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ウィッチエアクラフト〜魔女は空飛ぶ法機に乗る〜新たな女王編  作者: 朱坂卿
新・第二翔 三学園対抗マイニングレース
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#9 魔神艦現る

「あれは……ヘロディアス艦ですの!?」


 マリアナは声を上げる。


 彼女の目の前にいるのは、かつての愛艦たる法機戦艦(アームドマギ)メイルクロージング プリンセス オブ 魔法塔華院――に尹乃のワイルドハントが融合した艦・ヘロディアス艦を彷彿とさせる人の上半身を模した艦橋を備えた艦である。


 さながら、半人半艦というべきものであるそれは。


「さあ……魔神艦(ガンタウロス)ケイロン! 尚も主砲、発射用意! 魔女の飛行隊を一掃せよ!」


 名を魔神艦(ガンタウロス)と言った。


 三連装の主砲塔を前後で計四基揃えた、かつての大艦巨砲主義時代の戦艦を思わせる外観もヘロディアス艦そっくりであった。


「……行くぜ、二手乃! 姉貴、"(ゴルゴニックアイズ)"を発動してくれ! あんな奴、さっさと」

「待ちなさい、英乃! 慎重になりなさい!」


 しかし先手必勝とばかり、英乃は自機のグライアイを駆り飛び出し夢零に窘められる。


「ははは、だってよ姉貴! 見ろよ、あれじゃあ時代遅れも甚だしいぜ!」

「おうや、魔女の法機がのこのこと来たか……主砲塔、再度発射せよ! hccp://baptism.tarantism/、セレクト 人馬弓矢(サジタリアーチャー) エグゼキュート!」


 英乃が半ば舐めている中。

 シャルルは艦橋より英乃機を捉え、命じる。


 たちまち人の上半身型艦橋は、弓を構えるが如き体勢を取り。


 主砲塔もそれに呼応するかのごとく、弓を思わせる両端を広げ。


 三連装の砲身からは、無数の光の矢が放たれた。


「英乃!」

「おうや、やっぱりお出ましじゃねえか!hccps://graiae.wac/enyo、セレクト グライアイズアイ! 二手乃!」

「は、はい英乃お姉様! hccps://graiae.wac/deino、セレクト グライアイズファング、エグゼキュート!」


 それに即応した英乃と二手乃の照準により。


 ゴルゴン二番艦、三番艦より誘導銀弾(シルバーブレット)群が放たれ魔神艦(ガンタウロス)の主砲撃とぶつかり合いとなる。


「ははは、どうだ! やっぱり大したこと」

「hccp://baptism.tarantism/、セレクト 悪魔の交響曲デモニックシンフォニー エグゼキュート!」

「hccp://baptism.tarantism/、セレクト……」

「む!? くっ……これは!?」


 そうして艦砲を半ば相殺できたかに見えた、その時。

 シャルルは、以前にも見せた部下たちとの連携による超音波攻撃を放った。


 たちまちその攻撃は。


 英乃機や二手乃機のみならず、三学園の機や艦の足を止める。


「この攻撃は……シャルル殿下!」


 青夢はその攻撃により、艦の中身に気づく。


「騎士団長、奴ら動きを止めています!」

「うむ、よい…… 主砲塔、再々度発射せよ! hccp://baptism.tarantism/、セレクト 人馬弓矢(サジタリアーチャー)!」


 かつて青夢たちと過ごした日々など忘れ、シャルルは。


 冷酷にも、再び艦橋に弓を構えさせる。


「エグゼキュート!」

「くっ……hccps://aradia.wac/、セレクト 魔女の福音(ゴスペルオブウィッチ) エグゼキュート!」

「!? な……ぐうっ!?」


 そうして、再々度放たれる魔神艦(ガンタウロス)の主砲撃だが。


 そこへ足止めをやっとの思いで振り切った、法機ディアナ接続中の黒日機・アラディアから魔法が放たれ今度はシャルルたちの方が足止めされる。


「うん、今回はちょっと遅かったけど。ナーイス、黒日! hccps://diana.wac/、セレクト 月の弓矢(マンスボウ)! エグゼキュート!」

「くっ……ぐああ!」


 次には真白機たるディアナより、無数の光矢が放たれ。


 既に放たれている主砲撃を、相殺する。


「真白、黒日!」

「青夢、言ったでしょ! 私たちは青夢を守るって!」

「そういうこと!」

「真白、黒日……」


 真白と黒日は、事も無げに青夢にそう言う。


「でも、今動きを止められているうちがチャンスね……hccps://graiae.wac/pemphredo/edrn/fs/stheno.fs?eyes_booting=true――セレクト ブーティング "(ゴルゴニックアイズ)"! ロッキング オン アワ エネミーズ エグゼキュート!」

「む!? く、艦の動きが封じられ……」


 それを好機と睨んだ夢零は、先ほどの長妹の進言を聞き入れて"(ゴルゴニックアイズ)"を発動させ。


 魔神艦(ガンタウロス)の動きそのものを封じにかかる。


「さあ、今よ皆! ……セレクト 、デパーチャー オブ 誘導銀弾(シルバーブレット) エグゼキュート!」

「ふん、そうね……花蓮乙女学園アポストロス、一斉攻撃!」

「はい、尹乃様!! hccps://maria.wac、セレクト!! 聖母の悲哀アワレディーオブソロウズ、エグゼキュート!!」

「言われなくても分かっていてよ! hccps://camilla.wac/……セレクト サッキング ブラッド!」

「……hccps://jehannedarc.wac/……セレクト、ビクトリー イン オルレアン!」

「……hccps://crowley.wac/…… セレクト アトランダムデッキ! (ザ デス)――一撃死撃(ワンデスサイズ)!」

「……hccps://rusalka.wac/…… セレクト ゴーイング ハイドロウェイ!」

「エグゼキュート!!!」


 これを好機と、凸凹飛行隊らや花蓮乙女学園も睨み。

 魔神艦(ガンタウロス)に向け、一斉攻撃を放つ。


「!? くっ、群生(フォーメーショ)形態(ンクラスター)に移行、回避行動!」

「り、了解! ……セレクト、ビーイング トランスフォームド イントゥ 群生(フォーメーショ)形態(ンクラスター)! アボイディング アサルト、エグゼキュート!」

「!? あ、あれは!?」


 が、その時。

 シャルルは力を振り絞り、術句を唱え。


 それにより魔神艦(ガンタウロス)は変形し。

 何と二つに割れることにより、攻撃をその割れ目に当てさせて回避する。


「やった! 艦体は真っ二つよ!」

「違うわ皆! あれも母艦型幻獣機よ、次に攻撃が来るわ備えて!」

「!? え??」


 が、三学園の面々は殆どそのことには気づかず勝利を喜び。


 それに慌てた青夢は、叫び警告する。


「さあ……台風(フォーメーショ)形態(ンタイフーン)に移行!」

「了解! ……セレクト、ビーイング トランスフォームド イントゥ 台風(フォーメーショ)形態(ンタイフーン) エグゼキュート!」

「!? き、きゃああ!」

「く……皆、空域離脱よ!!」


 が、青夢の警告を皆が飲み込めぬ間に。


 たちまち魔神艦(ガンタウロス)は母艦型幻獣機――ひいては、幻 獣 機 (クリプティッド)父艦(ファザーフード)としての特性を発揮し。


 その構成機たちを分離して本体を周回させ。

 さながら台風のような渦巻きを発生させ、帯電し雷撃を周囲に放って行く。


「く……hccps://diana.wac/、セレクト 月の弓矢(マンスボウ)! エグゼキュート!」

「真白!」

「早く皆、撤退して!」


 その雷撃に巻き込まれそうになる三学園の法機群を、真白は自機から攻撃を放ち雷撃を相殺する形で援護し。


 撤退を促した。


「ふん……さあ、また動きを封じねばな! hccp://baptism.tarantism/、セレクト 悪魔の交響曲デモニックシンフォニー!」

「hccps://aradia.wac/、セレクト 魔女の福音(ゴスペルオブウィッチ) エグゼキュート!」

「くっ……この!」


 そのまま、術句を発動させようとするシャルルだが。

 黒日もそうはさせじと術句を発動させ、再び動きを止めようとする。


 ◆◇


「……ねえ沙月。何でしょうね、この湧き上がる思いは。」

「奇遇ね、師穂。私も感じるわ、湧き上がる思いを。」


 その頃。


 龍魔力財団傘下の龍炎魔法院大学附属の生徒たちたる幕霊媒師穂(まくればしほ)賢者魔沙月(せーじまさつき)は。


 それぞれの自機マリアから、先ほど離脱した空域を睨んでいた。


 睨む先にあるのは、尚構成機に周回させることで嵐を呼んでいる魔神艦(ガンタウロス)である。


 結局先ほどは、魔神艦(ガンタウロス)に対しダメージを与えられず。


 自分たちが空域を離脱する一方、一足先に強力な法機を手にした者たちは最前線で戦っている――


 その状況を彼女たちは、もどかしく思っていた。


「hccps://aradia.wac/、セレクト 魔女の福音(ゴスペルオブウィッチ) エグゼキュート!」

「この……! hccp://baptism.tarantism/」

「……サーチ、ザ スーペリア パワー トゥー アス、トゥー!!」


 そうこうするうち、気づけば彼女たちは叫んでいた。


 ――ザ スーペリア パワー トゥー アス、トゥー!!


 より強力な力を私たちにも、という彼女たち自身のその検索ワード(切なる願い)を。


 と、その時。


「!? これは……」

「そうね……師穂、何だか嫌な感じはしないわ……」


 師穂・沙月は未だ経験したこともない感覚を、味わう――


 ◆◇


「ん……?」


 師穂・沙月はふと、目を覚ます。

 ここは、どこか。


 見れば、真っ暗な空間に。

 光の線で繋がれた網のようなものが下に見える。


 ここは――


「ようこそ……ダークウェブへ。」

「!? ……あ、あなたは?」


 ふと声をかけられ、師穂や沙月は面食らう。

 そう、ここはダークウェブ。


 そこにいたのは。


 何やら闇の中に浮かび上がる、女性の上半身。


「……私はアラクネ、あなたたちの望みをもう一度。」

「……え??」


 アラクネは優しく微笑む。


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