【称号】 キノコ博士を手に入れた
商人ギルドも、中央通りに建っていた。
中は冒険者ギルドより落ち着いており、皆穏やかに笑顔を貼り付けて話している。ネオンは受付嬢に声をかける
「ホワイトオパール茸の買取をお願いするわ」
ネオンは若干どや顔で言った。だが、それを聞いた受付嬢は少し困ったような顔をする。また子供が一獲千金を夢見てホワイト茸を採ってきたわ、と言わんばかりである。
「ホワイトオパール茸は鑑定が必須になります。鑑定料も一本200Gですが大丈夫ですか?」
割と高いな。殆どの者はおそらくただのホワイト茸をもってくるのだろう。大量の無意味な鑑定を防ぐために価格を上げているのかもしれない。
「大丈夫よ」
その言葉を聞いて、困った子ねと言わんばかりの顔をした後、鑑定官を呼びに後ろに下がっていった。
「全く信じてなかったな」
「そうね。けど、その鼻を明かしてやるのよ!」
そう言って笑うネオンの顔は悪戯好きの少女そのものだった。戻ってきた受付嬢の後ろには眼鏡をかけた三十代の男が控えている。おそらく彼が鑑定官なのだろう。
「それで何本持ってこられたのですか?」
「四本よ」
「四本!?」
受付嬢が驚きの声を上げる。そんなに驚く事でも無いと思うんだが。
「す、すみません。皆さん百本単位で持ってこられますので……」
なるほど。確かに鑑定できないなら、大量に持ってきて確率を上げるしかない。ギャンブルに近いな。
鑑定官に至っては全然稼ぎにならんな、と言わんばかりの顔だ。
「それでは失礼します……なっ!」
鑑定官が鑑定を始めてすぐ、大声を上げる。
「ほ、本当に……ホ、ホワイトオパール茸だ!」
鑑定官が驚愕している。だが、衝撃はまだ終わらない。
「こ、これも! これも! こここ、これも! ぜ、全部、本当にホワイトオパール茸だ!」
鑑定官が衝撃で震えている。それを聞いて、受付嬢も驚きの顔を見せる。
「本当ですか? 今までオパール茸のみを持ってきた人なんて一人もいなかったじゃないですか」
「私も信じられません。間違いかと思って、何度も鑑定しました。だが、本当なのです」
何か、恐ろしいものを見るような目でこちらを見ている。受付嬢も信じられなかったのか、後ろに下がり、もう一人鑑定官を呼び始めた。
信用がないのが、悲しい。
だが、これは紛れもない本物。もう一人の鑑定官も本物だと言い、ようやく信じて貰えたようだ。
「当り前でしょう!」
ネオンが堂々と胸を張る。
「大変失礼いたしました。こちら買取金2,000,000Gになります。鑑定料はサービスいたします」
受付嬢は素直に頭を下げる。
「別に大丈夫ですよ」
笑顔で応える。
「凄いですね! 未だに見分け方が判明していなくて、鑑定でしか見分けられないのに! 鑑定持ちですか?」
やっぱり聞かれるか。どうすべきか。
「彼はキノコ博士なのよ!」
ネオンが突然返事をする。
「キノコ博士? 見分けられるんですか!?」
「それは秘密よ!」
それを聞いて周りがざわめき始める。
「彼はキノコ博士らしい」
「ホワイトオパール茸を見分けられるんだって?」
「本物じゃないか……」
「凄いな……。きっと王都でも著名な博士に違いない」
どんどんネオンのデマが広まっていく。こうして俺は商人ギルド内でキノコ博士として認知されるようになってしまった。
商人ギルドを出て、ネオンに半分である1,000,000Gを手渡す。
「とりあえず、半分ずつで」
「いいの? 作戦は私だったけど、主に活躍したのはシビルよ?」
「こういうのに差をつけると後々しこりになるもんだ。それに、作戦が無ければ俺達はこの金を手に入れることは無かった。それは正当な報酬だ」
俺の言葉を聞いて、ネオンがにっこり笑う。
「ありがとう、シビル! 私シビルに会えて良かったよ!」
「俺もだよ、ネオン」
こうして俺達の初仕事は成功に終わった。その夜は命がけの冒険をしたせいか興奮してあまり寝れなかった。だが、心はどこか満たされていた。
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