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アカノクロノ  作者: ばてぃ〜
Ⅵ章【クロノショウドウ】
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クロノと無能の不能


無数の同胞が喰われた事に動揺したのか、レイス達の進軍は停止した


『何をやっておる馬鹿共!!さっさとそいつを殺してしまえ!!』

ブーザルの何の実にもならない叱咤が聞こえる


『・・・囀るな、屑が』

僕もその声に反応し【宝珠】で対抗する


戦場(いくさば)に出ない、弱者が囀れど、誰一人として、其の甘言には微睡わぬ。』


『なにぃ・・・誰が弱者じゃーー!!』


その言葉を無視してレイス達へ声を投げかける


「其等が、羽虫の様に、纏わりつくなら、慈悲など非ず。其等が、我に、翻るなら、慈悲で以って迎えよう・・・」

僕が彼らにそう告げるとざわざわと何かを話し合い、兵士の中では偉いレイスなのだろうか?その魔族に視線が集まり、ダンディな風貌を持つレイスは暫し悩んだ素振りを見せる


『ゴミくず共が何をしている?!!さっさとその愚か者を血祭りにしないか!!!!』

ブーザルのその一言で決断したようだ


「道を開けよ!!!」

彼はそう言いきると同時に兵士たちは両端に分かれだす


「武器を置き跪づけ!!」

彼がそう言うと同時に武器を地面に置いて一斉に首を垂れ跪く


・・・正直、ここまでの事を求めてはいないがお膳立てされた以上、その道を歩かないという選択肢は無いなぁ等を考えながら歩いていく

ただ、念の為に【暴喰ノ口】は起動させたままにしておこう


用意された道を進んでいる間も頭上から罵詈雑言を投げかけてくる

最初は無視していたが僕だけでは無く、レイス達やクロノスの事まで口汚く詰って来る

そろそろイライラしてきたな・・・

そう思うと無意識に魔力を高めていたみたいで周りのレイスが恐怖の表情を浮かべる


少しだけ申し訳ない気持ちになりながら、街へ入り正面の王城を目指す

それまでに見たレイス達は僕に対して恐怖の表情を浮かべつつも疲弊しているのが容易に分かる表情をしていた


(これが本来、魔族があるべき国の姿なのか・・・)

そう思うと正直、気分が悪くなる

【魔王】以外は【魔王】の為に生まれ【魔王】の為に死ぬ


虐げられた事がある僕だからこそ理解できる

僕は僕以外の為に生まれ、僕以外の為に死ぬ事を強要されていた


彼らも当時の僕も根底にあるのは絶望と諦観

【魔王】以外は誰一人喜ばず、【魔王】の意向を汲んで動く彼らに本当の喜びも哀しみも理解できるはずがない・・・


それを強要するブーザルも・・・他国の【魔王】も・・・魔族領も・・・世界そのものも・・・

僕はそれらが憎い・・・


そんな事を考えて歩いていると王城の中に僕は入り込んでいた


(多分、一番上にいるんだろうな・・・馬鹿と煙はというし。)

先日に高台で宣言をした自分自身の事は思考から切る


王城内にはレイスの兵士は存在せずに目が合うと全員が逃げ出す

兵士全てをあの場所に投入したという事を考えるとやはり隠し玉はないな・・・


「・・・・!!!・・・!!」


最上階に近づくと誰かの叫び声が聞こえた

恐らくブーザルだろうと考え、声する方に近づいて行った


「この糞共が!!!戦意喪失しおって!!あの愚か者を殺した後はお前たちだぞ!!!」

聞くに堪えない罵詈雑言が聞こえる


カツッ・・・

僕の足音が聞こえた瞬間、男がビクッとしてこちらに振り向く


魔族の年齢は分からないが、人族で言う所の50代の様な容姿をしている

非常に肥え太っており、貴族の様な服を着ているが、腹の部分がはち切れそうになっていた

似合わない髭を蓄えており、口の両端に鋭い牙が飛び出ていた

隣には執事の様な出で立ちをした紳士の様な男が横に控えていた


「お前・・・クロノスの【魔王】か?」


「是。其が、この国【死国ブーザル】、【魔王】で相違ないか?」

僕がそう尋ねるとふんぞり返る


「そうだ!!!貴様頭が高いぞ!!!【死国ブーザル】の【魔王】にして魔族最強の【魔王】ブーザル様だ!!」


その優越感に浸る表情と、明らかに無能な戦略をとった彼にどうしても苦笑してしまった。

いつも有難う御座います!!

「面白い&期待している」という方は★&ブックマークを是非とも宜しくお願い致します!!

ご感想やレビューも心よりお待ちしております!!

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