけど。


「大丈夫です。危険な事はしてませんので。準備とか簡単なお手伝いだけです」


 トップクラスに危険なことしとるやないかい! 

 突っ込んではいけないのが辛い。


「ならいい」


「リズリー様、私は今でもリズリー様が母のためにしてくださったことを覚えておりますよ」


 にっこりとアンネが笑う。


「そんな子供の頃の話、覚えておらんな」


 リズリーは表情も変えずに言う。

 それをみてもアンネは微笑んだままだった。

 リズリーが去っていった後、俺はアンネを見つめる。


「何よ?」


「別に」


 アンネが少しだけ思いつめた顔をしていたのが気になった。

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