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ウィッチエアクラフト〜魔女は空飛ぶ法機に乗る〜新たな女王編  作者: 朱坂卿
新・第四翔 空宙都市エルドラド ゴールドラッシュ
44/74

#43 牙を剥く空宙都市

「Damn! こ、コントロールが効かないぞ!」

「y、YES! な……と、都市下部が奇妙な形に!」

「Why!? な……o、Oh my god!」


 空宙都市監視台では都市が制御不能となったこと、更にその奇妙な変形にてんやわんやである。


「Hello! こちらソー、聞こえるか空宙都市監視台!」

「!? そ、ソー軍曹! はい、こちら空宙都市監視台! 只今原因は不明ながらも空宙都市制御不能!」


 と、そこへ。

 デイヴより、入電があった。


「Well……やはりか。私も至急、そちらに戻る! だから……そち……らでも……どう……か」

「!? そ、ソー軍曹!?」


 ガガガ! ピー……


 デイヴの通信はしかし、突如として切れた。


 ◆◇


「あ、あれは何!?」

「わ、鰐!?」


 そうして宇宙より、変わり果てた空宙都市の姿を見て凸凹飛行隊の面々やデイヴが混乱する中。


 それは仮想大陸にいるセーレたちの口より、出た言葉であった。


 何故なら、大陸自体の形も同じく。


 長い頭部をもたげ、大口を開き。


 同じくもたげられた四肢に備えられた鋭い爪が不気味に輝き、長い尾を持つ巨大な鰐のごとき姿だったからである。


「Hello、こちらソー! 聞こえるか、米代表アポストロス!」

「Hello、こちらシンドラー!」


 と、その時。

 現実のデイヴより、セーレたちに入電があった。


 監視台に連絡できないと知り、こちらにかけてきたのである。


「Well……落ち着いて聞いてくれ! 只今空宙都市は、制御が効かない状態に陥っている。そちらはどうだ?」

「What!? そ、ソー軍曹……こ、こちらも仮想大陸が鰐のような形に!」

「YES……空宙都市もそんな形になっている! 未だ詳しくは分からないが、恐らくエルドラディアンたちの反乱が原因だろう。エルドラディアンたちに今、何か変化はないか?」

「What!? い、いいえ何も……」


 デイヴの通信に、セーレたちは地上を空中を見渡すが。


 エルドラディアンたちが武装蜂起した様子はない。


 無論原因は、欧代表アポストロスによる神殿内でのいざこざなのであるが。


 セーレたちも、さすがに空中の法機内から神殿内のことなど知る由もなく。


 ただただ、原因が分からず戸惑うばかりである。


「Well……そ……れ……で……早」

「!? そ、ソー軍曹!?」


 ガガガ……


 が、その時。

 先ほどの監視台と同じく、デイヴからの通信が途絶えてしまった。


 ◆◇


「Damn! く……くそ!」

「デイヴさん……」


 その頃、空宙都市周辺宙域を走る空宙列車電磁砲(ラミエルズサンダー)車内にて。


 通信が切れ、デイヴは動揺する。


 相変わらず車窓からは、変形した鰐のごとき空宙都市が身体をしならせている様子が見える。


「……ミスター・ソー、お気を確かに! 今、あの空宙都市は間違いなく敵に乗っ取られていましてよ! そして恐らく、取り戻せるのはわたくしたちだけですわ。そんなわたくしたちが揺らいでどうするのであって?」

「! Ms.Mahotokein……」


 そんなデイヴに、マリアナからの叱咤が飛ぶ。


「hccps://emeth.makeda.wac/! セレクト 、大蛇殺し(サーペントスレイヤー) エグゼキュート!」

「What!?」

「く……敵法機からの攻撃よ!」


 が、その時。


 法機マケダより、空宙列車電磁砲(ラミエルズサンダー)に攻撃があり。


 被弾はしなかったものの、あやうく衛星軌道より脱線しかかる。


「俺が出る! ソー軍曹、俺の法機を屋根の上に出してくれ!」

「y、YES! Mr.Hougenji!」


 そこで剣人が名乗りを上げ。


 応じたデイヴは、法機クロウリーを格納している車両上部の飛行甲板を回転させ。


 法機クロウリーを、露にする。


「さあ、行くぞ敵法機……hccps://crowley.wac/、セレクト アトランダムデッキ! (ザ タワー)――雷撃降下(サンダーフォーリング) エグゼキュート!」

「あら! これは元魔男にして、"彼"の分身……あなたが出てくるとは因果なものですわね!」


 未だ空宙列車電磁砲(ラミエルズサンダー)車両上部に止まりながらも仕掛けられた法機クロウリーによる対空雷撃に。


 パールは自機マケダを翻し躱しながらも、その乗り手たる剣人に気づく。


「さあて……セレクト 、デパーチャー オブ 空飛ぶ法機(ウィッチエアクラフト)、エグゼキュート!」


 そうして。


 剣人の命を受けて法機クロウリーは、飛行甲板たる車両屋根に備え付けられていて今同機下部に位置している溝状のカタパルト――空宙列車電磁砲(ラミエルズサンダー)の名前の由来である――により加速され空宙列車を発艦する。


「あらあら、来てくれるんですわね! ならば……遊びましょう、ソード・クランプトン!」

「ふん……その名で呼ぶな!」


 そうして宇宙空間へと駆り出した剣人は。

 パールの法機マケダと、対峙する。


 ◆◇


「方幻術……さあデイヴさん! あいつがパール・アブラームを相手してくれている間、私たちは空宙都市エルドラドを奪還しに行きましょう!」

「y、YES!」


 そんな様子を、車窓から眺め。

 青夢たちは次に、改めて空宙都市を見る。


「だけど……あの中には、まだ沢山の一般市民や軍人に他国の代表までいるわ! 下手に手出しをしたら」


 青夢はしかし、懸念を口にする。

 そう、空宙都市内には事実上人質を取られたようなものであり。


 迂闊に手出しはできないというのが現状である。

 とはいえ。


「But……な、く、空宙都市から空宙列車が!」

「!? え?」


 悩んでいる時間はないとばかりに。


 空宙都市より這い出たのは、数編成ほどの空宙列車。

 それらは次々と捲れるようにして機体上部を起こし。


 その起こされた上部は砲身を形作る。

 そう、それは。


「あれは……日本の空宙都市計画の時にも出て来た、空宙列車砲(ベリアルズフレイム)! く、あの空宙都市……地上に攻撃を仕掛ける気だわ!」

「What!?」

「ええ、今回ばかりは同意であってよ魔女木さん……」

「マリアナ様!」

「青夢……」


 かつて盟次が、衛星軌道上に展開し地上をその砲火で焼こうとした空宙列車砲(ベリアルズフレイム)であった。


「く、何とかしなきゃ」

「!? 空宙都市より弾幕発射!」

「な……きゃっ!!」

「くう!」

「マリアナ様!」

「青夢!!」


 そして。


 空宙都市では、雷雨神砲(トラロックズレイン)のエネルギー防御幕が周囲に展開され。


 かと思えばそれは、文字通り雨となり青夢たち搭乗の空宙列車電磁砲(ラミエルズサンダー)へと降り注ぐ。


 更にそれだけではなく。


 誘導柘榴弾ジュノーズアップルバレット――が、魔男仕様に改造された誘導柘榴魔弾ジュノーズアップルマジックバレットも無数放たれ。


 それらも分裂し、更に数の多い弾幕となり雨状に降り注いでいく。


「Damn! くっ…… hccps://giganticmandrake.mna/、Select 風元素(エレメンタルウインド)! 

 hccps://giganticmandrake.mna/GrimoreMark/、Select 大気防壁(エアバリア) Execute!」

「! デイヴさん……」


 と、その時。


 デイヴが、未だ格納されている自機ギガンティックマンドレイクの力を発動し。


 擬似大気圏を作り出し、弾幕を防ぎ切る。


「さながら空宙都市が――あの鰐が牙を剥いたといったところであってよね! これは……わたくしたちから来なければ、わたくしたちを潰すと挑発されているのではなくって?」

「は、はいマリアナ様!」

「ま、待った魔法塔華院マリアナ! 空宙都市内の一般市民のことも心配よ……でも、心配だけど自分の心配もしないといけない! これはどうしたものかしら……」


 青夢は改めて車窓から、空宙都市を見る。

 摩天楼群背負う鰐と化したそれは、尚も身体をしならせつつ。


 自身の周囲を雷雨神砲(トラロックズレイン)によるエネルギー気流展開で覆い、防御をしつつもその気流の一部を細かなエネルギーの雨として展開し攻撃も行っている。


「悩んでいる暇はない、か……」


 青夢はしかし、覚悟を決める。


 ◆◇


「hccps://emeth.makeda.wac/! セレクト 、 神移しアークオブザコブナント エグゼキュート!」

「な……ぐっ! 動きが!」


 その頃。


 空宙都市周辺宙域で空宙戦を繰り広げる剣人とパールだが。


 剣人はパールの法機マケダの力により、動きを止められる。


「ふふふ……空宙都市とも戦えなくて残念ですわね! さあ……hccps://emeth.makeda.wac/! セレクト 、大蛇殺し(サーペントスレイヤー) エグゼキュート!」

「くっ、この!」


 そんな剣人の法機クロウリーに。

 パールは無慈悲にも、自機マケダから大蛇状エネルギーを放つ。


 あわや、絶対絶命――


「hccps://jehannedarc.wac/……セレクト、ビクトリー イン オルレアン! エグゼキュート!」

「むっ!?」

「くっ、これは!? ジャンヌダルクの……? まさか!」


 と、そこへ。


 法機クロウリーとマケダの間を光線が一閃し、二機は大きく距離を離す。


「魔女木青夢ですわ……でも、どこに? あの娘の法機も空宙列車も、まったく姿が見当たりませんわ。」


 パールは、周囲を見渡し訝しむ。


「よし……デイヴさん! あなたのグリモアマークレット・宵闇の大気(ナイトエア)がこの空宙列車をうまく隠してくれてるみたいです!」

「YES! よかった!」

「マリアナ様……お任せください! 私のルサールカのゴーイング ハイドロウェイが、衛星軌道でなくてもこの空宙列車を走らせてみせます!」

「ええ、期待していてよ雷魔さん!」


 それは。


 今青夢たちの弁にもあった通り空宙列車がステルス能力に隠され、水流により衛星軌道外を走っているからであった――

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