#68 龍魔王vs世界連合軍
「世界共通の敵を名乗ったのはかの魔女木獅堂博士の娘との情報が出ております。ただ今、その真偽は調査中とのことですが……」
「青夢……」
青夢の父獅堂が、妻・藍と共に隠れ潜む場所で報道にて娘のことを知っていた。
――いいぞ、倒せ倒せ!
――電賛魔法終わらせろとかほざいてる奴マジ氏ね
――キモい
ネットワーク上には、心ない言葉も溢れ返っていた。
「……大丈夫、獅堂さん。」
「! 藍ちゃん……」
そんな夫を励ましたのは青夢の母でもある藍だった。
「あの娘は私たちの娘……きちんと、帰ってきてくれるから。」
「……ああ、そうだな!」
獅堂は藍の言葉に、大きく頷く。
◆◇
「Well……来たね、新たな王陛下!」
そうして、宇宙では。
一時休戦した魔男連合艦隊との戦いから一夜明け。
デイヴは自機ギガンティックマンドレイクから見る先の光景に、歯軋りする。
そこには。
「電賛魔法システムとのお別れは済んだかしら? まあ名残惜しくても、もう猶予は与えられないけどね……さあ、お別れの時よ!」
青夢は、改めて宣言する。
彼女が座乗する龍魔王の宙飛ぶ三段法騎戦艦レッドドラゴンと、同艦を旗艦とする魔男連合艦隊。
先の戦いで数を減らしはしたが、未だ勢力を湛える難敵である。
「Yes……申し訳ない、新たな王陛下! 私たちにも、ここを突破される訳にはいかないのでね!」
デイヴは座乗する空宙装甲列車から宣言する。
魔男連合艦隊と対峙するは、世界連合軍。
龍魔力のギリシアンスフィンクス艦に、王魔女生のヘロディアス艦隊。
呪法院エレクトロニクスやその他各国代表の法機を格納した空宙装甲列車が各勢力に配備され。
それらが、戦列を成している。
「さあ騎士団長諸卿……各自、全速前進! 世界連合軍の中央を突破ですよ!」
「お前が俺様たちに命令するなアブラーム卿!」
「本当よ! 王の側近だからって偉そうに!」
「何にせよ、アブラーム卿の命は新たな王陛下のご命令だ……行くぞ!」
三段法騎戦艦から伝わるパールの呼びかけに。
騎士団長たちは口々に文句を言いながらも、自艦隊を前進させる。
「hccps://juno.wac/、セレクト ! 嫉妬監視 エグゼキュート! さあ見えました敵艦が、尹乃様! 華妖、亜魔導!」
「hccps://hekate.wac/WildHunt.fs?assault=true――セレクト、王神の槍 エグゼキュート!」
「hccps://perchta.wac/、セレクト 電霊統率 エグゼキュート!」
「hccps://jadwiga.wac/、セレクト 黒き十字架 エグゼキュート!」
「む!? く……魔女共め!」
しかしそんな中、王魔女生のヘロディアス艦隊から、攻撃が放たれ。
「…… ギリシアンスフィンクス艦ちゃん! 獅脚主砲に咆哮主砲旋回! 目標、魔男のあの艦隊!」
「hccps://graiae.wac/pemphredo/edrn/fs/stheno.fs?eyes_booting=true――セレクト ブーティング "目"!」
「hccps://graiae.wac/deino、セレクト グライアイズアイ!」
「hccps://graiae.wac/enyo、セレクト グライアイズファング!」
「……セレクト、デパーチャー オブ 誘導銀弾 エグゼキュート!!!」
「hccps://sphinx.wac/、セレクト 大いなる謎 エグゼキュート!」
「hccps://echidna.wac/! セレクト 、幻獣支配 エグゼキュート!」
「hccps://harpuia.wac/、セレクト 剥奪腐食 エグゼキュート!」
「ぐっ! またか!」
負けじと、龍魔力のギリシアンスフィンクス艦と法機群からも攻撃が放たれる。
それらはいずれも、毎度お馴染みというべきか魔男の艦バリアにより防がれたもののある程度の痛打にはなった。
「呪法院エレクトロニクス、突撃! 王魔女生や龍魔力に遅れを取ったままじゃいけないわ!」
「はい、レイテ様!!!」
「hccps://MorganLeFay.wac/、セレクト! 楽園への道! エグゼキュート!」
「hccps://idun.wac/、セレクト クルミ変化! hccps://idun.wac/GrimoreMark、セレクト 胡桃弾! エグゼキュート!」
「hccps://morgause.wac/、セレクト 叛逆騎士の母! エグゼキュート!」
「hccps://hesperides.wac/、セレクト 不和の林檎! エグゼキュート!」
レイテらも、攻撃を放つ。
「く……ふん、しかし! もはや同じ手は食うまい、全馬男の騎士団、発艦せよ!」
しかし、馬男の騎士団長シャルルは部下たちに命じ。
自身も含め魔男を、自分の幻獣機と共に発艦させた。
「!? く……魔男の魔神艦から幻獣機群多数発艦!」
「な、なんだって姉貴!」
それを見た龍魔力姉妹は、状況を憂う。
「喰らうがよい、我らが曲を! hccp://baptism.tarantism/、セレクト 悪魔の交響曲 エグゼキュート! さあ皆よ……この私が指揮者であるぞ、ハーモニーを奏でよ!」
「シャルル殿!! ……hccp://baptism.tarantism/、サーチ……」
「く……ぐっ!!」
予想通り。
シャルルたちは真空であってもシステムを介して聞こえる音波攻撃を見舞って来た。
「hccps://camilla.wac/……セレクト サッキング ブラッド! エグゼキュート!」
「!? あ、あれ……音が……」
「な、なら今よ皆!」
が、その時。
どこからともなく、マリアナの法機カーミラによる援護で一時的にシステムリンクが切れ彼女たちは解放される。
「……セレクト、デパーチャー オブ 誘導銀弾 エグゼキュート!!!」
「セレクト! 楽園への道! エグゼキュート!」
「セレクト、王神の槍 エグゼキュート!」
「なっ!? へ、平気で攻撃を? ……ぐああ!」
その隙を突いての魔女側の波状攻撃に、シャルルらは防ぐ術もなく弾幕を食らってしまう。
「今だ! チャンスだぜ姉貴!」
「ええ! その隙に早く」
「hccps://baptism.tarantism/、セレクト 竜獄炎砲!」
「セレクト、巨人鎚砲!」
「セレクト、宿木弾!」
「セレクト、泡弾!」
「エグゼキュート!!!!」
「!? きゃああ!」
それを魔女側が勝機と見るも、すぐに。
魔男側からの艦砲斉射に見舞われ、戦線は混乱する。
馬男の騎士団を救援すべく、龍男・巨男・木男・魚男の四騎士団艦隊が駆けつけたのである。
「俺様は今、虫の居所が悪りいんだよ! さあ……せいぜい八つ当たりされてもらうぜ」
「誘導柘榴弾、雷雨神砲一斉発射!」
「な……ぐああ!」
が、魔女側にも。
後方に前線基地として控える空宙都市エルドラドからの援護射撃があった。
◆◇
「小鬼!」
「是、女夭! 中国代表アポストロスも法機群突撃開始!」
「是!!」
「私たちも! 韓国代表アポストロス法機群突撃!」
「네!!!」
「よし……日本代表として、私たち自衛隊アポストロスもだ!」
「はい、教官!」
そうして。
日中韓の代表アポストロスも、各空宙装甲列車を前進させる。
「ふん、兄カインは見当たらないか……まあいい!」
「ええ、トバラ族の節にお世話になった借りを!」
「ああ、お返しいただかなくてはなあ!」
そんな彼女たちに迫るは、アベル・クロー・ファング率いる牛男・狼男・虎男の三騎士団による人虎艦・人狼艦・牛人艦ら他と同じく半人半艦の艦隊である。
「是! まずは先手必勝……hccps://xiwangmu.wac/、セレクト! 死鎌爪 エグゼキュート!」
「hccps://wuzetian.wac/、セレクト 武周建国 エグゼキュート!」
「hccps://yangguifei.wac/、セレクト 甘美な茘枝 エグゼキュート!」
「む、この!」
斬撃と広範囲爆破、エネルギー弾多数落下による爆撃と、続々と中国代表による攻撃が空宙装甲列車より炸裂する。
「hccps://kumiho.wac/、セレクト! 九尾――殺生石 エグゼキュート!」
「hccps://seondeokyeowang.wac/、セレクト 毗曇鎮圧 エグゼキュート!」
「hccps://soseono.wac/、セレクト 始祖誕生 エグゼキュート!」
「hccps://yuhwa.wac/、セレクト 日光感応 エグゼキュート!」
「ぐう!」
さらに、こちらは自列車から発艦した韓国代表の法機群より。
腐食性攻撃に衝撃波、熱波、光波が放たれる。
「ふん……調子に、乗るな! セレクト ビーイング インフェクティッド ウィズ 電使細菌コロリーズジャーム!」
「!? 教官、私たちが盾になりましょう!hccps://takiyasya.wac/、セレクト 餓者髑髏 エグゼキュート!」
「! よ、妖術魔二等空曹?」
が、ファングによる人虎艦からの艦砲射撃にただならぬ様を覚え。
力華は、自隊の装甲列車を前に出す。
「ははは、どうだ! 人体にも感染する俺の電使細菌は……な!?」
「これはなるほど……前の喇叭による災いの時に飯綱法さんたちが止めてくれたものね! ……でも、残念!」
そうして艦砲射撃を喰らう日本の装甲列車だが。
車体より生えた巨大な骸骨――力華の法機滝夜叉による力だ――が砕けたのみだった。
「くっ……この!」
「さあ、行きましょう、hccps://amaterasu.wac/! セレクト 天岩戸 エグゼキュート!」
「hccps://takiyasya.wac/、セレクト! 髑髏剣 エグゼキュート!」
「hccps://izanami.wac/、セレクト 黄泉行軍 エグゼキュート!」
自衛隊法機群に接続された空宙装甲列車搭載砲より、攻撃が放たれる。
「くっ!」
「この!」
「これでは、雪辱どころか屈辱の上塗りではないですか!」
やはり魔女の法機群による波状攻撃で後退と一方的な展開になることは免れず、結局は後退していく。
◆◇
「オオオオ! さあ、忌まわしき空宙都市が見えるなああ!」
「本当本当! さっさと消えちゃえばいいのに!」
「ああ、まったくだねえ!」
グランド・フリップ・レイブンが率いる狂人艦・鳥人艦・吸血鬼艦の艦隊は、かつて空宙都市と直接対峙した者たちである。
故に、怒りを込めて今前進して来る。
「欧代表も、私に遅れないで!」
「Oui!!!」
初花に率いられる、空宙装甲列車より発艦した欧代表法機群が迎え撃つ。
「hccps://andromeda.wac/、セレクト 流星弾 エグゼキュート!」
「hccps://sekhmet.wac/、セレクト 病の火息!」
「hccps://AlUzza.wac/、セレクト 神の権力!」
「hccps://devi.wac/、セレクト 多面の相!」
「エグゼキュート!!!」
「ぐっ! こ、この!」
欧代表の先制攻撃が、魔男艦隊に炸裂する。
「defo、私たちも!……Select, 虹の彼方 Execute!!!」
「hccps://ungur.wac/!」
「hccps://yurlungur.wac/!」
「hccps://yingarna.wac/!」
「/GrimoreMark/、Select 虹の前兆 Execute!!!」
そのまま法機エインガナ以下豪代表の法機群は、またも高速で飛び回りつつエネルギー雨を浴びせる。
「オオオオ! 何の!」
「Now、今よ空宙都市エルドラド! 誘導柘榴弾、雷雨神砲一斉発射!」
「く……もうっ!」
そこへ米代表が控えていた空宙都市エルドラドよりエネルギー雨と弾幕が放たれ、魔男の艦隊は大苦戦する。
「黒日……」
「ええ、真白。魔男との戦いを、皆さんこなしてくれてるわ……青夢……」
「ええ、青夢……」
空宙都市の拘束されている部屋にて。
真白と黒日は窓の外にすぐには見えないが、遠くにいるであろう親友に思いを馳せていた。
◆◇
「I'm sorry, Ms.Mameki! 私たちはそれを聞いては、君を見逃せなくなった……!」
そうしてステルス能力を駆使して凸凹飛行隊と共に、座乗する空宙装甲列車にて敵旗艦たる三段法騎戦艦に肉薄しつつ。
デイヴは覚悟を決めていた。
――……新たなダークウェブの王の思し召しよ、よく聞きなさい! 私はこれから、この電賛魔法システムを終わらせるわ!
――そうね、かつて幻獣機関連のビジネスが頓挫して没落した飯綱法重工のように……今電賛魔法システムの恩恵を受けている魔法塔華院・王魔女生・龍魔力を始めとする全企業ひいてはこの社会が! 崩壊する時よ……
これが以前、青夢が世界に向けて放った言葉である。
「さあて、近づいて来ましたわね……」
「はい、マリアナ様……」
「魔女木……」
車内よりマリアナたちは、憂げに外を見つめる。
「……hccps://reddragon.sfbs/GrimoreMark、セレクト 火刑による怨念業火! エグゼキュート!」
「What!?」
「きゃあ! これは」
「ま、マリアナ様!」
「こ、これは……魔女木が!?」
が、その時。
見えていないはずの空宙装甲列車に、三段法騎戦艦の主砲撃が見舞われる。
「来ると思ったわ……まあ、擬似大気圏を纏っているならこれは効くわよね!」
「Well……中々えげつないなあMs.Mamekiは!」
青夢は、凸凹飛行隊の空宙装甲列車向けの攻撃を見舞っていた。
「やれやれ、ここはやはり俺がいねばな! 「hccps://pandora.wac/、セレクト 匣封印! エグゼキュート!」
「! エネルギーが吸い込まれて……なるほど、飯綱法か。」
しかしその攻撃も、盟次の法機パンドラによる力で亜空間に飛ばされ。
青夢は気づく。
「hccps://baptism.tarantism/! セレクト、業火砲!」
「む!? おや……あれは、悪魔人艦! そうか、ウィヨルとフィダール!」
と、そこへ。
三段法騎戦艦下部にやって来た、魔男の騎士団座乗艦たる悪魔人艦からの砲撃があり。
それを尚も亜空間に飛ばしつつ盟次は、車窓からそれに気づく。
「これは仕方ないな……hccps://pandora.wac/、セレクト 匣封印! hccps://pandora.wac/GrimoreMark、セレクト! 匣の穴 エグゼキュート!」
「む! じ、次元の穴が!」
「やはりいますか、マージン・アルカナ!」
それを見た盟次は、三段法騎戦艦上部にも亜空間を開き。
そこから。
「さあ、行っくでえメアリーさんにミリア!」
「ああ、騎士団長!」
「はい、騎士団長!」
「! み、ミリア!」
元女男の騎士団法機群に。
「魔女木さん!」
「矢魔道さん……」
矢魔道の法機が、躍り出た。
「おっしゃー、行くでえ! hccps://martha.wac/ セレクト! 子飼いの帯 エグゼキュート!」
「あいよ騎士団長! hccps://circe.wac/!」
「はい! hccps://medeia.wac/!」
「edrn/fs/gogmagog.fs?arts=TwinStreamーーセレクト !! ツインストリーム エグゼキュート!!」
「よし、ならば……hccps://hel.wac/、セレクト 地獄誘い! エグゼキュート!」
「魔女木さん、僕も君を止める!hccps://redserpent.mna/edrn/fs/samael.fs?demon_freezing=true――セレクト、魔王の氷獄! 聖母の悲哀 ! hccps://redserpent.mna/GrimoreMark、氷柱剣! エグゼキュート!」
そのまま元女男及び矢魔道の法機群、更に亜空間越しの盟次の法機からの攻撃が三段法騎戦艦に迫り――
「……セレクト! 売買領域 エグゼキュート!」
「!? な、攻撃が!?」
しかし。
突如としてそれらの攻撃は、三段法騎戦艦に命中することなく消えてしまった。
それは。
「ふふふ、よくぞ来られましたわね……ですが! 困るんですよ、我らが王を攻撃されては!」
パールが、自機を差し向けていたのだった。




