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挟撃

 ラーゼ軍の一部は再び日が上る少し前から、鉱山の穴に潜っていた。


「これも、うちの密偵の情報ですか?」


「ああ。敵は共同戦線を張り、うちを挟撃するつもりらしい。ここの穴は複雑らしくてな、この穴は敵陣の近くにも繋がっているようだ。そこから敵は侵入しうちの部隊の後ろを狙うつもりだ」


 指揮官はランタンに火を灯しながら先に進む。穴は入り組んでおり、いくつも枝分かれしている。


「これは……迷ったら出れそうにありませんね」


「元々鉱物を掘るための穴なんだ。いつ崩れてもおかしくない。気をつけろよ。俺達は左の穴に入り、マティアスを待ち伏せする」


 指揮官の目線の先には、二つの穴がある。マティアス軍は右側の穴からやってきて帝国軍を背後から狙う予定らしい。


「別動隊は穴の出口付近にもいる。挟み撃ちだ」


 前日の勝利ですっかり情報を信用していた騎士達は汚い鉱山の穴にも文句を言わずに光を消し敵の侵入を待っていた。

 一時間以上が経過した頃、右側の穴から人の気配を感じ始める。しばらくすると、鎧の当たる金属音が聞こえてくる。マティアス軍だ。


「大丈夫ですかね? これもばれてるんじゃ……」


「馬鹿言え。この作戦は昨日の夜上で決まったことだ。漏れる訳がないだろう。俺も朝まで知らなかったんだからな」


 別動隊の指揮官が部下を叱りながら、歩いていく。その様子を見たラーゼ軍は無言で後ろを狙う。

 無言で後ろから襲い掛かるラーゼ軍。


「なっ! これもばれていたのか! なにかがおかし――」


 指揮官は最初に首を飛ばされる。

 それと同時に、出口付近からも別動隊のラーゼ軍が襲い掛かる。前後から狭い穴の中で襲われたマティアス軍はすぐに全滅した。


「マティアス軍は脆いですね!」


 すっかり勝利に酔い知れている新人騎士。


「いや、罠をかけるつもりの人間は、自らが罠にかかると脆いものだ。お前も知っているだろう?」


 この間、見事に敵の罠にかかりこちらは千人近い仲間を失っていた。


「そうでした……肝に銘じます」


「良い心がけだ。油断した者から死んでいく職業だからな俺達は」


 その後、挟撃できると意気揚々と襲ってきたロックウッド軍と激しい攻防を繰り広げる。全く助けに来ないマティアス軍に、違和感を感じたロックウッド軍の指揮官は早めの撤退を行ったが正しい判断と言えるだろう。

 その日は前日よりも控えめな戦いであったが、連合軍の方が大きな被害を被っていた。

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