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2…昼休み

昼ご飯は大学内にあるカフェの個室で、私が作った弁当を食べる

蓮はすぐに完食し、私が食べ終わると隣に来て、私の膝を枕にして寝る


「栞」

「ん?まだ寝てていいよ?」

「…」


いつもは休憩時間が終わる直前まで寝てるけど

蓮はムク…と起き上がる


「栞」


視線は本に向けたまま


「ん?」


すると頭の向きをグイッと蓮の方に変えられ、気付けばキスされてる

少し離れて目を合わせれば、ニヤッと悪戯が成功した表情

恥ずかしくて、そっぽを向く

クスクスと笑ってるのが聞こえ


「いい加減、慣れろよ」

「…………ムリ」

「あん時は自分からしてくれたのになぁ」

「あの時?」


蓮が私の腰に手を回す

ビクッと固まってると、グッと力を込められて


「お前がまた、いなくなった時」

「…」


あれは…


「あの時は、」

「ん?」

「 っ…」


耳元で喋るの、止めてほしい


「その…蓮といられるのが、最後だと、思った…から」

「…」


腕、いや…蓮の体が一瞬、強張った気がする


「記憶が戻って、…自分の気持ちが、分かった、から…」

「…」

「…」

「栞」

「…何?」

「今、その自分の気持ち、言え」

「…」


目を瞬き、俯く

いきなり言われても…

すると、顎を掴まれクイッと蓮に向かされる

抱き締められてるから、鼻同士がくっつきそう


「れ、蓮…」

「なぁ、言えよ」

「っ…、」


せめて、視線だけを逸らすと


「逸らすな。俺の目を見て…言え」


命令口調でも、声色に優しさがあって

ゆっくりと視線を戻し


「…好き」


瞬間、唇に優しく押し当てられる蓮の唇

目蓋を下ろし、蓮の服の裾を掴む

唇が離れる感覚で目を開ければ、優しい表情で見つめられてて、ドキッとしてしまう

頰をスル…と撫でられ


「栞、好きだ。…好きだ」


フワッと抱き締められ


「うん。私も、蓮が好き」


蓮の背に手を回す



蓮side

俺が寝てる間、栞はいつも本を読んでる


「栞」

「ん?まだ寝てていいよ?」

「…」


返事があっても、意識は本だ

だから、俺に向けさせてやる


「栞」

「ん?」


頭をグイッと俺に向かせてキスする

未だに不意打ちはダメだから顔を赤くして、そっぽを向く

その反応に笑ってしまうのは毎度の事


「いい加減、慣れろよ」

「…………ムリ」

「あん時は自分からしてくれたのになぁ」

「あの時?」


腰に手を回せば、ビクッと固まる

いつまで経っても慣れない可愛らしさがあり

同時に、もっと色んな反応を見てみたい興味も湧き上がる


「お前がまた、いなくなった時」

「…」


思い出したくねぇ事だが、初めてのキスは忘れねぇ


「あの時は、」

「ん?」

「その…蓮といられるのが、最後だと、思った…から」

「…」

「記憶が戻って、…自分の気持ちが、分かった、から…」


自分の気持ち…

俺に対しての


「栞」

「…何?」

「今、その自分の気持ち、言え」


聞かせてくれ

栞が俯くから顎を掴み、目を合わさせる


「れ、蓮…」

「なぁ、言えよ」


頼む、言ってくれ

視線を逸らされるが、させるか


「逸らすな。俺の目を見て…言え」


何度でも聞きたい

お前の口から、俺への想いを…

栞はゆっくりと俺の目を見て


「…好き」


気づいたらキスしてた

服の裾を掴む栞の手

少し離れながら、自然に口角が上がるのを感じる

頰をスル…と撫で


「栞、好きだ。…好きだ」


優しく抱き締めると


「うん。私も、蓮が好き」


栞の手が背中に回る

今この瞬間が、何よりも愛おしい

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