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ウィッチエアクラフト〜魔女は空飛ぶ法機に乗る〜新たな女王編  作者: 朱坂卿
新・第四翔 空宙都市エルドラド ゴールドラッシュ
39/74

#38 米欧豪集結

「あ、あれが欧と豪の法機たち……?」

「Yes! よくぞ来てくれた!」


 戦場となっている宙域の上方を浮遊する幻獣頭法機ギガンティックマンドレイク操縦席にて、デイヴは大いに喜ぶ。


 彼の目の先には。


「hccps://andromeda.wac/、セレクト 流星弾(メテオバレット) エグゼキュート!」

「hccps://eingana.wac/、Select! 虹の彼方(オーバーザレインボー) Execute!」

「ぐう! この!」


 法機アンドロメダに率いられる欧の代表アポストロスと法機エインガナに率いられる豪の代表アポストロスの各法機群が、雪男の狂人艦艦隊に攻撃を掛ける光景であった。


「Now、今だ空宙都市エルドラド! 誘導柘榴弾ジュノーズアップルバレット雷雨神砲(トラロックズレイン)一斉発射!」

「Yes!!」

「ぐっ……この!」


 そうして欧豪の法機群攻撃に苦戦する狂人艦艦隊に対して、空宙都市エルドラドは更に牙を剥き。


 そのエネルギーシャワーと弾幕を喰らい、狂人艦は次々と被爆していく。


「ぐ、グランド騎士団長!」

「く……総員、撤退!」


 これでは敵わぬと。

 グランドは狂人艦艦隊を、撤退させたのだった。


 ◆◇


「青夢……」

「ふん……それでよくってよ魔女木さん!」


 その頃、仮想大陸エルドラドでは。


 それまで攻撃を躊躇っていた青夢が法機ジャンヌダルクから光線を発したことにより、敵味方双方に波紋をもたらしていた。


「ふ、ふん奇妙な鳥の乗り手共! 所詮はやはり貴様らは敵だということだ! 我らにこの通り牙を剥こうなどと」

「hccps://Hades.char/、セレクト コネクティング! hccps://AomuMameki:××××××@ophiuchus.mc/ophiuchus.engn、セレクト、コネクティング! ダウンロード 電使翼機関(ジェットエンジェン)、エグゼキュート!」

「!? な、何だ!」


 動揺するエルドラディアンたちだが。


 青夢は思い立ち、法機ジャンヌダルクに聖血の杯(ブラッドサーバ)電使翼機関(ジェットエンジェン)をインストールする。


 それらは法機ジャンヌダルクを、女性型上半身と噴流器が齎された形態・戦乙女の宙飛ぶ法騎スペースライドオブワルキューレへと変化させる。


 更に。


「青夢……」

「魔女木……」

「魔女木さん……」

「hccps://jehannedarc.row/、セレクト! ビクトリー イン オルレアン!hccps://jehannedarc.row/GrimoreMark、セレクト ルーアンの火刑パニッシュメントインルーアン エグゼキュート!」

「!? こ、これは……!?」


 それは。

 法騎ジャンヌダルク――を象った巨大なエネルギー体だ。


 かつてのネメシス戦におけるペイル・ブルーメとの最終決戦において、見せた技である。


「ひ、ひいい!」

「な……何だそれは!? 奇妙な鳥の乗り手共! まだ我らを攻めるというのか!」

「いいえ……言ったでしょ、私たちにはあなたたちを進んで傷つける意思はないって!」

「く……」


 怯えるエルドラディアンたちに対し。


 青夢は、威嚇を目的に法騎ジャンヌダルクが纏う巨大なエネルギー体を滾らせる。


「だから! お願いだから撤退して! この炎が、あなたたちを呑み込む前に!」

「ぐっ……くっ!」


 青夢の更なる呼びかけに、エルドラディアンたちは更に怯える。


 そうして。


「ぐっ……者共、撤退だ! 奇妙な鳥の乗り手共、何やら怪しげな巫女までを従えていたとは! だがよい……今に見ていろ! この屈辱はいずれ晴らす!」


 捨て台詞と共にエルドラディアンの戦士団は、乗騎たるテペヨロトルを促し文字通り尻尾を巻いて逃げていく。


 かくして仮想大陸・空宙都市の両エルドラドの戦いは、一応の決着はついたのだった。


 ◆◇


「ではまず……Welcome! 欧豪の代表アポストロス!」

「Thank you!」

「Merci!」


 戦いの直後、空宙都市エルドラドのビル群一角内客間にて。


 凸凹飛行隊も交え、大テーブル上に料理も並べられ欧豪の代表アポストロスの歓迎が行われた。


「デイヴさん……歓迎会の所申し訳ないんですけど。」

「Well……何ですか?」


 青夢はそのさなか、デイヴにそっと耳打ちする。


「今すぐ……エルドラドから、全ての人を避難させるよう進言します!」

「What?」


 青夢はそう、宣言したかったのだ。


「今の魔男たちは、仮想知権能――VIと呼ばれる人工知能を搭載した、所謂ロボット兵士たちです。それは……あのエルドラディアンたちも同じだと思います!」

「What!? な、何ですって……」


 青夢の耳打ちに、デイヴは大いに混乱する。

 ロボット?


 エルドラディアンたちが?


「……さっきのエルドラディアンたちとの一悶着。あれはシステム上予定されていたことと説明を受けましたが、そうではないですよね? それにこれまたさっきの魔男艦隊との交戦騒ぎも……この二つが同時に起こったこと、偶然とは思えないんです! もしかしたら、エルドラディアンたちに仮想大陸で戦争を起こさせてシステムにダメージを与えたかったのかも……」

「W、Well……」


 青夢は、先ほどデイヴから受けた説明に基づいて話をしていた。


 彼女の話を聞きつつデイヴは、考えを巡らせていた。


 魔男たちと同じく人工知能たるエルドラディアンたちの決起。


 確かにそれは、魔男艦隊の攻撃と時同じくすること偶然とは思えない。


 何よりデイヴにも、心当たりがあった。


 それは以前とは違い魔男艦隊に、空宙都市エルドラドの防御攻撃が悉く効かなかったことだ。


「(あれは魔男側が強くなったというのみならず、仮想大陸でのエルドラディアンによる攻撃によって空宙都市の迎撃システムが弱ったということでもあったのか……?)」


 考えられない話ではない。

 しかし。


「……No、Problem Ms.Mameki! あれは本当に、予め予定されていたイベントなんだ。だけど、ご親切にどうも。」

「そうですか……ありがとうございます。」


 デイヴはあくまでそう言い切り。

 青夢はそんな彼に、ぺこりと頭を下げる。


 ◆◇


「はーあ……」


 そのまま、再び仮想大陸エルドラドへとログインした青夢たちだが。


「やっぱり違うわよね、デイヴさんがあの様子では……あー、もう! どうしたらいいのよ!」


 青夢は一人、単独行動で森を歩きながら考えていた。

 と、その時。


「Hey、お嬢さん! せっかくこんな面白い所いるのにため息吐いて勿体ないよ!」

「っ! え、えっと」


 木の上から、青夢に声をかけたのは。


「Well、私はミシェル・A・G・イングリード! 法機エインガナの魔女だよ!」

「い、イングリードさん……そう、あなたが法機エインガナの……」


 豪の代表アポストロスリーダーでもある、ミシェルであった。


「Yeah! OH、あなたももしかしてあのQueenアラクネに法機を?」

「は、はい! 魔法塔華院コンツェルンの凸凹飛行隊隊長・魔女木青夢と言います! 法機ジャンヌダルクの操縦士です。」

「OH! すごい人にあっちゃった〜!」


 ミシェルは元気よく、青夢の言葉にいちいちオーバーリアクションで答える。


「Hi、ミシェル! いつまで木の上にいんの?」

「OH、皆!」


 そんなミシェルに声をかけたのは。


 ハンナ・P・リットン、エイミー・C・アール、アドリアーナ・リー・ウィズダム。


 皆、ウエスタンハットを被った豪代表アポストロスのメンバーたる魔女たちである。


「I'll introduce(紹介するわ)、こちら魔女木青夢さん! 魔法塔華院コンツェルンの方よ!」

「OH! あの魔法塔華院コンツェルン?」

「すごーい!」

「い、いやそんな……」


 青夢は若干、戸惑いつつも。

 不思議と、嫌な気持ちはしなかった。


 ◆◇


「グランド卿……フリップ卿に引き続き失敗とは。これは、体たらくと言えるのでは?」

「……申し訳ない。」

「ぐっ……」


 その頃、魔男の円卓では。

 グランドやフリップの失敗が、パールにより糾弾されていた。


「……まあいいでしょう。ご安心ください、新たな女王陛下。既に手は打ってありますわ。」

「あら……それは頼もしいわね!」

「(おのれ……アブラームめ!)」

「(キー! 何なのよあの小娘! 今に見てなさい……必ず私たちが!)」


 新たな女王と談笑するパールに。

 グランドやフリップのみならず、他騎士団長の不満は溜まる一方であった。


 ◆◇


「お呼びでしょうか、ソー軍曹!」

「Yes……君たちの出番が来たようだ。」


 その頃、空宙都市監視台にて。

 デイヴは部下の米代表アポストロス所属女性軍人たちを集め、呼びかけていた。


 セーレ・M・A・シンドラー、ケイ・O・サースト、レフィ・T・H・ピアーズの三名である。


「仮想大陸の黄金の都に行き、調査してほしい!」

「……Yes, Boss!!!」


 セーレらはデイヴの言葉に、勇んで答える。


 ◆◇


「ジャガーの戦士たちが敗北した、だと……!?」

「はっ!」

「ううむ……」


 そうして、その仮想大陸黄金の都にて。

 エルドラディアンたちの王はその報告に、頭を抱えていた。


「こうなればジャガーの戦士のみならず。鷲の戦士、コヨーテの戦士、髑髏の戦士たちにも立ち上がってもらわねばな!」

「はっ!」


 王は、そう命じる。

 かくして。


 空宙都市エルドラドを巡る戦いは、ゆっくりとしかし穏やかでなく始まろうとしていたのだった――



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