#26 中韓法機戦線
「！ ここは……」
「어머！？ さ、さっきのは夢……？」
「아니야！ そんなはずは……」
昭賢たちは、ふと気づく。
見れば、先ほどまで彼女たちが待機していた船の中である。
「뭣！？ そ、昭賢・艮麻・相錬、괜찮아！？」
「헐！？ あ、陽玄……」
そんな昭賢たちを、陽玄は訝しんでいるが。
「……네、そんなことより！ 陽玄아、聞いて。私たちも、あのアラクネ씨から法機をもらったの！ だからあなたと一緒に戦えるわ！」
「뭣！？ 진짜！？ あ、アラクネ씨から！？」
陽玄は昭賢たちの言葉に、目を丸くする。
あのアラクネから、法機を？
「자、行こうよ陽玄！」
「네、私たちで行こう！ あのデカい要塞を倒しに！」
「네！ さあ、ほらほら！」
「뭣！？ いや、私さっきから뭣しか言ってないけど……ち、ちょっと！」
しかし、戸惑う陽玄を引っ張り。
昭賢・艮麻・相錬は、そのまま格納庫へと急ぐ。
「자……가자！」
◆◇
「ふふふ……さあ、雷の暴雨を強めよ！ 魔女たちめ、法機群をあのかつての女王風情にもらったというのみで高くしたその鼻を折ってやる！」
一方、空中要塞司令室の中では。
ファングが海域を見下ろし、ほくそ笑んでいた。
先ほどまで要塞を攻撃していた中国代表アポストロスも、この猛攻により空域を離脱している。
その事実に、気を良くしているのである。
「ファング騎士団長！ またも敵法機群が接近中！」
「ふん、また中国代表アポストロスか！ まったく、懲りずに」
「い、いいえそれが！ か、韓国代表アポストロスが！」
「！？ 何？」
部下の報告に、ファングは驚く。
韓国代表アポストロスが？
「あそこにあったのは、たしか法機九尾狐の他は法機マリア……ふん、血迷ったな！ どちらにせよ、この対空砲撃の雨は潜れまいがな！」
しかしファングは、再びほくそ笑む。
所詮は、足りぬ戦力しか持たぬ者たち――
と、思いきや。
「行くわよ、皆！ hccps://seondeokyeowang.wac/、セレクト 玉門関 エグゼキュート！ おお、見えるわ見えるわ……さあ皆、ついて来て！」
「네！！！」
「な……！？ へ、平気で向かって来るだと！」
ファングは驚く。
見れば、昭賢は専用機善徳女王の予知能力で敵の射線を見切り。
そのまま僚機たちたる韓国代表アポストロス法機群を先導し、空中要塞へと向かって行く。
「く、おのれ小癪な魔女共だ！ 人虎艦艦隊、聞こえているか。 陣形を組み直せ！ 空中要塞を」
「おっと！ あなたたちだけには戦わせませんよ。人狼艦艦隊も陣形を組み直し、魔女たちに反撃を！」
「ぐっ……クローか！」
ならばと、防衛体制を再構築するファングだが。
割り込むように自艦隊を動員して来たクローに、苛立つ。
「ゾロゾロ、敵が集まって来ちゃったよ皆！」
「좋아、次は私が！」
敵艦隊の動きに韓国代表アポストロスも即応し。
今度は艮麻の専用法機召西奴が対応する。
「まあよい……さあ人虎艦共お！hccps://baptism.tarantism/、セレクト 虎爪砲 エグゼキュート！」
「人狼艦たちもですよ！ セレクト 狼牙砲 エグゼキュート！」
再び魔男の護衛艦隊は、宙に浮いたまま。
艦砲斉射を行う。
「……hccps://soseono.wac/、セレクト 建国の内助 エグゼキュート！」
「む！？ て、敵法機群がバリアを！」
しかし、それらを法機召西奴が弾き飛ばしていき。
それを受けて韓国代表アポストロス法機群は、勢いを保つ。
「좋아、艮麻！ だけど……防ぐだけじゃだめね！ ここは私が！」
次に相錬専用法機たる、法機柳花が動き出す。
「hccps://yuhwa.wac/、セレクト 名弓手の母 エグゼキュート！」
「む！？ て、敵法機群より反撃！！」
「く……ま、また防衛網が突破されるぞ！」
法機柳花が放った光の矢たちが魔男の護衛艦隊による艦砲斉射とぶつかり、着実に防衛網に綻びを生んでいく。
「皆、좋아！ さあ……セレクト 玉門関 エグゼキュート！ よし、見えたわ隙間が……자！ 皆、行くわよ！」
「네！！！ 고마워、昭賢！！！」
そこを、昭賢は法機善徳女王の力で見つけ。
更に、韓国代表アポストロス法機群が続いて行く。
「み、見て小鬼！ 敵にまた綻びが！」
「是……中国代表アポストロス法機群、全速前進！ 目標、敵空中要塞！」
「是！！！」
これを見ていた中国代表アポストロス法機群も、動き出し。
「hccps://yangguifei.wac/、セレクト 安史の乱 エグゼキュート！」
「是、私も！ hccps://jiangqing.wac/、セレクト 文化大革命 エグゼキュート！」
「くっ……ち、中国代表アポストロス法機群の反撃です！ 中韓法機群、共に防衛網を突破！」
「おのれ……忌々しいぞ！」
韓国代表アポストロス法機群が見出した防衛網の穴を、同様に突破した。
「是……謝謝、韓国代表アポストロスの皆さん！」
「네……中国代表アポストロスの皆さん！」
そうして、魔男の護衛艦隊を突破したところで。
中韓のアポストロスは、邂逅する。
「是……さあ行きましょう皆、韓国代表アポストロスの皆さん！ 私の母国を恐怖に陥れたこいつを、許さないわ！」
「是！！！」
「네……私たちも許せないわ！ この空中要塞を、皆で倒しましょう！」
「네！！！」
中韓のアポストロスは、ここに結託する。
そうして。
「hccps://xiwangmu.wac/、セレクト！ 死鎌爪 エグゼキュート！」
「hccps://wuzetian.wac/、セレクト 武周建国 エグゼキュート！」
「hccps://yangguifei.wac/、セレクト 甘美な茘枝 エグゼキュート！」
中国代表アポストロス法機群は、それぞれに技を繰り出し。
「hccps://kumiho.wac/、セレクト！ 九尾――殺生石 エグゼキュート！」
「hccps://seondeokyeowang.wac/、セレクト 毗曇鎮圧 エグゼキュート！」
「hccps://soseono.wac/、セレクト 始祖誕生 エグゼキュート！」
「hccps://yuhwa.wac/、セレクト 日光感応 エグゼキュート！」
韓国代表アポストロスの陽玄専用法機九尾狐より、腐食性のガスが放たれ。
昭賢専用機善徳女王からは、衝撃波が放たれ。
艮麻専用法機召西奴からは、熱波が放たれ。
相錬専用法機柳花からは、光波が放たれ。
「ぐああ！！」
「くっ……じ、十時の方向に中韓の法機群攻撃続々と命中！」
「おのれ……おのれおのれえ！」
ファングは空中要塞司令室内にて、齎される報の数々に怒り心頭となっていた。
◆◇
「おお……教官！ 空中要塞をまた、中国と韓国が攻めて行きます！」
「うむ……素晴らしい！」
その頃、自衛隊艦隊では。
空を眺めて力華と巫術山が空中要塞に見入っていた。
「しかし……空中要塞内に乗り込んだ凸凹飛行隊はどうした！？ まだ、出てこないのか？」
「は、はいまだ……」
「くっ……魔女木に魔法塔華院、方幻術に雷魔！」
巫術山は歯軋りする。
彼女が凸凹飛行隊を宇宙に行かせるべく鍛えていた当時真白と黒日はまだ加入していなかったため、二人については何も言及していないが。
彼女が気にしていたのは、一時的とはいえ教え子だった者たち。
「皆……無事でいてくれ！ ……いや、ダメだ！ 教え子たちは私が救わなければ！」
「き、教官！？」
巫術山はいても立ってもいられなくなっていた。
自分にも、力があれば――
「ヘロディアス艦隊、全砲門開き艦砲斉射！ 目標、トバラ族空中要塞！」
「了解！！！」
「hccps://graiae.wac/pemphredo/edrn/fs/stheno.fs?eyes_booting=true――セレクト ブーティング "目"！」
「hccps://graiae.wac/deino、セレクト グライアイズアイ！」
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「……セレクト、デパーチャー オブ 誘導銀弾 エグゼキュート！！！」
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「！？ こ、これは！？」
と、その時であった。
どこからか飛来した攻撃が、魔男の護衛艦隊や空中要塞そのもの諸共に命中し炸裂していく。
それは。
「あれは……王魔女生に龍魔力に呪法院か！？」
日本海の日本方面水平線上に見える、ヘロディアス艦隊をはじめとする勢力によるものだった。
