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ウィッチエアクラフト〜魔女は空飛ぶ法機に乗る〜新たな女王編  作者: 朱坂卿
新・第三翔 トバラ族自治区独立戦争 
24/74

#23 空中要塞攻略作戦

人狼艦(ウォーウルフ)! く、クローめ……」


 ファングは空中要塞内より、歯軋りする。


 何せ突如現れた人狼艦(ウォーウルフ)艦隊に、自身の見せ場を奪われてしまったのだから。


「皆、一旦撤退よ! ……hccps://jiangqing.wac/、セレクト 王老五コンフュージングアクト エグゼキュート!」

「ナーイス、呪華!」


 呪華は自機江青の幻惑攻撃を発動し。

 その隙に、鬼苺ら中国代表アポストロスの法機群は空域より離脱していく。


「おやおや……歯応えのないお嬢さんたちじゃあないですか! あそこまで粋がっておいて、いざとなればこの有様とは!」


 人狼艦(ウォーウルフ)の艦砲斉射を行いつつクローは、魔女たちを嘲笑う。


「く、人虎艦(ウォータイガー)艦隊何をしている! 負けるな、日中韓共同戦線を攻撃せよ!」

「はっ!」


 ファングも負けじと、配下の艦隊に命じる。


 たちまち人虎艦(ウォータイガー)からも艦砲斉射が放たれた。


 ◆◇


「これは……マリアナ様!」

「ああもう、またうるさいのが出て来てしまってよ!」


 この様子を見ていた凸凹飛行隊も、顔を強張らせる。


「私たちも行こう、昭賢(ソヒョン)艮麻(ウンマ)相錬(サンヨン)!」

「네、陽玄아!!!」


 そこへ、これ以上黙って見てはいられないとばかり。


 陽玄の法機九尾狐、続いて同じく韓国代表アポストロスの者昭賢(チャ・ソヒョン)鬼室艮麻(キシル・ウンマ)金相錬(キム・サンヨン)らの法機マリア三機が続いて飛び出す。


「長官、あれは!」

「뭣!? 止めろ、危ないぞ韓国代表!」


 魔男の猛攻により後ろに下がりつつあった韓国艦隊の長官は慌てるが。


걱정하지마새요(ご心配なく)! 私の法機九尾狐で!」


 陽玄たちは気にもせず、ただただ自機たちを突撃させる。


(さあ)……hccps://kumiho.wac/、セレクト! 九尾(ナインアーツ)――傾城の美女コンフュージングチャーム エグゼキュート!」

「hccps://maria.wac、セレクト!!! 聖母の悲哀アワレディーオブソロウズ、エグゼキュート!!!」

「む!? こ、これは!」


 そのまま陽玄・昭賢(ソヒョン)艮麻(ウンマ)相錬(サンヨン)は自機九尾狐・マリアらにより人狼艦・人虎艦に攻撃を仕掛ける。


 九尾狐の幻惑攻撃と、マリアのエネルギー砲撃により両艦隊に混乱を与える。


 ◆◇


「!? き、教官! 敵艦隊の動きが鈍っています!」

「よし……今だ妖術魔二等空曹!」

「はい! さあ本官と行くよ、滝夜叉!」


 これを待っていたとばかり、自衛隊も動き出し。


「hccps://takiyasya.wac/、セレクト! 髑髏剣(スカルズブレード) エグゼキュート!」

「hccps://maria.wac、セレクト!!! 聖母の悲哀アワレディーオブソロウズ、エグゼキュート!!」

「!? お、お前たちもか!?」


 力華は自機滝夜叉で魔男艦隊を攻めるが、その後に続いた自衛隊アポストロスの二人のマリアによる攻撃に巫術山は驚く。


 それは自衛隊アポストロスの二等空曹たる、時祈祷命(ときとうみこと)伊武数奇(いぶすき)術那(じゅな)の二人であった。


「教官も妖術魔二等空曹も、こんな敵さっさと倒してしまえばいいんです。」

「その通りい! 私たちが来たからには安心ですよお!」

「まったく……」


 巫術山は、やはり呆れる。


 ◆◇


「よし……空中要塞の護衛艦隊防衛網が鈍ってる! 私たち凸凹飛行隊も行くよ!」

「ふん、言われなくってもよ!」

「はい、マリアナ様!」

「ああ、魔女木!」

「うん、青夢!!」


 凸凹飛行隊も動き出し。


 韓国代表アポストロスや自衛隊艦隊が人虎艦・人狼艦の艦隊の動きを止めている間、その隙間を縫って海中より水流で空中要塞へと肉薄し。


「hccps://camilla.wac/……セレクト サッキング ブラッド!」

「……hccps://jehannedarc.wac/……セレクト、ビクトリー イン オルレアン!」

「……hccps://crowley.wac/…… セレクト アトランダムデッキ! (ザ ムーン)――月魄残光(ムーンスラッシュ)!」

「……hccps://rusalka.wac/…… セレクト 儚き泡バブリングパニッシュメント!」

「hccps://diana.wac/、セレクト 月の弓矢(マンスボウ)!」

「hccps://aradia.wac/、セレクト 叛逆の魔術(リベリオンズアーツ)!」

「エグゼキュート!!!!!!」

「ぐっ……か、海中からの攻撃がよ、要塞下部に被弾!」

「くっ……凸凹飛行隊か!」


 前と同じく、空中要塞本体へと攻撃を加える。


 ◆◇


「ふふふ……面白いではないですか! 強力な法機をそれぞれに手にし、一歩間違えれば戦争になりかねない日中韓三国が今! トバラ王国軍という共通の敵を相手に団結して戦っている!」


 これを毎度同じみというべきか、高空より見つめる影が。


 法機マケダを駆る新たな女王の側近たるパールである。


 ――しかし……これで。強力な法機が全世界の各国に渡ることにより戦争が起こるのではないかという、私の嫌な予感が的中してしまったことになるな。


「いいえ、自衛隊の巫術山教官……ご覧ください! この通り、共通の敵――必要悪を前にして団結しているではありませんか! これだけでも、既に実験結果は上々です……」


 マケダの機内でパールは、そのベールの下で口角を上げる。


 ◆◇


「まったく……見てられんなクロー、ファング!」

「! な……レッドラム殿!」


 が、そこへ。

 牛男の騎士団長にして、あの矢魔道の弟たるアベル・レッドラムが空中要塞司令室に現れる。


「……幻獣機飛甲艦クリプティッドワゴンフォート艦隊! 全艦隊、雷雲(フォーメーショ)形態(ンクラウド)に移行!」

「了解、レッドラム騎士団長! ……セレクト、ビーイング トランスフォームド イントゥ 雷雲(フォーメーショ)形態(ンクラウド) エグゼキュート! セレクト! ファイヤリング 雷の暴雨サンダリングサイクロン! エグゼキュート!」


 しかし、トバラ王国軍も即応し。


 たちまちパーツ群に分かれていた幻獣機飛甲艦クリプティッドワゴンフォート艦隊が纏う雷電から放たれる。


 が、それはこれまでの比ではなく。


「きゃああ!」

「我日你!」

「싫어!」


 広範囲に最大規模の雷電撃が放たれ、日中韓共同戦線は崩壊しかける。


「く……撤退せよ!」

「おやおや……ひどいじゃあないですかレッドラム殿!」


 いや、日中韓共同戦線のみならず。


 こちらは早くに射程範囲外に退避したとはいえ、人狼艦・人虎艦の艦隊にも構わず多数攻撃を放つ敵味方お構いなしなやり方である。


「さあカンツォ殿、ここは心してかからねば! この幻獣機飛甲城クリプティッドワゴンフォートレスシャンバラの名にし負う通り、トバラに楽園を齎すことが至上命題であろう?」

「ああ、そうだな……私は築く! ここにトバラのシャンバラ(楽園)を!」


 アベルの言葉にカンツォは、高らかに宣言する。


 ◆◇


「く……だけど。この状況、何かに似てるわ。そう……敵の戦闘飛行艦(チャリオット)が並んでっていうこの状況は……ん!?」


 凸凹飛行隊も慌てて射程範囲外に退避しつつ。

 青夢は考えを巡らせていたがやがて、あることに感づく。


 それは。


 ――……なんてな。今だ! 全幻獣機飛行艦クリプティッドチャリオット艦隊!


 いつぞやの争奪聖杯時、かつての馬男の騎士団による幻獣機飛行艦クリプティッドチャリオット艦隊と青夢が相対した一幕だ。


「あれをやってみたいのよね! そう、考えてみれば簡単な話ね……母艦型幻獣機! その恐ろしさは幻獣機の集合体という特徴による、巨大兵器にあるまじき機動力に対象の細かな識別可能という性質……」

「!? な、何を言ってらして魔女木さん?」

「ま、魔女木??」

「青夢??」


 突如独りごちた青夢に、凸凹飛行隊メンバーは困惑するが。


「そう……母艦型幻獣機は幻獣機の集合体! いわば究極の密集戦法。だけど、ご存じだったかしら?」


 青夢は一人、ある考えに至る。

 そして。


「よし……雷魔法使夏! 凸凹飛行隊の水流、最大深度で海中を急速潜航! その後で空中要塞に肉薄し攻撃するわ!」

「な!? あ、あの火の雨に飛び込めって言うの!?」

「ま、魔女木さん!」

「大丈夫……私に任せて!」


 青夢は凸凹飛行隊を説得する。


「さあ……行くわよ皆!」

「ま、マリアナ様!」

「雷魔さん、むしろここで状況を切り開くぐらいの気概がなくては魔法塔華院コンツェルンの名折れであってよ!」

「は……はい! マリアナ様がおっしゃるのなら! さあ行くわルサールカ……水流、最大深度! 急速潜航!」

「よし……地獄まで付き合うぞ魔女木!」

「うん、青夢!!」

「大丈夫……地獄なんて行かせないから!」


 凸凹飛行隊はそんなすったもんだありつつも。

 空中要塞による斉射激しき海域へと、乗り込む。


「きゃあ!」

「大丈夫……さあ皆! それぞれに術句を!」


 そうして最大深度でも避け切れはしない雷撃に揉まれつつも。


「hccps://jehannedarc.wac/GrimoreMark/、セレクト 火刑による怨念業火パニッシングカタストロフ! エグゼキュート!」


 凸凹飛行隊が海中より、またも空中要塞下部に雷撃の隙間を縫い攻撃を着弾させる。


「! じ、十時の方向構成艦被弾!」

「ふん……損害は軽微だ! 所詮はこの程度で」


 凸凹飛行隊から放たれたのは、小さな火球。

 それは着弾した所で、所詮は微々たる損害――のはずだった。


 しかし。


「ぐああ!」

「な……何が起こった!?」


 異変はすぐに起こる。

 空中要塞が、鳴動を起こし始めたのである。


「げ、原因は不明ながらも被弾箇所より爆発多数!」

「ひ、被弾箇所に大爆発発生! そこより高エネルギーが噴出し、構成艦次々に誘爆!」

「!? 今……誘爆と言ったか?」

「は、はい!」

「……そうか。 これは……!」


 動揺が走る要塞内だが、報告の数々からファングはすぐさま事態を察する。


 そう、これは。


「……火炎誘爆砲デトネーションボルカニクスを!」


 ◆◇


「な……ま、魔女木さんこれはどういうことであって!?」

「ええ、確かに。白兵・白刃でチャンバラやってた頃密集戦法とは攻防両方を高める効果があったわ、だけど! 今は火器でドンパチやる時代、すなわち密集戦法とはまとめてやってくださいというような自殺行為なの!」


 戸惑う凸凹飛行隊一同に。

 青夢は鼻を鳴らしながらそう言う。

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