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裸の付き合いは世界を救う! 最強の回復スキル『温泉』で異世界銭湯始めます  作者: Peace
二章 銭湯建設計画

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24.ゴルドンおだてりゃ風呂作る

 翌朝まで、ゴルドンは里で一番高い木に吊るされていた。

 ミノムシみたいに縄でぐるぐる巻きにされ、長老の威厳も何もあったものじゃない。

 聞けば、長老が吊るされるのは、もう数え切れないらしい。

 鍛治や建築の腕は確からしいが、普段は本当にどうしようもないジジイなのだそうだ。


「おじーちゃん! 反省しましたか!」

「はい……もうしないから、許しておくれ……」


 弱々しい声で言うゴルドンを見て、ルビーはため息を吐く。


「まったく……。スケベじゃなきゃ、とってもいいお爺ちゃんなんだけどなあ」


 根本に結ばれた縄をルビーが解くと、ゴルドンがドサリと落ちてくる。


「おぅ……ルビー、ありがとう……」

「これに懲りたら、もうしちゃダメだよ。あと、あの覗き場所は潰しておいたからね」


 プンプン怒りながら、ルビーは小屋へ戻っていった。

 これじゃ、どっちが年上なんだか、分かりゃしない。

 しょんぼりとうなだれているゴルドンに、こっそりと声をかけた。


「ゴルドンさん、まさか、この里を離れられない理由って……」

「皆まで言うな……。儂の生き甲斐が……うっ……ルビー……みんな……」


 ふぅむ、これは使えるかもしれない。

 ゴルドンを落とす算段がついた。


「ゴルドンさん、ひとつご相談があるのですが」

「なんじゃ。儂にできることなぞ、何もないぞい」

「それがあるんです。ゴルドンさんにしかできないことが」


 始まりの街で銭湯を始めたこと。

 住人が増えてきて、浴室が手狭になってきたこと。

 街の拡張を機会に、銭湯の新規開店を考えていること。

 かいつまんで、俺の計画を説明する。


「銭湯とは何じゃ?」

「お金をいただいて、お風呂を提供するお店です」

「しかし、それだけの人数だと、湯を沸かすのが追いつかんじゃろ」

「そこで俺の出番なんですよ」


 グランドマイスターのスキル”温泉”について、説明を加える。


「なんと……! そのようなスキルが……」

「俺にかかれば、何人分のお湯だって瞬時に出すことができます。街の拡張と同時に、その銭湯の設計を、ゴルドンさんにお願いしたいのです」

「なぜ儂に……?」


 俺は居住まいを正し、ゴルドンにお辞儀をする。


「昨日、ゴルドンさんが掘ったという温泉を見て、感動しました!」

「か、感動じゃと!?」

「はい! 感動です! ゴルドンさん、いや、ゴルドン先生! あなたの作った温泉は最高だ!」

「儂の、温泉が……」

「素晴らしかった。女性たちが、安心してくつろげる、和やかな空間。あれこそ理想の姿! ゴルドン先生! 俺と一緒に、最高の銭湯を作りましょう!」


 ゴルドンは、チラチラと俺を見る。


「その……銭湯とやらは、おなごも入るのかの」

「ええ、もちろん。男湯と女湯を作ります」

「女湯……、良い響きじゃ。おなごしか入らぬ湯ということか」

「そのとおりです。生まれたままの姿で、女性たちがのびのびとくつろげる空間です」


 ゴルドンが、俺の手をガシッと握る。


「初めてじゃぁ。儂のことを認めてくれたのは、あんたが初めてじゃぁ!」

「ゴルドン先生!」

「リク殿。儂の力、思う存分使ってくだされ!」

「はい、ありがとうございます。ゴルドン先生!」

「そうと決まれば、里の者を総動員じゃ! あっ、銭湯は儂が全て担当するからの!」


 脱兎のごとく、ゴルドンが小屋に向かって駆け出していく。

 これでなんとか、ドワーフの助力を得ることができた。

 思いつきで喋った銭湯の話が、思いの外の威力だったようだ。


 もともと、銭湯も拡張しなくてはと思っていた。

 せっかくだし、ゴルドンにはガッツリ協力してもらいつつ、それなりに美味しい思いはさせられるようにしよう。

 だが、俺の仲間たちの肌は見せてやるわけにはいかない。

 銭湯リニューアル計画を練りながら、ドワーフの里を散策した。


 その夜、ゴルドンと師弟の盃を交わし、大いに盛り上がるのを見て、ルビーはきょとんとしていた。


「ねえ、お兄ちゃん。いったい何があったの?」

「ああ、ゴルドン先生は素晴らしい人だ。始まりの街を盛り上げるのには、欠かせない人材だよ」

「せ、先生……。ねえ、お兄ちゃん、しっかりして?」


 ニヤリと笑い、おおまかに銭湯の計画を話した。

 すると、ルビーはなんとなく納得してくれたようだ。


「ふぅん、まあ、それならいいんだけどね」

「広いお風呂ができたら、ルビーも楽しいと思うぞ」

「お風呂! 楽しみ! 私ね、お風呂大好きなの。あ、でもお爺ちゃんに覗かれるのはイヤだよ」

「大丈夫。そこはちゃんと考えているさ。ゴルドンに悪さはさせないよ」

「お兄ちゃんすごいね。あのお爺ちゃんを丸め込むんだもん。えへへ、大きなお風呂かあ。楽しみだなあ。完成したら、一緒に入ろうね!」


 そうだ、どうせなら、職権を乱用して、仲間内で入れる露天風呂でも作るか。

 そしたら、みんなも安心して入れるだろう。

 なんだったら、ルビーの言うように混浴だって夢じゃない。


 カリンにハンナさん、ライザ、シェリル、アリサ、コレット、そしてローザとルビー。

 いずれ劣らぬ美女に美少女たちと、一緒にお風呂か。

 うーん、どんどん楽しくなってきたぞ。

 ジョッキを傾けながら、素敵な未来絵図を頭に描いた。

お読みいただき、ありがとうございます。

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