クロノの抑止と行使
「ま・・・【魔王】だと?どういう事だ?!!この国は【魔王】不在でガタガタだと聞いていたぞ?!」
ローエルが誰に言うでもなく叫んでいる
「貴様が言っているのは【獣王国サンドラ】・・・10日程前の国の事です。今この国は【黒家クロノス】・・・此方におわす【魔王】様により建国されたこの場所は貴様如きで堕ちる国ではない。」
ルーシャが僕の代わりに睨みつけながら答える
「くっ・・・悪趣味な名前を付けやがって・・・!!これでも喰らっとけ『ライトニング』!!」
そう言って光の光線の様な魔法を発動させる、が【暴喰ノ口】が触手を巻き付けて喰らっていく
「な、なんだそのスキルは?!!さっきから邪魔ばかりしやがって!!」
「【暴喰ノ口】・・・ある程度のモノ、ならば、何でも喰らうスキルよ。」
別に答えてやる義理は無いけど・・・ローエルには絶望して貰わなければならない
「其は、魔族。名も無き魔族では、【魔王】には勝てぬ。」
「うるせぇうるせぇうるせぇ!!だったら・・・」
そう言うと同時にこちらに斬り込んでくる
「直接たたっ斬ってやるぁ!!!」
そう言いながら繰り出してくる斬撃を避けると同時に肘の部分を思い切り殴りつける
「がっ!!!」
殴りつけた拳から骨を折ったであろう感触が伝い、ローエルは剣を手放す
「て、てめぇ・・・」
殴りつけられた右腕を庇いながら距離を取り睨みつけてくる
その視線に構わずに、僕はその剣を拾いあげ何度か素振りを行い自分でも扱える武器なのかを確認した
「「「おおおおおおおーーーーー!!!」」」
周りの雄叫びに気づき眼下を見下ろすと虫型の魔物はどうやら駆逐された様で獣人たちが喜んでいた
「終焉だ・・・」
その光景を見て安堵しながらローエルへ再び視線を向ける
「ぐぐぐぐぐ・・・コケにしやがって・・・」
そう言うや否や再び空中へ飛び立ち、魔力を増幅させる
「俺様をコケにした奴全部皆殺しだ!!!貴様も!!貴様等も!!アカノも何もかも!!!」
「アカノ・・・」
ローエルがそう叫んだ瞬間、心臓からドクンと大きな音が聞こえる
そうだ・・・
こいつはアカノを知っている
人族だった頃に僕が大切に思っていた筈の存在
僕が知る事を諦めた存在
不意にその言葉が僕の思考を一瞬遅らせる
「全員くたばれ!!『ビッグバン』!!!」
ローエルが手を上げた頭上に超大型の火の玉が出現する
「!!!!」
今正に投げつけようとする直前に僕は我に返り、奴の居る方へ向かっていった
「またお前か!!」
「是・・・我だ・・・」
そう言いながら僕は剣を握りしめて近づいて行く
「がっ!!!」
ローエルが火の玉を投げると同時に、奴の右腕を斬りつける
片腕を斬られた事により体勢を大きく崩し火の玉は真下ではなく角度を変え、街から外れた森林地域に
放たれた
ドゴーーーーンーーー
(危なかった・・・)
着弾した場所を見ると、千人は収納出来そうなクレーター跡が残っていた
「くそくそくそくそ!!!!俺様の邪魔ばかりしやがって!!」
先程の魔法で魔力をかなり消耗したのだろう
呼吸は荒く、先程と比べると微弱な魔力しか纏っていなかった
奴自身、このままで勝てるとは思っていないのだろう
空中でじりじりと後退しようとしていた
「・・・覚えていろ。お前は必ず殺す。俺が必ず殺すからなぁーー!!」
そう言いながら僕を背に逃げようとした
「逃さぬ・・・」
彼に詰め寄り剣を振りかざすも羽を少し掠めるだけだった
「はっはっはっ!!下手糞がぁ!!!次会う時がお前が死ぬ時だぁーーー!!!」
そう言い残しながら逃げていった・・・
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