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ここどこよ?

オレは今告白した相手に振られに振られて、ここに居る。

通算50連敗、もう生きてても意味なんてないのかもしれない。

こうなりゃもうヤケだ。オレは通い慣れた校舎の屋上から飛び降りる。 

普段ならグダグダと逡巡するだろうが今日のオレはそれも気にならない程度にはやけっぱちになっていた。

フェンスを乗り越え、屋上の端に行く。

部活動をやっている連中も練習に熱中してるのかオレには気づかない。

オレはそのままフラリと自由落下に身を委ねた。

地面が近づく、もう終わるんだなと実感しつつ記憶の最後に残ったのは、地面に突如として現れた謎の魔法陣だった。


「ねー、見て見てこのネイル可愛くなーい?」

「ぇ〜いいじゃん。どこでやったの?」

「ぁの新しく開いたとこ〜」

「ぇ〜どこどこ〜?」

「あ、じゃぁ今度一緒に行かね?」

「ぇ、いいのぉ〜行く行く〜」


気がつくと、見たこともない大きな建物の中、その中央に出ていた。

ここは何処だ?話し声が聞こえる…。

しかし何故か、体は動かない。


「あっ、ねぇねぇなんか成功してね?」

「えっ、マジ?マジだ…」

「でもぐったりしてんじゃん、どする?」

「とりま医務室連れてきゃよくね?」

「おっけー」


そんな言葉を耳にして、オレの意識は落ちていった。


……目覚めると、そこは白い部屋だった。

「ぁ、起きた〜?」

横を見ると何やら修道服を着たチャラめな女がいた。

ぱっと見は服装以外一昔前のギャル風。といってだいたい思いつくそれだ。

「キミは?」

「ぇ、あーし?あーしは見ての通り神官ちゃんよ」

は?神官?

「いや、神官ってもっとこう…堅物そうと言うか…なんて言うか…」

彼女は少し考えるように沈黙し、思い当たる節があったのか「あ〜」、と言うと続ける。

「あー、なんか昔はそうだったみたいねー。でもあーしの知る神官ってったらコレだしー?なんかー、大昔のね?勇者様の仲間の神官、まぁウチらの開祖様なんだけどー、それがこんな感じだったんだってー」

えー……。ギャルが神官だったんかい…。なんか意外…。

「なんだかイメージとのギャップが…」

「ま、そのうち慣れるっしょ」

しかし、気になることはまだ聞けてない。

ここは何処なのか?なんで自分は呼ばれたのか?彼女たちの目的は?

次々に出て来る疑問をひとつひとつ聞いてみる。

「んー、まぁここはルギャル法国っていうとこでー、どっかの国につくってことは基本無いのね?んでー呼んだ理由なんだけどー魔王?を何とかして欲しいーってことらしいのね?まー、あーしらもマユツバだったんだけどね」

魔王。その言葉を聞いてオレは昔ながらの国民的RPGを思い起こす。

「えーっと、それじゃあオレは勇者?ってことになるのかな?」

「んまぁそだねー」

にしては態度というか、緊張感と言うか、ノリというか、そう言ったもんが軽いなぁ。

「えっと、じゃあ魔王の居場所ってもう分かってたりするの?」

「いやーそれがさー。わっかんないんだよねー。ウチらのとこに伝わる聖典によるとー、千年前?に現れた勇者が魔王城ごと海に沈めたって話だけどー嘘くさいよねーウケる〜」ケラケラ

「いや!伝承伝える側がそんな疑心暗鬼でいいわけ?」

「つってもねー。そう言うのって時代が下るにつれて色々盛られたりとかふつーにあるし?むしろ全部丸呑みするのなんて子どもくらいなもんしょ?」

「あっ、じゃああれは?エルフとかそう言う長寿っぽい種族は何か知ってたり…」

「しないと思うよー?アイツら基本森にこもってるし、しかも森の中で生活とか完結出来る結界魔法?っての使ってて特に出なくても不自由ないみたいだしー?」

いや、ちょっと待て。

「それじゃあ魔王を何とかして欲しいって言うのは?」

「あーそれねー、なんかー魔王が現れる予兆?的なのが出て来ててー危ないんじゃね?ってなってーそれじゃあ勇者呼んで実際に居るのかとか、いたらいたでその処遇とか含めて何とかしてもらおって感じでー」

世界の命運丸投げかい。

「ちなみにその予兆って?」

「あーなんかー海が荒れたりー、大雨が続いたりーそんな感じ?まぁ誤差としては百年とかずれ込むこともあるみたいだけどー」

「いやざっつ!」

「まぁ、聖典なんて基本もったいぶるって言うかところどころ曖昧だしねー。ちょっとムカつくよねー」

「いや、それについてはなんとも言えないけども、ってか百年って」

「まぁ一応他国にも伝えてあるけどー、ウチらの喋り方ってー、よその王様とか騎士様はーなんかイライラさせちゃうらしいのねー?だからどこまで信じてもらえてるかって、実際わかんないんだよねー」

えぇー、何それー?

「とりまメシにすんべ」

あっ、っていうか

「なんで言葉通じてんの?」

オレがそう言うと何やら面倒くさそうなのを隠そうともしない神官は

「えー?今更ー?」

と呆れながらに言い

「神殿ってー、一応色んな国の人とかくるじゃん?だからそれで面倒がないようにーって翻訳の術式張ってんのー」

わかったー?と言う神官は腹が減っていたのかズンズン進んで行く。

これだけ大きな部屋がある建物だ。

全体像はきっともっとデカい。

そんな建物内で迷子になんてなったら困りまくる!

オレは神官を名乗る女性を見失わないようにその後に続くのだった。

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