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ウィッチエアクラフト〜魔女は空飛ぶ法機に乗る〜新たな女王編  作者: 朱坂卿
新・第四翔 空宙都市エルドラド ゴールドラッシュ
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#37 エルドラディアンの怒り

「奇妙な鳥の乗り手共! 我らより地を奪い命を奪い虐げ……あまつさえ黄金の都にすら攻め入ろうとはもはや許しておけぬ! この怒り、思い知れ!」

「オオオオ!!」


 ジャガーの戦士団は、凸凹飛行隊を前に。

 気高くも雄叫びを上げている。


「ま、マリアナ様!」

「ふん、何をおっしゃってか分からなくってよだけど……あなた方こそ! 宣戦布告もなしに奇襲を仕掛けておいていけしゃあいけしゃあとよくも……恥を知りなさい!」


 しかし、マリアナも負けじと。

 エルドラディアンたちに返す。


「待って、エルドラディアンの皆さんも魔法塔華院マリアナも! 私たちにはあなたたちを進んで傷つける意思はないわ、だから! お願いだから撤退して!」

「青夢……」

「魔女木……」


 だが、青夢はそこで。

 エルドラディアンたちに停戦を、呼びかける。


「はあ? ふん、何を今さら……我らを攻撃し、同胞たちを数多く傷つけて来たのは貴様ら! これは我らの復讐である!」

「オオオオ!!」

「まったく、今回ばかりはあのエルドラディアンの方々とやらに同意であってよ……魔女木さん!」

「そうよそうよ、変な言い方しないで魔女木!」

「くっ……」


 青夢の呼びかけは、敵味方双方から否定されてしまう。


「まあ、何はともあれ……かかっていらっしゃいエルドラディアンさんたち!」

「オオオオ!! 望む所だアアアア!」

「ま、待って皆!」


 かくして。

 青夢の呼びかけも虚しく、エルドラディアンと凸凹飛行隊の戦いは始まってしまった。


 ◆◇


「Now、今だ空宙都市エルドラド! 誘導柘榴弾ジュノーズアップルバレット雷雨神砲(トラロックズレイン)一斉発射!」

「Yes!!」


 その頃、現実世界――空宙都市エルドラド周辺宙域では。


 デイヴが命じ。


 それに応え空宙都市エルドラドのバリアより無数のエネルギーが雨状に飛散し、誘導柘榴弾ジュノーズアップルバレットによる弾幕が展開される。


「ぐああ!」

「くっ、群生(フォーメーショ)形態(ンクラスター)に移行、回避行動!」

「り、了解! ……セレクト、ビーイング トランスフォームド イントゥ 群生(フォーメーショ)形態(ンクラスター)! アボイディング アサルト、エグゼキュート!」

「ぐああ!」

「く……やはりか! 分離してもパーツ毎に攻撃が命中して来るとは!」


 それにより回避行動を取る雪男の騎士団艦隊だが。


 やはり攻撃は細かすぎ、全く素通りしないどころかむしろパーツ一つ一つを確実に破壊していく。


 更に。


「続いて……誘導柘榴弾ジュノーズアップルバレットだ!」

「!? て、敵弾飛来!」


 誘導柘榴弾ジュノーズアップルバレット


 これまた、アメリカがこれまでの幻獣機父艦等を解析し開発した対魔男兵器である。


「ぐああ!」

「て、敵弾分裂! こ、構成機群続々爆発!」

「くっ……全艦隊、回頭!」


 やはりというべきか。


 誘導柘榴弾ジュノーズアップルバレットが構成機毎に分裂しても広範囲に分裂する榴弾となり、雪男の艦を次々と殲滅していく。


「Yes、ソー軍曹! 見てください、敵艦隊次々と回頭していきます!」

「Well、見たかResou ()rcerer()!」


 監視台からこれを見ていたデイヴは、高らかに言う。

 やはり、アメリカの力は強いのだと。


「ふん……しかし! これではやられんぞ……獰猛形態フォーメーションファースに移行!」

「り、了解!  ……セレクト、ビーイング トランスフォームド イントゥ 獰猛形態フォーメーションファース エグゼキュート!」


 が、その時である。


 怒りに満ちた雪男の騎士団長グランドの命により、彼らが擁する狂人艦(ウールヴァトルシップ)が艦体を蠢かせる。


 やはりそれは、魔神艦系統の人上半身型艦橋を持つ半人半艦の巨大兵器だが。


 その艦橋が前屈みとなって伸長され、さながら狼の上顎のごとき姿となり。


 更に艦体も、下顎の如き牙を生やした形態となり。

 艦そのものが、狼の頭部のような形になる。


「What!? そ、ソー軍曹!」

「n、No way! 心配するな……攻撃続行!」


 一度回頭しつつも、再回頭し空宙都市に迫り来る雪男の艦隊に。


 デイヴは動揺しつつも、引き続いての攻撃を命じる。

 そう、所詮形態を変えた所で。


誘導柘榴弾ジュノーズアップルバレット雷雨神砲(トラロックズレイン)一斉発射!」

「Yes!!」


 この空宙都市が誇る攻撃は、決して破れまい。


「ぐう!」

「ふん……オオオオ、怯むな者共! この程度何だと言うのだ、光線は耐えろ! 弾幕は噛み砕けえ!」

「オオオオ! はっ、グランド騎士団長!」

「w、What!? な、何だって!?」


 自信に満ちた対宙攻撃はしかし、今まさに獰猛形態フォーメーションファースへと変形した狂人艦(ウールヴァトルシップ)艦隊により。


 雷雨神砲(トラロックズレイン)は耐久され、空宙都市へと肉薄され。


 更に誘導柘榴弾ジュノーズアップルバレットは艦橋と艦体の両顎により噛み砕かれ、まさしく野獣の如き強行突破され。


 攻撃は悉く効かぬまま、突破されそうになる。


「ソー軍曹!」

「……No Problem! 心配するな、攻撃の手をより高めろ! 私も法機で出る!」


 デイヴも動揺しつつも押し隠し、そのまま自機を格納した空宙列車電磁砲(ラミエルズサンダー)の停まる空宙列車乗り場へと向かう。


 ◆◇


「Wait……待っていてくれマギー! 必ず戻る。」


 乗り場へと向かいつつデイヴは、手元の妻の写真入りペンダントにキスする。


 そうして。


「Well……さあ、空宙列車電磁砲(ラミエルズサンダー)! 発進だ!」


 デイヴは、空宙列車電磁砲(ラミエルズサンダー)に乗り込む。


 たちまちそれは、自動運転により後部噴流器より炎を噴き。


 空宙都市の乗り場を、その推進力でもって離れて行く。


 今戦域になっていない宙域において、天然の線路である衛星軌道上を走って。


「Let's……hccps://giganticmandrake.mna! Select、デパーチャー オブ 幻獣頭法機(マジックノーズアーツ)ギガンティックマンドレイク! Execute!」


 そうして法機ギガンティックマンドレイクに乗り込んだデイヴが、術句を唱えるや。


 たちまち七両編成の空宙列車電磁砲(ラミエルズサンダー)最後尾車両上部の飛行甲板が回転して、法機ギガンティックマンドレイクが露になり。


 そのまま法機は、機体を縦に貫通する形で装備されている電使翼機関(ジェットエンジェン)より噴流を放ち。


 空宙列車を、後にする。


「Well……Resou ()rcerer() ! ちょっとだけ油断があったことは認めよう、だけど! 空宙都市はこんなことじゃ落とされない! hccps://giganticmandrake.mna/edrn/fs/mandrake.fs?crying=true――Select 死の産声(ファーストデスクライ) Execute!」

「ぐっ!? あれは……アメリカの軍事ヘリ(ダストデビル)型法機! なるほど……またも現れたか!」


 そうして瞬く間に、雪男の狂人艦艦隊直上へと迫り衝撃波を浴びせかかったデイヴをグランドは目で捉えた。


 ◆◇


「hccps://camilla.wac/……セレクト サッキング ブラッド!」

「……hccps://rusalka.wac/…… セレクト 儚き泡バブリングパニッシュメント!」

「ぐあ!」

「この!」


 そうして、再び仮想大陸エルドラドの一角にて。

 ジャガーの戦士団と凸凹飛行隊の戦いが、繰り広げられていた。


「ま、待って魔法塔華院マリアナに雷魔法使夏! 殺しちゃダメ!」


 電使言獣(スクリプティッド)テペヨロトルに騎乗するエルドラディアンたちに対し、マリアナ・法使夏は容赦なく攻撃を加えてそれらを撃墜していき。


 青夢は言葉で静止しようとするが、戦いの最中ということもありその声は彼女たちに届かない。


「くっ……このままじゃ」

「!? 魔女木、危ない!」

「青夢!!」

「えっ……きゃっ!?」


 しかし、その時。

 青夢の法機ジャンヌダルクにも、テペヨロトル騎乗のエルドラディアンが騎獣ごとのしかかり。


 それにより青夢は、驚く。


「……hccps://crowley.wac/…… セレクト アトランダムデッキ! 吊るされた男(ザ ハングドマン)――必殺吊し上げ(ハンギングブレイク) エグゼキュート!」

「ぐう!? がはっ!」

「! ほ、方幻術!」


 そんなジャンヌダルク上のテペヨロトルを。

 剣人は法機クロウリーの力により吊り上げるようにして排除する。


「hccps://diana.wac/、セレクト 月の弓矢(マンスボウ)!」

「hccps://aradia.wac/、セレクト 叛逆の魔術(リベリオンズアーツ)!」

「エグゼキュート!!」

「!? ま、真白に黒日まで!」


 そうして。

 真白と黒日も、自機たるディアナ・アラディアにより周囲のジャガーの戦士団たちに攻撃を掛けた。


「魔女木、お前の気持ちを蔑ろにするようで悪いが……ここは、手を抜いていられないようだ!」

「うん、青夢!!」

「皆……」


 それぞれの法機より、剣人らは青夢に声をかける。


「……hccps://jehannedarc.wac/……セレクト、ビクトリー イン オルレアン!」


 そうして青夢も、意を決し。

 エルドラディアンたちに向けて、光線を放つ。


 ◆◇


「忌々しい……だが残念だな! このまま、お前たちの空宙都市は堕ちる!」

「damn……このままでは!」


 一方、空宙都市エルドラド周辺戦域では。


 デイヴの法機ギガンティックマンドレイクからの援護射撃も虚しく、雪男の狂人艦艦隊は今まさに空宙都市エルドラドへと肉薄せんとしていた。


「hccps://andromeda.wac/、セレクト 流星弾(メテオバレット) エグゼキュート!」

「hccps://eingana.wac/、Select! 今際の紐解きデッドリーアンラベリング、Execute!」

「ぐっ……ぐああ!!」

「な……こ、これは!?」


 が、その時である。

 どこからともなく弾幕と爆撃が展開され、狂人艦艦隊は怯む。


「OH、よくぞ来てくれました! 欧・豪の代表!」


 デイヴが破顔し、見る先には。

 欧の法機アンドロメダと、豪の法機エインガナの姿があった――


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