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ウィッチエアクラフト〜魔女は空飛ぶ法機に乗る〜新たな女王編  作者: 朱坂卿
新・第四翔 空宙都市エルドラド ゴールドラッシュ
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#40 停戦の試み

「止めてください、米代表アポストロスの皆さん! そのエルドラディアンたちは確かに作り物だけど、私たちと同じくらい……いえ、それ以上の思考能力を持った人間たちなんです!」

「What!? あなたたちは……魔法塔華院コンツェルンの凸凹飛行隊の皆さん!」

「ええ……お邪魔させていただきましてよ。」


 仮想大陸エルドラドの中心地たる、黄金の都エルドラド・シティー上空にて。


 先住民エルドラディアンの戦士団と米代表アポストロスが対峙する中、新たに現れたのは青夢率いる凸凹飛行隊の法機群である。


「What? エルドラディアンたちが人間……? ……だとしても! 私たちに戦いを挑んで来たのは彼ら。そんな中で、戦いを止めろなんて無理よ!」

「Yes!!」

「ふん、先に我らを脅かせしは奴らだ! そんな中で、何故我らが手を引かねばならぬのだ? え?」

「応!!」

「くっ……」


 が、やはりというべきか。

 青夢の停戦呼びかけも、エルドラディアン・米代表アポストロス双方には響かない。


「まあそうよね、口ばっかしじゃそうそう動いちゃくれないってのは分かってる……hccps://Hades.char/、セレクト コネクティング! hccps://AomuMameki:××××××@ophiuchus.mc/ophiuchus.engn、セレクト、コネクティング! ダウンロード 電使翼機関(ジェットエンジェン)、エグゼキュート!」

「!? な、何だ!」


 動揺するエルドラディアンたちだが。


 青夢は以前と同じく、法機ジャンヌダルクに聖血の杯(ブラッドサーバ)電使翼機関(ジェットエンジェン)をインストールする。


 それらは法機ジャンヌダルクを、女性型上半身と噴流器が齎された形態・戦乙女の宙飛ぶ法騎スペースライドオブワルキューレへと変化させる。


「青夢……」

「魔女木……」

「魔女木さん……」

「hccps://jehannedarc.row/、セレクト! ビクトリー イン オルレアン!hccps://jehannedarc.row/GrimoreMark、セレクト ルーアンの火刑パニッシュメントインルーアン エグゼキュート!」

「く!? あれは……またも忌まわしき、妖しき光の巫女とは!」


 そうして法騎ジャンヌダルクは、またも自身を象った巨大なエネルギー体纏う姿へと変貌を遂げた。


「ええ……さあ! これ以上進むかしら、それとも退くかしら?」

「く……ふん! 何の!」

「おおおお!!」

「……なるほど、退かないのね……」


 が、エルドラディアンたちは。

 以前のように怯えつつも、しかし以前のように怯え切りはせず。


 むしろ、気高く雄叫びを上げる。


「奇妙な鳥の乗り手共、妖しき巫女を従えてまたも我らを脅すか! だが! 残念ながら我ら、今や背水の陣なり。故に……」


 エルドラディアンたちは、一旦沈黙し。

 しかし、その沈黙は。


「……故に、一歩も退かぬ! ここから先は我らが黄金の都があり、民がいるのだ!」

「おおおおおお!!」


 彼らの決意を雄々しく語るための、束の間の息休めにすぎなかった。


「なるほど……敵ながら天晴れよエルドラディアンの皆さん!」

「いや、感心している場合ではなくってよ魔女木さん!」

「そうよ魔女木!」


 青夢は予想通りとはいえ、エルドラディアンたちの決意に感服する。


「さあ……覚悟せよ妖しき巫女めが!」

「おおおお!!」


 そのまま、エルドラディアンたちは臆することなく。


 騎獣たる電使言獣(スクリプティッド)を駆り、法騎へと向かい来る。


 ◆◇


「空宙都市エルドラド! 誘導柘榴弾ジュノーズアップルバレット雷雨神砲(トラロックズレイン)一斉発射!」

「Yes!!」


 その頃、現実世界――空宙都市エルドラド周辺宙域では。


 デイヴが命じ。


 それに応え空宙都市エルドラドのバリアより無数のエネルギーが雨状に飛散し、誘導柘榴弾ジュノーズアップルバレットによる弾幕が展開される。


「ふふ、そう何度も何度も同じ手が通用すると思ってくれては困るんだよねえ! まあいい…… hccps://baptism.tarantism/、セレクト 波動牙(クラッキンファング)! エグゼキュート!」

「!? What……誘導柘榴弾ジュノーズアップルバレットが!」


 しかし。


 蝙蝠男の騎士団擁する吸血鬼艦(ヴァトルパイヤ)艦隊に向けられたそれらの攻撃は、まず誘導柘榴弾ジュノーズアップルバレットが目標到達前に爆発し大きく乱されることとなった。


「よし、敵都市の攻撃が乱れたよ! さあ……全艦隊砲撃用意!」

「了解! hccps://baptism.tarantism/、セレクト ファイヤリング 翼爪砲(ウイングクロー)! エグゼキュート!」


 これを好機と見て。


 レイブンは全艦隊に命じ、吸血鬼艦(ヴァトルパイヤ)艦隊より艦砲斉射を見舞う。


They Damn(奴らめ)! 防壁の負荷増大!」

「Yes……雷雨神砲(トラロックズレイン)は防御に集中させるんだ! 私も隙を見て法機で出る!」


 これにより空宙都市も、攻撃を集中されいっぱい一杯になる。


 だが、いずれ隙を見て攻勢を仕掛けられれば。


 デイヴもやや、楽観的だとの誹りは免れないがそんな見通しでいた。


「ぐう!?」


 しかしそこへ。

 空宙都市を突如として鳴動が襲った。


 これは、まさか――


Damn it(くっ)……て、敵攻撃が空宙都市下部に命中!」

「What!? と、雷雨神砲(トラロックズレイン)はどうした!」

「No、No! わ、分かりません! 損害状況も不明!」


 デイヴは、いや監視台に詰めている米軍人たちは皆動揺している。


 前の雪男の騎士団艦隊との戦い時にも、押されつつも破られることはなかったはずの空宙都市の守り。


 しかし都市下部に攻撃が命中したということは、それに揺らぎが生じたということである。


 何故――


Move(退け)! く、何が起こって……っ!? な……何だあれは!?」


 が、ならばと監視台より空宙都市下部を目視で確かめてみたデイヴは呆気に取られた。


 それは何やら、蠢いた奇妙な黒い巨大な影。

 生物的な挙動を見せるそれは、しかしながらすぐに引っ込み全体像は知れない。


 それでもデイヴは、確かに見た。


「(あれがまさか、内側から雷雨神砲(トラロックズレイン)を掻き乱したということか!? 内側から……まさか!)」


 デイヴの頭には、やがて次から次へと懸念材料が浮かんで来た。


 ――もしかしたら、エルドラディアンたちに仮想大陸で戦争を起こさせてシステムにダメージを与えたかったのかも……


「(Ms Mamekiが言う通り……これはまさか、エルドラディアンたちの仕業なのか!?)」


 事ここに至り、デイヴは青夢の言葉を理解し始める。


「Well……私は法機で出る! ここは任せた!」

「Y、Yes! Leave it all to us(全て私たちに任せてください)!」

「……Thank you!」


 デイヴは自分の言葉に対する、部下たちの言葉に笑顔を返し。


 そのまま、列車乗り場へと向かう。


 ◆◇


「hccps://jehannedarc.row/GrimoreMark、セレクト 火刑熱風パニッシングパッション エグゼキュート!」

「ぐっ、妖しき巫女め!」


 その頃、仮想大陸では。


 青夢は自機たる法騎ジャンヌダルクを駆り、機体が纏うエネルギー体の腕を振るわせて熱風を巻き起こし。


 それがエルドラディアンたちを牽制し、遠ざけており。


 彼らを、ジワリジワリと後退させている。


「さあ分かったでしょ! だから、お願い撤退して!」

「ふん……どこまでも、我らを愚弄するかあ!」


 青夢は、さらにエルドラディアンたちに声で呼びかけるが。


 却ってそれは挑発と受け取られてしまい、エルドラディアンたちはまだ向かい来ようとする。


「くっ、魔女木さん……このままでは埒が明かなくってよ!」

「そうよ魔女木、これじゃあ切りがないわ!」

「魔女木、そうだ! 牽制だけでは限界があるぞ!」

「青夢!!」

「くっ……ええ、そうかもね……」


 この有様に、凸凹飛行隊からの苦言も入り。

 青夢は歯軋りする。


「hccps://sevenspirits.mna/、select 聖母の悲哀アワレディーオブソロウズ execute!!!」

「ぐああ!!」

「!? な……米代表の皆さん!」


 が、その時。


 高空より飛来したエネルギー刃が、エルドラディアンの軍に炸裂した。


 その攻撃の主は、米代表アポストロスだ。


「Well……ありがとう凸凹飛行隊の皆さん! この隙に、奴らを」

「待ってください皆さん! 攻撃を止めて!」

「What!? くっ!」


 好機とばかりに息巻く彼女たちだが、青夢がそんな彼女たちの法機群にエネルギー体の右腕を差し向け。


 それに驚いたセーレたちは、法機マリアを散開させる。


「何をなさるつもりかしら凸凹飛行隊さん! 私たちに刃を向けるなんて」

「今だ、攻めろ!」

「させないわ!」


 文句を言うセーレだが。


 隙ありとばかりに今度はエルドラディアンたちが攻めて来たところであり、青夢はそれへの対処でクレーム対応どころではない。


「What……もう! ソー軍曹の奥さんのお気に入りだからって!」

「YES! 何よ何よ!」

S()o()! ソー軍曹のお気に入りだからって!」

「YES、レフィ! あんたはやっぱり黙りなさい!」


 セーレたちは、尚も文句を言う。

 しかし、怒りよりも今感じられるものは。


「Well……だけど。凸凹飛行隊のあの法機の力に、私たちの法機マリアじゃ敵わないわ!」

「YES……」

「But……それで終わる気!? 私たちは、ソー軍曹に選ばれた者たちよ! 確かにあんな力は私たちにはない、B()u()t()! あんなbadなエルドラディアンたちに負けて、それでいいの?」

「レフィ……」


 レフィのギャグに突っ込む気力も忘れるほどの、不甲斐なさであった。


「そうね……私たちは!!!」


 セーレたちは、そこで覚悟を決める。

 そうして。


「……Search!!! Getting the stronger power!!!」


 気がつけば、術句を唱えていた――


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