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ウィッチエアクラフト〜魔女は空飛ぶ法機に乗る〜新たな女王編  作者: 朱坂卿
真・最終翔 魔法の根源
74/74

#最終話 全てを救う

「な……何よこれは!?」


 ペイルはゴエティックデモンズロードの操縦席で、戸惑う。

 そこには。


 ――おいおい、これマジ?


 ――What!? 利用されてたの私たち!


 ――ガセじゃねえの?


 ――不是! でもよく考えたら……私たち、今意識を操られてたのかも!


「ば……馬鹿な! ……ぐうっ!」


 ペイルが目の前の、電賛魔法システムネットワーク上メッセージの数々に戸惑っていると。


 突如彼女搭乗の黒客魔ゴエティックデモンズロードを頂く、宙飛ぶ魔人艦スペースフライングボータウラスゴエティックデモンにより構成される魔法陣が揺らぎ始めて鳴動に襲われる。


「What……こ、この話は……」

「y、Yes! ソー軍曹、あのペイルとかいう奴が私たちを!」

「Yes!」

「So!」

「是……女夭(ヌーヤオ)たち、私たちは利用されてたのね!」

「是!!!」

「네……私たちをよくも!」

「네!!!」

「私たちは、騙されていたのか……?」

「き、教官!!!」

「defo……世界を守るつもりが、悪魔に魂を売っていたなんて!」

「defo!!! 我ながら、不甲斐ないわ……」

「初花様!!!」

「Oui……私たちの真の敵を倒さなければ!」


 ゴエティックデモン搭乗の各国代表は、次々とレッドドラゴンへの敵意を失っていく。


「い、尹乃様!」

「姫!」

「ええ、そうね……私たちも、攻撃を中止!」

「姉貴!」

「お、お姉様!」

「お姉さん!」

「妹たち……そうね、私たちもまんまと!」

「レイテ様!!!」

「ええ……よくも私たちを騙してくれたわね!」


 王魔女生、龍魔力、呪法院たちも、レッドドラゴンへの敵意を失う。


「く……何よ! 私たちの敵は、あのレッドドラゴンやそれに与してる者たちよ!」

「ペイル……ごめんなさい。私も、嫌だって言ったんだけど。」

「!? そう……青夢、これはあんたが!」


 青夢が、三段法騎戦艦より呼びかけ。


 ペイルはそこで、察する。

 これは青夢や凸凹飛行隊が仕組んだことであると。


 ◆◇


「む!? ぐっ……くっ!」


 時は、黒客魔ゴエティックデモンズロードと魔人艦ゴエティックデモンたちによる魔法陣の構築が完了した直後に遡る。


 ペイルにどうするか問われた凸凹飛行隊や元女男の騎士団、矢魔道や盟次が青夢の三段法騎戦艦に攻撃を仕掛け。


 更にギリシアンスフィンクス艦とヘロディアス艦隊から放たれた攻撃は、三段法騎戦艦へと向けられた時のことだった。


「聞こえておいでかしら、魔女木さん?」

「! 魔法塔華院マリアナ……」


 そこへ突如、マリアナから入電があった。


「何、お別れでも言いに来てくれたのかしら? それとも嫌味でも言いに来てくれたのかしら?」

「そのどちらでもなくってよ魔女木さん! ……わたくしなら、あの真の王とやらの基幹システムを突き崩せますがどうかなと思いましてよ。」

「な……ちょっと! それじゃあんたまで世界の敵に!」


 しかしその内容に、青夢は驚く。


 が。


「魔法塔華院の姉ちゃんだけやない……あたしら元女男もや!」

「ああ僕も!」

「まあ、俺もだ!」

「あと、私たち凸凹飛行隊全員もよ!」

「ああ、魔女木!」

「青夢!!」

「えっ……あ、赤音たちに矢魔道さーん♡に、飯綱法に……雷魔法使夏に方幻術に、真白と黒日まで!?」


 世界の敵になろうというのは、今ゴエティックデモンに組み込まれていない全員とも同じだった。


「べ、別に勘違いしないで欲しくってよ! わ、わたくしはあなたに世界の敵なんて気取られるのもあのミスブルーメなんかに支配されるのもお断りなだけで! べ、別にあなたを助けてやるんじゃないんだから、誤解しないでほしくってよ!」

「そ、そうよ魔女木! 勘違いしないでよね!」

「わ、私たちも勘違いしないでよね! べ、別にメアリー姐様や騎士団長のためなんだからね!」

「魔法塔華院マリアナ、雷魔法使夏、使魔原ミリア……」


 マリアナたちの言葉に、青夢は感じ入る。


 そうして現在見ての通り、マリアナがわざと自機カーミラに幻獣機レギオンズボア二機を合体させ法機レギオンとしてゴエティックデモンズロードの傘下に潜入し。


 そこからペイルの弱みを握り、それをゴエティックデモンが基幹システムとなっているネットワーク全てに晒すという手筈を話し合い。


「くっ……hccps://reddragon.sfbs/、セレクト! ビクトリー イン オルレアン!hccps://reddragon.sfbs/GrimoreMark、セレクト 怨念業火柘榴弾カタストロフィーアップル! エグゼキュート!」

「!? きゃっ!」

「くっ、これは!?」

「こら敵わんわ……総員退避や!」


 が、青夢はそこで三段法騎戦艦全砲門を開き。

 そこから火球を放ち、それらはエネルギー体の外へ出た後で無数に散らばり炸裂して自身に向けられていた攻撃を振り払い。


 それではたまらんと青夢を囲んでいた法機群は距離を取り、その隙をこじ開けて三段法騎戦艦を最大船速で黒客魔ゴエティックデモンズロードに肉薄させたのだった。


 ◆◇


 そうして、現在に至る。


「馬鹿な……私たちの傘下ネットワークに入れば、青夢あんたへの敵意を共有するはず……まさか!?」

「ええ、察しがいいわね……私のレッドドラゴンいえ、法機ジャンヌダルクのオラクル オブ ザ バージンを共有して洗脳されないようにしたのよ!」


 青夢は、そうペイルに宣言する。

 そう、オラクル オブ ザ バージン。


 ――これはどんな状況でも、私が希望を捨てない限り全てを神の視点――俯瞰的な目で見られる能力よ!


 かつて、"私"の支配から全世界を解放した技である。


「ええ、そうね……その力があったからあんたは洗脳されない、だから自発的に世界の敵をやらせるのがちょうどよかったのよ!」


 ペイルは、苦し紛れにそう叫ぶ。


「でも調子乗ってんじゃないわよ青夢! 今まであんたが飛行隊長らしくできたのだって、所詮はそのオラクル オブ ザ バージンとやらのおかげなんだから! 所詮それさえなければあんたなんて!」

「む! ペイル……」


 ペイルは、そうして。


 尚も揺らぎつつあるゴエティックデモンズロード以下ゴエティックデモンで構成される魔法陣が纏うエネルギー体で、三段法騎戦艦を攻める。


「ペイル、あんたは……人を舐めすぎていたのよ!」

「……何?」


 しかし戸惑うペイルに、青夢の一喝が飛ぶ。


「皆本当は誰でもいい? 結局は誰だって、イスカリオテのユダを求めている? さっきの言葉、ほぼそのままお返しするわ……あなたこそ、『誰でも』の中に自分を入れていなかったのよ!」

「く……ふ、ふざけるな! わ、私が、イスカリオテのユダになど……」


 青夢の更なる一喝に、ペイルは逆上する。


「hccps://emeth.goeticdemon.sfbt/pemphredo/、セレクト グライアイズアイ! セレクト、デパーチャー オブ 誘導銀弾(シルバーブレット)爆雷霆エクスプロージョンヴァジュラ! エグゼキュート!!!」

「hccps://emeth.goeticdemon.sfbt/juno/、セレクト ! 嫉妬監視(ジェラシーアイズ) エグゼキュート! さあ見えました敵機が、尹乃様! 華妖、亜魔導!」

「ええ、ありがとう……hccps://emeth.goeticdemon.sfbt/hekate/WildHunt.fs?assault=true――セレクト、王神の槍(グングニル) エグゼキュート!」

「セレクト 電霊統率(ファミリアハント) エグゼキュート!」

「セレクト 黒き十字架(ブラッククロス) エグゼキュート!」

「hccps://emeth.goeticdemon.sfbt/MorganLeFay/、セレクト! 楽園への道ロードトゥーアヴァロン! エグゼキュート!」

「セレクト! 死鎌爪(クローサイズ) エグゼキュート!」

「セレクト! 九尾(ナインアーツ)――殺生石(ポイズンキリング) エグゼキュート!」

「セレクト! 髑髏剣(スカルズブレード) エグゼキュート!」

「セレクト 流星弾(メテオバレット) エグゼキュート!」

「hccps://emeth.goeticdemon.sfbt/eingana/! Select, 虹の彼方(オーバーザレインボー) Execute! hccps://emeth.goeticdemon.sfbt/GrimoreMark/、Select 虹の前兆(サーペンツレイン) Execute!!!」

「Select 取り替え子論争(チェンジリング)! Execute!」

「ぐっ!? あ、あんたたち……!」


 が、そんなペイルに。


 彼女搭乗のゴエティックデモンズロード下のゴエティックデモンたちより、攻撃が向けられ。


 たまらぬと、ペイルはゴエティックデモンズロードを離脱させる。


「ふ、ふざけないで! 真の王陛下、こいつらは私の、ひいてはあなた様に対しての反逆者です!」

「それはそれはいけませんねえ……それで?」

「え!? い、いえ……は、反逆者にはお裁きを!」

「いいえ、そんなことを聞きたいのではなく……あなたはその力でどうするのかと聞いているのですよ?」

「え……? そ、それはあなた様のお力をお借りして!」

「ふうむ……つまらないお答えだ! あなた、もういいですよ。」

「は……?」


 ペイルは今根源に鎮座するソロモンに懇願するも、聞き入れられなかった。


「……あなたより、魔女木青夢さんとやらの方が面白い! 見物じゃないですか……全てを、どう救うのか?」

「な……し、真の王! そ、そんなあんまりです!」


 ペイルはソロモンに見捨てられ、焦る。


「さあ皆……あれこそ、ペイル・ブルーメこそ世界の敵だ! 皆でたっぷり、懲らしめてやるがいいぞ!」


 そうして盟次はダメ押しとばかり、ネットワーク中に呼びかける。


「そうだ!」

「青夢、そいつをやっつけちゃって!」


 それを受け、世界の敵意はペイルに向くが。


「……皆、いい加減にして!」

「!?」


 青夢は、今尚ゴエティックデモンズロードを狙うゴエティックデモンたち直上に三段法騎戦艦を移動させ庇う。


「ペイルは確かに、許されないことをした……でも! 皆だって許されないことをしたの、いいえしているの!」

「魔女木……」

「青夢……」

「Ms.Mameki……」


 青夢は三段法騎戦艦より、世界に呼びかける。


「誰かをイスカリオテのユダ――悪役として叩いたって、そんなのこそ本当の綺麗事! 皆だって、私だって……ペイルだって怖かったのよ! いつ自分が叩かれるかって……だけどね! そうして誰かを敵にしても、その人の次にはまた誰かが敵にされる! 皆にその覚悟があるの? 皆のために世界の敵になる覚悟なんて、本当にあるの!?」

「そ、それは……」

「……」


 青夢のその言葉には、誰も答えられなかった。


 ――青夢……


「何よ……私に生半可な同情なんて!」

「同情なんかじゃないわ……私は既に、全てを救う覚悟がある。たとえ、世界の敵になったって!」

「ほう……あるのですね、覚悟が?」


 青夢がペイルの言葉に返した言葉に。

 ソロモンは根源より、興味を示す。


「ええ……さあソロモン陛下! 私に力をお貸しください……」

「いいでしょう……ならば、あなたの覚悟をお見せください!」


 こうして青夢は、ソロモンとの交渉を成立させた。


「な、何をする気であって魔女木さん! まだ電賛魔法を」

「ええ……その通りよ!」

「ふ……ふざけないでほしくてよ魔女木さん! わたくしはそんなことの為に」

「……セレクト! ランディング オブ 空飛ぶ法機(ウィッチエアクラフト)! エグゼキュート!」

「!? こ、これは……」

「きゃあ!」

「w、What!?」

「ま、魔女木!」


 そうして、根源の力を得た青夢は皆の話にも聞く耳を持たず。


 そのまま術句を唱えるや、凸凹飛行隊に元女男、矢魔道に盟次の法機群。


 更にゴエティックデモンズロードやゴエティックデモンも引き寄せ、三段法騎戦艦後部三段飛行甲板から艦内に収容し。


「さあ、ギリシアンスフィンクス艦もヘロディアス艦隊も……全艦隊、全速降下! 目標、地球!」

「く……魔女木さん!」


 青夢はそのまま、三段法騎戦艦をギリシアンスフィンクス艦やヘロディアス艦隊共々地球に降下させる。


 たちまち艦隊周囲には、大気摩擦による熱が迸り――


 ◆◇


「本当に、いいんですね?」

「青夢、本当にいいのね?」

「ええ、いいんです!」


 そうして、再びソロモン鎮座の根源へたどり着いた青夢は。

 ソロモン及び、アンヌに。


「ふん……まあ、精々やればいいじゃないの! 全てを救うとやらを!」

「ええ……やるわ、ペイル!」


 ペイルの立ち合いの元。


「……hccps://emeth.daat.srow/! セレクト……」


 根源を表すURLを含む、術句を唱える。

 電賛魔法(リソーサリー)システムを終わらせる、術句を。


「これで……!」


 fcp> open ×××1.×××2. ×××3. ×××4


 NAME:> AomuMameki

 PASSWORD:> ********


 fcp> cd unlocked


 fcp> mput reddragon.srow


 fcp> close


 dnscmd /recordadd meth.daat.srow A

 ×××1.×××2. ×××3. ×××4


「さあ……hccps://meth.daat.srow/! セレクト、エンド オブ 電賛魔法(リソーサリー)! エグゼキュート!」


 青夢はホスト名たるemethを、methへと書き換える。

 すると。


「……さようなら、電賛魔法(リソーサリー)システム!」


 青夢が、そう唱えるや。

 自身がいる根源の部屋も、ソロモンもアンヌもペイルも光の粒となって消滅していく。


「……もちろん、私もよね。まあ、いいわ。これで、一応は全てを救うことができるんですから!」


 青夢も、自身の姿が光の粒に還元されていく様を見るが。

 既に覚悟の上であり、そっと目を閉じる。


 さあ、これで――


 ――はーははは! やっぱりあなたは面白いですよ青夢さん! いいでしょう……出血大サービスです!


 ――ええ、青夢! あなたはよく頑張った……


 ――ふんっ、調子に乗らないでよ! 今のところは消えといてやるけど……私は絶対戻ってくるわ!


「……え?」


 しかし、

 意識を失う前に、青夢はソロモンとアンヌとペイルのそんな言葉を聞き――


 ◆◇


「青夢、青夢!!」

「魔女木さん!」

「魔女木、起きなさいよ!!」

「ん……あれ? ここは……?」


 青夢は真白に黒日、マリアナに法使夏・ミリアの呼びかけにより目を覚ます。


 そこは、三段法騎戦艦艦橋内であり。

 同艦やギリシアンスフィンクス艦にヘロディアス艦隊は、どこかの洋上に着水していた。


「魔女木さん……まったくあなたは! あなたという人は!」

「青夢……あんたは! 本っ当に水臭いんだから!」

「そうだよ……あんたのの救う全てっていうのには、あんた自身は入っていないのか魔女木青夢!」

「皆……ごめん……」


 青夢に、真白と黒日は抱きつく。


「大丈夫かいな!」

「魔女木!」

「魔女木青夢!」

「魔女木さん!」

「! 赤音に方幻術に矢魔道さんに飯綱法……」


 そこへ、他の面々も乗り込んで来る。


「魔女木……お前は! お前の救う全てっていうのには、お前自身は入っていないのか!」

「わたくしを差し置いて、一人だけ英雄になろうだなんて……百万年早くってよ!」

「その通り……あんたに作られた借り! まだ返せてないしねえ……」

「そ、そうよ私だって!」

「ふん、まあ一時的には世界を救ったんだろうが……電賛魔法を使っていた者たちからは恨まれるぞ?」


 皆からは、口々に言葉をかけられる。


「う、うんありがとう皆……あと方幻術、ごめん。それは、さっき真白と黒日に既に言われたわ。」

「! あ、ああ……すまんな。」


 剣人は今一つ、決まらぬ様子だったが。


「(結局、全てを救ったのは。ソロモン陛下にアンヌ、あなたたちだったのね……)」


 青夢はしかし、自分の代わりに逝った彼らに対して思いを馳せ。


 更に、次にすべきことについて考えていた。


 ◆◇


「今日はいい天気ね。」

「んあー! んあー!」


 それから一週間ほど経った頃。

 沖縄の病院でのこと。


 ベッドで上体を起こすマギーの傍らでは。

 彼女が産んだばかりの赤ん坊が泣いている。


「おはようございます! わー、かわいい!」


 そこへやって来たのは、青夢だった。

 そう、今日は。


 産休に入っていたマギーが、彼との子を産む日だったのだ。


「ごめんあそばせ! ……おめでとうミズフォスター! ああ、この暑い中でも魔女木さん、あなたは暑苦しいわね……」

「もー、相変わらずあんたは一言多いわね!」

「こら、魔女木! あんたも相変わらず!」

「そうよそうよ!」


 と、そこへ。

 マリアナに法使夏にミリアが入ってきた。


「こら、お前ら病院だぞ!」

「そうです、静かに!」

「うん、黒日……あんた、沖縄のこの日差しなら名前の通り黒くなるんじゃない?」

「む、真白! あんたは……もっと真っ黒になっちゃうかもよー!」

「な、言ったなー!」


 続けて、剣人と黒日に真白も入って来た。


 が、次の瞬間。


「んあー……わ、た、し。」

「!? あなた、もしかして……」


 マギーの子供が上げたその声。

 わ、た、し――聞く人が聞けば卒倒しそうな言葉であるが。


 青夢はそこで、涙ぐむ。

 そうか、救えたのだと。


 あの時消えた、"あんた"を――


「……よし! 私もやらなくちゃ!」


 青夢はそこで、決意を改めてする。


 ◆◇


「……豆木(まめき)さん、本気でそれはおっしゃっていますか?」

「はい!」


 その一週間後。

 聖マリアナ学園を卒業した青夢は、会見に臨んでいた。


 それは自ら立ち上げたプロジェクトたる、新空宙都市計画についてだった。


「今度は魔法に頼らず、空宙都市を完成させます! そうして……これまた魔法に頼らず、VIたちを人間にする方法を探ります!」

「そ、そんなことできるんですか?」


 記者から、そんな質問が飛ぶが。


「そもそも、あのネメシス星にVIが残っているかは」

「いいえ、確実に残っています! 私は信じます。」


 記者のその質問を遮り、青夢は確信をもって発言する。


 ――ふんっ、調子に乗らないでよ! 今のところは消えといてやるけど……私は絶対戻ってくるわ!


 ペイルの、そんな最後の言葉が青夢の希望になっていたのだ。


「このVI(人々)は、間違いなく命です! ですから私たちは、今度は魔法に頼らずに彼らを蘇らせなければなりません。……そう、今度こそ。」


 青夢は、一旦溜めてから宣言する。


「……全てを救うために!」

ウィッチエアクラフトシリーズは以上で完結となります。


今までご愛読いただいた方は本当にありがとうございました!

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