末路
ハイルは幽鬼のようなボロボロの姿でふらふらとロックウッド領に辿り着いていた。三千人居た兵士も既に五百をきっている。周囲を守っている兵士も十人ほどだ。
(ち、畜生。あのクソ野郎。必ず復讐してやる! 俺を生かしたのは傲慢だったな。必ずあのゴミの首を取って、外につるしてやる)
ハイルはシビルへの憎しみを原動力になんとか意識を保っていた。
「もうすぐ家だ、ハイル。まずは怪我を癒し、その後ゆっくり復讐すればよい。奴め、何がロックウッド家は終わりだ。儂とハイルが居る限り終わるわけなかろうが」
レナードも足を引き摺りながら歩いている。ようやく自分の屋敷に辿り着く。
「分かっております、父う――え?」
ハイルは燃えてすっかり灰になっていた自分の屋敷を見て言葉を失った。大きな庭は荒らされ見る影もなく、塀も破壊され多くの人が侵入した後があった。
「ど、どういうことだ! 残した兵士は一体何をしておったのだ!」
レナードも屋敷の惨状に驚きを隠せない。塀の中を見ると、騎士達が血塗れになって倒れている。
それを見て自領の危機を感じ取ったレナードの元へ血塗れの騎士が現れる。
「の、農民の反乱です。今までとは規模も違い、何か他の者の手引きも感じられ、ます」
騎士はそう言うと、そのまま倒れ込んだ。
「またか、ゴミ共め! 今度こそ全滅させて――」
ハイルは怒り狂うも、レナードが止める。
「一度逃げるぞ。儂もお前も今は戦えんだろう。騎士も今は十人程しかおらぬ」
「……は、はい」
レナードが逃げようとするも既に遅かった。既に周囲には憎しみに塗れた農民達に囲まれていたからだ。
「よくも父さんを!」
「うちの息子を殺してくれたな!」
皆、殺意に溢れた目でハイル達を睨みつける。親族を殺された者達だった。
農民達は一斉に襲い掛かる。
「農民風情が……腕が使えないからと言って、お前ら如きに負けるか」
ハイル達は少数にも関わらず、多くの農民を仕留めた。だが、多すぎた。ハイル達が思っていたよりも憎しみは広がっていた。
「死ねェ!」
背後から襲い掛かった青年の剣が、ハイルの心臓を貫く。ハイルはそのまま血を吐いて倒れ込んだ。
レナードも既に息を引き取っていた。
こうして、ロックウッド家は農民の反乱という形で滅びることになる。
完全に灰になった屋敷から一人の老人が姿を現すと、そのままレナードの死体の元へ向かった。
セバスである。セバスは悲しそうな顔で語りだす。
「やはりこうなってしまいましたか。私は家来失格でしたな。シビル様を追い出した時からこうなると思っておりましたから。この首を失う覚悟で止めればなんとかなったのでしょうか。私も命を狙われる前にここを去ります。今までお世話になりました、旦那様」
セバスは深々と頭を下げた。セバスは危機を事前に察知し、屋敷の使用人は皆避難させていた。だが、屋敷を襲う農民を止めようとは思わなかった。
セバスはそのままロックウッド領を去ってどこかへ消えてしまった。
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