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味方からの攻撃が一番効く

翌日、朝から俺はメーティスに尋ね情報を得る。


『二つの騎士団は連携を止めた?』

『イエス』


 その返事を聞き、俺は遂に相手の不仲が決定的になったことを感じる。


「ドルトンに報告もして……。仕上げと行こうか」


 俺はそう呟くと、敵陣に向かった。敵陣に入るのは中々の危険行為である。メーティスに細かく尋ね、時間をかけてゆっくりとたどり着く。

 敵陣近くにまで移動し敵の姿を確認すると、服を着替え始める。帝国軍服を脱ぎ、ロックウッド軍の服を羽織った。


 亡くなった敵の騎士から頂いた物である。少し血はついているが、最も綺麗な物を選んだ。


「いやあ、騎士道の欠片もないね。けど、もっと仲たがいしてもらいたいんだよね。敵としてお互いを警戒するくらいね」


 俺は遠くから二つの騎士団の様子を伺う。昨日、ミスリル鉱の情報を末端にまで流したおかげか、お互いの雰囲気は最悪だ。他にも様々な情報を流した甲斐があった。しばらくずっと観察していると、ようやく小競り合いが起きている所を発見する。

 ロックウッド軍側から近づき、話を聞く。


「お前ら、ミスリルのことを隠してやがったなんて……なんて意地汚ねえんだ。だから皆やられるんだよ!」


「なんだと! お前らこそ、あちらと手を組んでやがるらしいじゃねえか! 強いからじゃなく、卑怯だからだろうが!」


「下らねえ言いがかりをつけやがって!」


 徐々にヒートアップしている騎士達。遂にマティアス軍の一人が、相手の胸倉を掴む。


 俺は無言で離れると、ロックウッド軍側から弓を引き放つ。その矢はマティアス軍の騎士の右肩を貫いた。


「こいつら、遂に本性を現しやがった! やっぱり裏で繋がってやがったんだ!」


 マティアス軍の騎士が剣を抜く。遂に小競り合いが戦闘にまで発展する。俺はその様子を眺めつつ、すぐさま踵を返す。


「汚くてすまないね……」


 俺は小さくそう呟いた。小細工で少しでもこちらの犠牲が減るならば、俺はそれをするだろう。

 きっと王道ではない。だが、王道で勝つことができるのは、大きな力を持っている故だ。


 俺は服を着替えて、帝国軍の陣地に戻っていった。





 昼前には再び戦闘が始まった。前日に敵の情報を味方に伝えていたせいか、こちらの方が押している印象を受ける。


「良い感じだ」


 俺は本陣の天幕の中で各地からの報告を聞く。どこも良い報告が多い。


「押しているな。私も出るぞ」


 シャロンが勝報を聞き、うずうずしているようだ。


『シャロンを前線に出しても良い?』

『イエス』


 心配だが、ずっと閉じ込めておくわけにもいかないか。


「ああ。シャロン、行ってくるといい」


「メーティスに尋ねたな? 安全な戦というのもつまらないが……行ってくる」


 シャロンはそう言うと、天幕を出て、帝国騎士団に合流しに行った。


「僕は残るよ。今日は出番はなさそうだしね」


 ダイヤは天幕内に座りのんびりとしている。

 うーん……ダイヤも向かわせた方がいいかな。


『ダイヤも行かせるべき?』

『イエス』


「ダイヤ、付いて行って手伝ってやってくれ」


「……そう言われる気がしたんだ」


 ダイヤは少し嫌そうにシャロンの後を追った。その後すぐ天幕内に味方の騎士が報告にやってきた。


「シビルさん、左通路の戦いはこちらが押しており、敵は撤退したようです」


「そのまま、押し込んでもらってください。敵に罠はありません」


「分かりました! すぐに伝えます!」


 その騎士は足を強化するスキルだったのか、人とは思えない速度で左通路に戻っていった。


「じわじわと押してきてるな。戦力差もだいぶんなくなってきた」


 俺は日々、押している自軍の成果を聞きながら安堵の息を漏らした。

 今日は俺が戦場に来て八日目。メーティスの話じゃ十日目にこの戦が終わる。決着も近づいてきている。

 だが、俺はきっとこの雰囲気に酔っていたのだ。自分の力で何千という人が動くこの状況に。

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