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裸の付き合いは世界を救う! 最強の回復スキル『温泉』で異世界銭湯始めます  作者: Peace
一章 始まりの街

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2.超回復スキル”温泉”

 声が聞こえた方角に向かって、慌てて走り出した。

 すると、不思議なことに気づく。

 めっちゃ足軽い、俺、すっげえ足速い。


 ゲームでは足が遅い製作職と言われてたのに、実際はすごい速い!

 それなのに、風を切るような速さで走れている。

 現実世界とは筋力や体力が全然違うからか!

 あっという間に木立を抜け、広い平原に出た。


「いやぁぁぁぁ……!」


 あそこだ。人間族の女の子みたいだな。

 必死な形相で走っている。

 その後ろには……。


「うぇぇ! トレインかよ」


 女の子は、後ろから大量のモンスターに追われていた。

 近づくと襲ってくるアクティブモンスターを、次々に反応させて引き連れてしまうことを、俗にトレインと呼ぶ。

 それも、もう何匹いるか分からないくらいの、ものすごい集団だ。

 相手はポイズンスパイダー、蜘蛛の化け物だ。


「くぅ……実際に見ると気持ちわりいな……」


 始まりの街近辺のモンスターだから、まったく大したことがない相手だ。

 それでも、見た目の気持ち悪さは半端ない。

 涎を垂らした、どでかい赤目のタランチュラみたいなのが何十匹も連なっているのだ。


「おい! こっちだ!」


 大声で叫ぶと、女の子がこっちに走ってくる。


「ええい! やるしかねえ!」


 木の槍を構え、女の子とポイズンスパイダーの間に割り込んだ。


「おらぁ! かかってこいやぁ!」


 両手で槍を横に構え、まずはトレインの勢いを止める。

 そして、範囲攻撃スキルを連発して、一気に刈り取っていく。

 見た目はキモいしデカイけど、所詮は雑魚モンスターだ。


 槍の一撃で、煙のように魔素(まそ)を撒き散らしながら消えていく。

 ゲームのときと同じ消え方で、ホッとした。

 ぐちゃぐちゃに潰れたんじゃ、こっちとしてもしんどいからな。


「お、魔石がドロップしたぞ」


 ドロップとは、倒したモンスターが素材や魔石を落とすことだ。

 ポイズンスパイダーが落とす素材は、蜘蛛の糸。

 ふわふわした糸の塊で、繊維として使える素材だ。


 あと、グレードDの魔石が4つと、魔石のかけらがいくつか落ちている。

 魔石はスキルを使ったり、装備を作るときに必要な貴重品だ。

 グレードはDからSまであり、秘められた魔力にも違いがある。

 モンスター単体ではほとんど落とさないが、大量に倒したおかげで、なかなかの量が手に入った。


「ふぅ……。なんとかなったな」


 ゲームでは、もはや見向きもしない雑魚敵だが、現実の戦闘となると話は違う。

 わらわらと群がってくる蜘蛛の気持ち悪さで、精神的にはゴッソリ削られた気がする。


「大丈夫か!」


 女の子に呼びかけるが、反応がない。

 服のあちこちが破れ、体中が擦り傷だらけだ。

 きっと、逃げているうちに転んだり、どこかにぶつかったりしたんだろう。

 まずいことに、腕や足に紫色のアザが広がってきている。

 ポイズンスパイダーの毒を受けているようだ。


「まずいな……。おい、しっかりしろ!」


 毒を受けると、じわじわと体力を削られる。

 俺のようなプレイヤーキャラならまだしも、この子はNPCっぽいからな。

 街まで運んでいくにも、ここからだと距離もある。

 それまで、この子がもつ保証がない。


「とっておきを、やるしかねえな」


 製作職の俺には、回復魔法は使えない。

 手持ちの毒消しや回復薬も無い。

 だが、グランドマスターである俺には、唯一無二の回復スキルがある。


「湧きいでよ! ”温泉”!」


 魔石を地面に刺し、じっと念ずる。

 別に詠唱は必要ないんだが、気分的に大事なのだ。

 即座に魔石からお湯が湧き出し、もうもうと湯気が立ち上っていく。


 100レベルに達したグランドマスターだけが使える、究極の回復スキル”温泉”。

 効果は使った魔石のグレードに比例し、最高ランクなら、瀕死の怪我でも治してしまうというスキルだ。

 Dグレードの魔石なら、多少の怪我はすぐに治る。

 難点は、発動に時間がかかること。

 お湯が貯まらないと、どうにもならないのだ。


 だけど、このスキルを人に対して使うのは初めてだ。

 対人戦やパーティーで使うには時間がかかりすぎる。

 だから、色んなところを旅して、露天風呂気分を楽しむくらいの使い道しかなかった。

 ぶっちゃけ、ネタスキルのようなものだと思っていた。


「こんなもんか。うん、いい湯加減だ」


 このお湯にゆっくり浸かれば、この子の怪我くらいなら一発だろう。

 ただ……服のまま入るのは……あれだよな。

 だからといって、俺が脱がせるというのも……。

 いや、迷っている暇はない

 これは治療、これは治療、これは治療……。


「ごめんな、ちょっと失礼するよ」


 あまり直視しないようにしながら、女の子の服を脱がせていく。

 おおぅ、これはなかなか……。

 って、なんで下着つけてないんだよ……。

 結局、全部脱がせるしかないじゃないか。


 小柄な子だから、軽々と持ち上げられる。

 そっと湯船に浸からせて、頭を縁にもたれさせた。

 ぼんやりと女の子の体が光り、”温泉”の効果に触れたことを示す。


 その間に、あちこち破れている服や靴の修復をする。

 魔石のかけらと蜘蛛の糸を素材にして、新しい装備として生まれ変わらせるのだ。

 スキル『創造(クリエイト)』を使えば、ボロボロのチュニックが、ちょいと小洒落たワンピースに様変わりする。

 スカートのほうは痛みが激しいので、下着とタオルを作り出した。

 余計なお世話かもしれないが、やっぱノーブラノーパンってのはアレだろうからな。


 蜘蛛の糸を素材にしているから、ただの布よりも丈夫で軽い。

 同じように靴も直して、編み上げのサンダルを作った。

 あとは、女の子が目覚めるのを待つ。

 沈まないように頭を支えてやりながら、体には視線を向けないように……。

ぜひ、ブクマ!☆評価!応援をお願いいたします!


10万字くらい書き溜めあるので、頑張って更新していきます!


お楽しみに!

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