6話
6話
アバン
数年前。
店員1「馬鹿野郎!もうここには来んなっつったろ!」
元極道の獄乃坂が店の裏口から追い出される。
店員1は強面の獄乃坂に全く怯んでいない。
店員1「お前クビ!クビなの!二度と顔出すんじゃねえ!」
獄乃坂「そんな!ここまで追い出されたら…」
店員2「獄乃坂さん、悪いね。あんた筋モンで顔が怖いんだ。だいぶ前からクレームが着ててね。あんたのような人が出入りしてるとウチの評判が落ちるんだよ」
雨の中、路地裏。元極道の獄乃坂が肩を落としている。獄乃坂、息子の写真を見る。息子はまだ幼い。
獄乃坂「ごめんな…父ちゃんまた無職になってもうた…」
しばらく雨にうたれていると、獄乃坂の前に男が現れる。
久保塚社長「お前さん、こんな所で何してるんだい?」
アニメーション制作会社社長、久保塚が獄乃坂に声をかけた。
Aパート
獄乃坂演出「なんてこった…ミレンちゃんの仇、敵幹部ブリオッシュ伯爵の父親は、過去に人間に殺されていたっちゅうことか」
獄乃坂が魔女っ子腐凛刺巣プリンちゃんの第8話のシナリオを読んでいる。
取り扱いにさえ注意すれば、社内アニメスタッフは、後話数のシナリオを読むことが出来るのである。
獄乃坂演出「なるほどのう…ブリオッシュ伯爵が外道に落ちたんは、そんな悲しい過去があったからなんやなあ…」
獄乃坂演出「ミレンちゃんを埋めたんは許せんが…たしかにワシも、もしオヤジ(組長)のタマ取られようもんなら、復讐の鬼になるかもしれん…」
獄乃坂が社内の席に座って夢想していると、新人制作進行の白瑛が声をかけてくる。
白瑛制作「獄乃坂さんお疲れ様です」
獄乃坂演出「おお、お疲れさんです」
白瑛制作「作打ち(原画さんと演出さんの打ち合わせ)組みたいんですが、スケジュールの相談よろしいでしょうか?」
獄乃坂演出「ええ、もちろん」
白瑛制作「今週と来週で不都合な日はあります?」
獄乃坂演出「それでしたら、特にありやせんが…あ、今週の木曜日の夕方5時以降は、打ち合わせは外してもらえんもんですかねえ?」
白瑛制作「はい、わかりました。木曜日…17時…。ちなみに何かご予定が?」
獄乃坂演出「実はその日ー、べびーしったーさんが、来れなくてですな…子供を保育園に迎えに行かなくちゃあならんのですわ」
白瑛制作「あー、なるほ…ど?あ、お子さんがいらっしゃるんですね」
ベビーシッター:月曜日から土曜日までの午前7時から午後10時までのうち、1日10時間。月200時間まで利用可能(変更あり)。病児保育も受付可。