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裸の付き合いは世界を救う! 最強の回復スキル『温泉』で異世界銭湯始めます  作者: Peace
二章 銭湯建設計画

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18.蹂躙

 ビキニアーマーのハンナさんが先頭に立ち、巫女装束のハヅキが弓を携えて二番手に、ルビーと俺がカリンを守って後衛についている。

 カリンにはチュニックとズボンという軽装の上から、ハードレザーアーマーをつけさせた。

 羽のように軽い特別な革を加工した、力のないカリンでも充分に動ける装備だ。


 ドワーフの里には、始まりの街から西にある大森林を抜け、山岳地帯を越えて、ドワーフの廃坑を通って行くこととなる。

 森林から向こうからは、高レベルのモンスターがウヨウヨしている危険地帯だ。

 本来であれば、盾役となる前衛職を配置し、モンスターを慎重に排除しながら進むべきところだ。


 だが、今回のメンバーは、近接アタッカーのハンナさんとハヅキ、ドワーフの司祭のルビー、製作職の俺、一般人のカリンというメンバーだ。

 モンスターに集中攻撃されては、ひとたまりも無い。

 ハヅキの弓を使い、一匹ずつ確実に仕留めていくことを、事前に打ち合わせていた。


「ご主人さま、あれを」


 ハヅキが遥か前方を指差した。

 大森林の入り口、ちょうど街道が途切れるあたりに、サーベルタイガーの群れがいる。

 その名のとおり、刃のような切れ味の牙を持ち、成獣であれば象ほどの大きさだ。

 しかも、群れで行動し、攻撃範囲に入ると向こうから仕掛けてくるアクティブモンスター。

 危険で厄介極まりない相手である。


「よし、端のほうから一匹ずつ慎重に……」

「さーて、いっくわよー! かかってらっしゃぁ~い!」

「ハンナさん!?」

「お母さん!?」


 呆然とする俺とカリンの前を、テンションマックスで両刃斧をぶん回しながら、ハンナさんが突撃していく。

 当然、サーベルタイガーたちは一斉に反応し、集団でハンナさんに襲いかかった。


「デッドリィィィ! タイフゥゥゥゥン!」


 自らが竜巻のように回転し、両手で構えた斧を振り回す、範囲攻撃の大技。

 あんな隙だらけの技を出したら、ハンナさんが危な……。


「ギャウゥゥン!」


 サーベルタイガーの牙が砕かれ、首が、頭が、胴体が、足が宙に舞う。

 キラキラの粒子に変わるサーベルタイガーを見向きもせず、ハンナさんはど真ん中で大暴れ。


「ご主人さま、私も出ます!」


 弓を横に構えたハヅキが、超速の足捌きで駆け出し、群れの手前で高々と飛び上がった。


「殲滅します! 流星驟雨(りゅうせいしゅうう)!」


 天に向かって射られた矢が、眩い軌跡を描いて落ちてくる。

 次の瞬間、矢は無数の光に分裂し、流星群のようにサーベルタイガーたちに降り注いだ。


「ギャワワァァァン!」


 断末魔の叫びが響く中、華麗に着地したハヅキの手には二本の刀。

 一瞬で弓を刀に持ち替えて、群れの中を瞬時に駆け抜ける。


「秘剣……陽炎(かげろう)!」


 ハヅキのあとには、サーベルタイガーの影も形も無い。

 瞬殺された彼らの残した素材が、無惨に散らばっているだけだ。


「アハハハ! ブラストインパクトォォォ!」

「必殺! 鶴翼の舞!」


 サーベルタイガーの牙も、爪も、彼女たちにはかすり傷すらつけられない。

 ただ一方的に、殺戮、蹂躙されるばかりだ。

 おっかねえよ、二人とも、おっかねえよ。


「リクさん! 一匹きます!」


 カリンが叫ぶ。

 群れから離れた一頭が、ものすごい勢いでルビーに飛びかかろうとしていた。

 ダメだ! 間に合わない!


「えーい!」


 ベコン!


 一瞬、何が起きたか分からなかった。

 巨大なハンマーで叩き潰されたサーベルタイガーは、もっと分からなかっただろう。

 ぺちゃんこになり、静かに粒子となって消えていく。


「お兄さん、そこで見ててー。私もいってくるー!」


 軽々とハンマーを背負い、ルビーは楽しそうに群れに駆け込んでいった。

 あちこちで、ズバッとか、グシャッとか、バコンッとか、およそ人の手が巻き起こしているとは思えない音が響く。


「ふぅ、片づいたわね」

「ハンナお姉ちゃん、つよーい」

「あら~、ルビーもなかなかよぉ~」


 数十匹の群れを片づけたハンナさんとルビーは、息も乱さず笑い合っている。


「ご主人さま、怪我はありませんか?」

「ハイ、ダイジョウブデス」


 ハヅキが駆け寄ってくるが、俺は乾いた笑いしか出なかった。

 レベル100で、ちょっと経験があるからって、イキっていた俺を許してください。

 貴女達には、とても敵いません……。


「リクー。すごいよー。素材がいっぱーい。集めようよー」

「ハーイ、ワカリマシター」

「お母さん、すっごい……」


 俺にできることは、あちこちに散らばった素材を集めることだけだ。

 サーベルタイガーの牙、爪、そして毛皮。

 どれも、ギルドに持ち帰れば相当高額で引き取ってもらえるだろう。

 たった一度の戦闘で、ちょっとした小金持ちになれるレベルだ。


「さて、この調子でじゃんじゃん狩りましょう~」


 意気揚々と、ハンナさんが森に向かっていく。

 街に残してきたライザも含め、俺の周りにいるのは、とんでもねえ女の子たちだ。


 大森林でも破壊と蹂躙を繰り返し、山岳地帯の手前で夜を迎える。

 ありえないスピードでモンスターを駆逐するので、ここまで来るのもありえない早さだった。

 ルビーが結界を張り、食事と風呂を済ませ、みんなはテントで眠りについた。

お読みいただき、ありがとうございます。

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