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ウィッチエアクラフト〜魔女は空飛ぶ法機に乗る〜新たな女王編  作者: 朱坂卿
新・第三翔 トバラ族自治区独立戦争 
32/74

#31 その名はアマテラス/ウエソヨマ/イザナミ

「あなたがアラクネさんか……本官は自衛隊宇宙作戦隊、並びにマイニングレース日本代表アポストロス所属巫術山麻由教官であります! その節は、同僚たる妖術魔二等空曹がお世話になりました!」


 ダークウェブにて巫術山は。

 敬礼の上、そうアラクネに礼を言う。


「はっ! 同じく自衛隊並びにマイニングレース日本代表アポストロス所属時祈祷命(ときとうみこと)二等空曹であります!」

「同じく、伊武数奇(いぶすき)術那(じゅな)二等空曹であります!」


 命と術那も、巫術山に倣う。


「フン、マアオボエラレヌガナ……ムシケラドモノ、コトナド!」

「!? ひいっ!!!」


 が、そんな三人に。

 アラクネが騎乗しているタランチュラが、抗議の声を上げた。


「あなたは……」

「こらこら、私の王タランチュラ! いつもの悪い癖が出ていますよ!」

「オオ……アリアタン♡」

「タランチュラ……そうか、あなたがあのダークウェブの王とやらか!」


 タランチュラの正体を掴みかねていた巫術山だが、アラクネとタランチュラの会話によりその正体がかつての魔男の支配者であったと勘づく。


「ナンダ……ワレヲ、シッテイルトハムシケラガ。」

「は、はい! その通りです……」

「ふ、巫術山教官!」


 巫術山が自分を知っていたと知り、タランチュラは彼女に視線を向ける。


 それは蜘蛛らしく無数の眼であるが、眼が多い分視線が集中して突き刺さり。


 如何な厳しい訓練を積み、時に課している巫術山と言えど足が竦む想いである。


「私の王! やりすぎですよ?」

「オオ……スマヌ、アリアタン♡」

「……は、はあ……」


 そんなタランチュラを、アラクネはまたも窘め。

 巫術山は少しではあるが、緊張が解ける。


「……さて。あなたたちは――特に巫術山教官、あなたは教え子たる魔女木さんたちの夢を助けたいと願っているのよね?」

「……はい!」


 アラクネはそこで、巫術山に問う。


「教官!!」

「いや、しかし……時祈祷・伊武数奇両二等空曹、お前たちはどうだ?」


 が、巫術山は。

 命・術那にも尋ねる。


「私たち、確かに魔女木さんと個人的な関わりはありませんけど……彼女たちが、どんな風に世界を救ってくれたかは知ってますう!」

「その通りです、教官。……そんな人たちを、助けない理由がありません!」

「お前たち……」


 命・術那のその言葉に、巫術山は胸がすく思いである。


「……では、改めて聞くわ巫術山教官。あなたはなぜ、魔女木さんたちを助けたいと思うの?」

「……うむ、アラクネ殿! 本官には、魔女木の全てを――世界の全てを救うという願いが叶うかどうかなどとは知らない。だが! 少なくとも今、その願いに基づきトバラ族の皆さんを救おうとしている。そのことを、助けなくて何が教官か!」

「なるほど……分かったわ。」


 巫術山の宣言に。

 アラクネは感じ入ったように、頷く。


「あなたたちの願いはよく分かったわ……なら、助けになってあげなさい!」

「はい!!!」


 アラクネは彼女たちの願いを、聞き届ける。

 そうして。


「さあ、あなたたちの願いを改めて唱えて!hccps://baptism.tarantism/! サーチ」

「……サポーティング セイビング エブリワン!!!」


 アラクネの促しにより、巫術山・命・術那は術句を唱える。


 サポーティング セイビング エブリワン――全てを救うことを助けたい、という検索ワード(切なる願い)を。


 そうして。


 hccps://izanami.wac/

 hccps://amaterasu.wac/

 hccps://uesoyomat.wac/


「これは……!!!」


 URLが浮かび上がる。


「これがあなたたちの力よ……さあ、お行きなさい!」

「は、はい!!!」


 戸惑う三人だが、すぐに。


「セレクト、hccps://izanami.wac/!」

「hccps://amaterasu.wac/!」

「hccps://uesoyomat.wac/!」

「ダウンロード!!!」

「hccps://maria.wac/、セレクト 仔羊の誕生(セイヴァーズバース)!!! hccps://maria.wac/GrimoreMark、セレクト 受胎告知(アヌンシエーション) エグゼキュート!!!」


 そのまま彼女たちは、術句を唱え――


 ◆◇


 その頃、空中要塞外部と周囲の護衛艦隊に対し。


「hccps://xiwangmu.wac/、セレクト! 死鎌爪(クローサイズ) エグゼキュート!」

「hccps://wuzetian.wac/、セレクト 武周建国(テリトリービルト) エグゼキュート!」

「hccps://yangguifei.wac/、セレクト 甘美な茘枝(スイートライチ) エグゼキュート!」

「hccps://kumiho.wac/、セレクト! 九尾(ナインアーツ)――殺生石(ポイズンキリング) エグゼキュート!」

「hccps://seondeokyeowang.wac/、セレクト 毗曇鎮圧リベリオンサプレッション エグゼキュート!」

「hccps://soseono.wac/、セレクト 始祖誕生ファウンダービギニング エグゼキュート!」

「hccps://yuhwa.wac/、セレクト 日光感応(サンズバース) エグゼキュート!」


 中韓代表アポストロスが、攻撃を加えていた。


 しかし。


「ははは、その程度ですか魔女さんたち! そんなことで!」

「ああ、この空中要塞及び護衛艦隊が吹き散らす雷の暴雨サンダリングサイクロンは破れぬよ!」

「我日你!!!!」

「싫어!!!!」


 空中要塞及び護衛艦隊の構成艦全てが雷雲(フォーメーショ)形態(ンクラウド)となり放っている、巨大な攻防一体の雷撃の前に両法機群は攻めあぐねいていた。


「ははは! 見たか漢民族共、これで」

「なるほど、雷雲とは恐ろしいけれど……雲が晴れれば天晴れ! すなわち、天照の力で!hccps://amaterasu.wac/、セレクト 天岩戸(エクリプスブレイク) エグゼキュート!」


 と、その時である。

 命の、法機アマテラスを宿した法機マリアより太陽光線が放たれる。


 それは実際の太陽のごとく空中要塞と護衛艦隊纏う雷雲の守りに、魔男たちには気づかれないほど多少なりとも綻びを与える。


「hccps://takiyasya.wac/、セレクト! 髑髏剣(スカルズブレード) エグゼキュート!」

「hccps://izanami.wac/、セレクト 黄泉行軍(ヘルズマーチ) エグゼキュート!」

「!? く、空中要塞十時の方向構成艦被弾!」

「何!? く、どこから」


 その隙間めがけ。

 力華の法機滝夜叉・巫術山の法機イザナミ宿せしマリアが攻撃を加える。


「さあ、行きますよお教官たちい!hccps://uesoyomat.wac/、セレクト 英雄視力剥奪(ヒーローズブラインド) エグゼキュート!」


 次に術那の法機ウエソヨマ宿せしマリアの力により術那機自身、及び日本代表アポストロス法機全機をステルス化させ。


「hccps://amaterasu.wac/、セレクト 天岩戸(エクリプスブレイク) エグゼキュート!」

「hccps://takiyasya.wac/、セレクト! 髑髏剣(スカルズブレード) エグゼキュート!」

「hccps://izanami.wac/、セレクト 黄泉行軍(ヘルズマーチ) エグゼキュート!」

「ぐっ! そ、損害は軽微ながらも空中要塞十一時、十二時……と、四方八方次々に被弾!」

「な……まさか、バリアの中に入られたのか!?」


 先ほどの隙間より今度は日本代表アポストロス法機群全機が入り込み、空中要塞を高速で周回してダメージを与えて行く。


「よし……しかし! 空中要塞内には魔女木たちが乗っている故に牽制程度に止めよ! 狙うは……護衛艦隊だ!」

「了解!!!」


 しかし巫術山の指示により、日本代表アポストロス法機群はステルス状態のまま護衛艦隊へと向かい。


「……エグゼキュート!!」

「ぐっ!? か、艦が次々と被弾!」

「何!?」

「くっ……どこから来るというのですか!?」


 護衛艦隊にも、ダメージを与えて行く。


「よし、これで行けるが……やはり、我々の法機群だけでは荷が重いぞ!」

「教官、私に任せてください! ちょうどよく、ここには母艦型幻獣機が集まっていますから……hccps://takiyasya.wac/、セレクト 餓者髑髏(ギガントスカル) エグゼキュート!」


 そこで力華が、動き。


 先ほどダメージを与えた、人狼艦(ウォーウルフ)の一隻に術をかける。


 すると艦体は、途端に割れ。


「ぐっ……な、何ですかあれは!?」


 法機滝夜叉の力による、幻獣機集合体たる巨大骸骨の上半身が現れた。


「さあ、時祈祷二等空曹! 今、中からこの暗雲を晴らして!」

「了解! hccps://amaterasu.wac/、セレクト 天岩戸(エクリプスブレイク) エグゼキュート!」


 力華の求めに応じ。

 そのまま命は法機アマテラスの光を、外に向けて放ち。


「さあ、行くわよ私の餓者髑髏(ギガントスカル)! バリアを、こじ開けて!」


 力華が巨大骸骨に命じ、骸骨は雲を腕によりこじ開け――


 ◆◇


「……また、来たのね!」

「ああ、そうさ……ようこそ、我が楽園へ!」


 その頃、空中要塞内では。


 アベルが展開した、広大な空と豊かな緑の広がる仮想空間内に凸凹飛行隊は誘われていた。


「改めて聞くぞ、魔女木青夢……貴様は、今こそ最も幸せなトバラの民をどう救う!?」

「魔女木さん……」

「魔女木……」

「魔女木……」

「青夢……」

「青夢……」

「魔女木さん……」

「魔女木青夢。」


 アベルがそう言うや、仮想空間内の野原にトバラ族の皆が降り立ち。


 青夢を、息を詰めて見守るは凸凹飛行隊の皆と矢魔道・盟次である。


 すると。


「ええ、ならばお見せしますわトバラ族の皆さん……hccps://jehannedarc.wac/……セレクト、オラクル オブ ザ バージン エグゼキュート!」

「!? こ、これは!?」


 青夢はそう言うや、トバラ族の皆に法機ジャンヌダルクの能力――状況俯瞰の能力を伝播させる。


 そうして。


「そうね……皆さん、見てください! これが、あなたたちの目指す楽園の外で今起きていることです!」


 青夢が見せたその光景は、今空中要塞外部で繰り広げられている戦闘のあらましだった――

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