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3.宿屋の娘 カリン

「んっ……? あっ、あれれ?」


 ビクリと身を震わせて、女の子が目を覚ました。


「あの、私……」

「おう。良かった、起きたか」


 悲鳴を上げられたら大変だ。

 さも当たり前のように話しかけよう。

 視線は上……視線は上……。


「あ、はい。あの、これは、いったい?」

「うん、順番に話そうか」


 女の子がポイズンスパイダーに追われていたところから、順番に話していく。


「わぁ、それじゃ、お兄さんが助けてくれたんですね!」

「うん、まあね」

「ありがとうございます!」


 湯船からザバッと立ち上がり、女の子が抱きついてきた。

 それはまずい。その格好で、それは色々とまずい!


「分かった分かった。ところで、君の名前は?」

「はい、まどろみ亭の娘で、カリンといいます」


 カリンは、屈託のない笑みを浮かべて俺を見る。

 うはぁ、可愛いなぁ。


「俺はリク」


 小坂陸(こさかりく)が本名だけど、ここはゲームの名前で通そう。


「リクさん……。助けていただき、ありがとうございます」


 カリンはにっこりと笑ってお辞儀をした。

 明るめの茶髪で、ちょっとカールしたセミロングヘア、前髪は真っ直ぐ切り揃えている。

 幼い顔立ちで、くりくりとした目がとても可愛らしい。

 肌は真っ白く、むっちりとした体つきで、出るところはちゃんと出てる。


 まどろみ亭と言えば、『始まりの街』にある宿屋だ。

 ハンナさんっていう、すごい綺麗なお姉さんが女将さんやってるんだよ。

 酒場も併設されていて、冒険者のたまり場になっているお店だ。

 クエストの情報収集で、NPCと話すために行ったなあ。


 ということは、カリンはハンナさんの娘ってことか。

 そういえば、酒場を駆け回ってる女の子がいたなあ。

 でも、NPCのはずなのに、すごく自由に動いてるんだな。

 決まった台詞を話して、決まった場所にしかいなかったのに、いったい何が起きているのか。


「リクさん、強いんですね!」

「ああ、うん。それなりに……ね」


 カリンは無邪気な笑顔で、俺にしがみついている。

 何も着ていないから、とにかくやばいぞ。


「もう傷は大丈夫みたいだね」

「え? あ、そうですね……。ところで、私はどうして裸なんですか? なんでこんなところにお風呂が……」

「それは俺のスキル、温泉だよ。このお湯に入れば、どんな傷もすっかり治ってしまうんだ」

「すごーい! そんなの初めて聞きました。リクさん、すごいんだなあ」

「とりあえず……服を着ようか。あちこち破れてたから直しておいたよ」


 目をキラキラ輝かせるカリンが眩しい。

 服を着てないから余計に眩しい。

 俺は目を逸らしながら、カリンに服を渡した。


「わぁ、可愛い~。リクさんって、クラフトマンなんですか」

「えーっと、一応、グランドマイスター」

「えええっ! すっごい! 私、初めて会いました……」


 クラフトマンというのは、製作職の初期名だ。

 レベルが20上がるごとに、一次転職でクラフトマスター、二次転職でブラックスミス、そし三次転職でグランドマイスターとなる。

 三次職というのは黙っていたほうが良かったかな……。


「まあ、とにかく服を着ようよ」

「はい! あれ? これ、下着ですよね」

「うん、素材が余ったから作ったんだ」

「いいんですか? こんな高価なもの……」


 恐る恐るカリンが聞いてくる。


「え、下着って、そんな高いものなの?」

「そうですよ! こんな高いの、いただくわけには……」


 いや、いただいてもらわないと、目のやり場に困るんだ。

 お年頃な感じだけど、恥ずかしくないのかな。


「大丈夫だよ。元はカリンちゃんの服から作ったものだし、遠慮なく使って」

「そうですか……? なんか申し訳ないです。ありがとうございます」


 カリンはにこにこしながら、いそいそと下着を身に着けていく。

 上から着るのか……せめて下から……いや、どっちでも変わらないか。

 俺が目を逸らしている間に、カリンはようやく服を着てくれた。


「わぁ、ぴったりです。素敵~」


 ワンピースを着たカリンが、くるりと一回りした。

 うん、ピンクと白を基調としたデザインが可愛いな。

 編み上げサンダルも、ぴったりのサイズのようだ。

 ゲーム中で作った装備品は自然と体型にフィットするんだけど、現実でもそうなって良かった。

 まあ、もう何が現実なのか、よく分からない状態なんだけどな。


「リクさん、助けていただいて、ありがとうございました」

「たまたま通りがかって良かったよ。夜で危ないし、街まで送ろう」

「ありがとうございます。えへへ」


 はにかみながら、カリンが俺のあとをついてくる。

 くそ、めちゃくちゃ可愛いぞ。

 よく分からないままゲーム世界に入っちゃったけど、これは楽しいことになりそうだ。

 遠くに見える街の灯を目指し、カリンと二人、月明かりの中を歩いていった。


気に入っていただけましたら、ブクマ!☆評価!応援をお願いいたします!


10万字くらい書き溜めあるので、頑張って更新していきます!


お楽しみに!

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