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裸の付き合いは世界を救う! 最強の回復スキル『温泉』で異世界銭湯始めます  作者: Peace
一章 始まりの街

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9.謎のダークエルフ?

 順調に経験を積み、シェリルたちは街の周辺では敵なしとなっていた。

 冒険者ギルドに向かい、手頃なクエストが無いか探しに行く日々。

 ギルドの壁には、クエストの発注書が大量に貼られている。

 大半が素材集めやモンスター退治、冒険者が少なすぎて、依頼の数は増える一方だ。

 シェリルたちなら、あっという間に片づけてしまうだろうが、得られる経験値は少ない。

  ここらで、ひとつでかいクエストを受注して、さらなるレベルアップを狙いたいところだ。


「地下神殿……ですか」


 シェリルが緊張の面持ちで言った。

 ダークエルフの地下神殿。

 初心者を脱した冒険者が挑戦する、定番といえる地下迷宮だ。

 地下神殿探索クエスト、これは一次転職をするための必須条件でもある。


 ダークエルフは、プレイヤーとしても選べる種族で、回避アタッカー職や、高い魔力による魔法職としての人気が高かった。

 あまり他の種族と交流は持たないので、プレイヤーが消えた今ではまったく見かけることがない。

 冥界の女神『ベナル』を崇拝する種族で、地下神殿はダークエルフの遺跡ということになる。

 クエストは、神殿の最奥、ベナルの祭壇が最終ゴール。

 定期的に湧くボスキャラ『冥界の司祭』がいて、道中のモンスターと合わせて、そこそこの難易度だ。

 そのぶん、手に入る素材やお金も大きいし、一次転職で大きく成長も見込める。

 ただ、挑戦するにはガッチリとパーティーを組む必要がある。


「シェリルたちなら、もういけると思うんだよね」


 シェリルたちは充分にレベルがあがり、一次転職が可能なレベルだ。

 彼女たちだけでは不安があるが、俺が護衛につくなら問題ないだろう。


「あのぅ、地下神殿に行かれるのですか?」


 話し合いをしている俺たちに、受付のコーデリアさんが声をかけてきた。


「今、地下神殿に行くのは止めたほうが……」

「どうしてですか? 彼女たちなら大丈夫だと思うんですが」

「実は、ここ最近、地下神殿に行かれた冒険者が帰ってこないのです。ですので、少し様子を見たほうがいいかもしれません」


 シェリルたちのように、新たにNPCから冒険者になった者が、多く向かっていたのだろう。

 ただ、『冥界の司祭』は強敵だが、そこまで強いわけではない。

 一次転職前の冒険者でも、パーティーをしっかり組めばクリアできるはずだ。

 サービス終了の影響で、なにかバグでも起きてるんだろうか。


「噂では、魅了を使うダークエルフがいるとか……。一人だけ生還された方が、そのように仰っていました。仲間がダークエルフの虜になり、襲いかかってきたんだそうです」

「魅了か……なるほど」


 厄介な相手ではある。

 シェリルたちは、真っ青になって震えていた。


「それなら、俺が一人で行って、様子を見てきましょう」


 すると、コーデリアさんは元より、シェリルたちが驚いて目を丸くした。


「危険ですよ」

「いくら師匠が強くても……」

「そうよ! 馬鹿なこと言わないで!」

「リクさん……」


 みんなが心配してくれて、なんともこそばゆい。

 ただ、魅了と聞いて、ひとつ思いあたることがあった。

 まず、プレイヤーキャラである俺には、魅了が効かない。

 そして、魅了を使う者も、プレイヤーキャラに限られるのだ。

 つまり、地下神殿に、俺と同じように取り残されたプレイヤーがいる。

 ダークエルフで魅了を使うということは、魔法職に違いない。


 これまでの冒険で、俺の装備も整っている。

 課金装備とまではいかないが、グレードAクラスの装備を作っていた。

 地下神殿はクエストや狩りで散々行ったから、中の構造は全て分かっている。

 あとは、プレイヤーのダークエルフと接触できれば、なにか情報が掴めるかもしれない。


「大丈夫。俺に任せておけ」

「うぅ、ししょぉ……」

「無茶しちゃダメなんだからね!」

「無事に帰ってきてください……」


 目を潤ませて、シェリルが抱きついてくる。

 アリサやコレットも一緒だ。

 短い間に、随分と慕ってくれるようになったんだな。

 連れていってもいいんだが、万が一にも、シェリルたちが魅了にかかったら大変だ。


 魅了は強力なスキルで、モンスターやNPCを意のままに操ることができる。

 彼女たちに槍を向けるなんて、まっぴらだ。

 他の冒険者であっても、それは同じこと。

 ここは、俺が一人で行くしかない。


「リクさん、決して無理はしないでくださいね」

「はい、分かってますよ。こう見えても、俺、結構強いんですから。地下神殿程度の敵には遅れをとりませんって」


 地下神殿の敵は、『冥界の司祭』も含めて、はっきり言って雑魚だ。

 俺一人でも余裕でクリアできる。

 ダークエルフが、どれくらい強いかだな。

 まあ、こちとらレベル100だ。

 よほどの廃人級が相手じゃない限り、遅れを取ることはない。


「じゃあ、行ってくるよ。まどろみ亭で待っていてくれ」


 シェリルたちを安心させるように言い、地下神殿に向かった。

 さくっとやっつければ、夜までには帰ってこれるだろう。

 ゲームのときは、もう少し早く行けたんだけどな。


 街の北、街道を外れたところに、禍々しい瘴気を纏う地下神殿がある。

 冥界の女神ベナルの像が立ち、その台座が地下へと続く入り口だ。

 さて、鬼が出るか蛇が出るか。

 謎のダークエルフ様と、ご対面といこうじゃないか。

お読みいただき、ありがとうございます。

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