クロノの宣誓と宣言
僕の宣言は思った以上に響き渡った
ルーシャも大声出してたけど喉が辛そうじゃなかったのは響き渡る魔法か何かを使用しているからかもしれないな・・・と考えた
・・・いや、無理やり考える事にした
でないと頭が真っ白になって思考が止まるから
高台に出ると数千人が一望出来るし、全員が全員跪いているし
獣人たちは僕が突然現れると同時に慌てて跪きだしたのだ・・・
当然、そんな経験は今まで無かったので許してほしいなんて誰に言うでもなく心の中で愚痴を吐く
「【魔王】様、【魔王】様・・・」
ふと我に返ると、跪いたままルーシャが小声で僕を呼んでいる
僕は意図に気づいて急いで言葉を発した
「・・・面を、上げよ。」
僕がそう言うと同時に獣人たちは頭を上げる
「おぉ・・・」
するとどこともなく溜息の様な声が聞こえてくる
もしかして姿を隠しているから失望されているのかな?と考えてしまうが公の場ではこの姿で居ないといけないとルーシャたちに助言を受けている為にそれに従おうと考えなおす
「我が、【黒家クロノス】、【魔王】也。民草共よ、其等の国が、憂いの国となった事、我も心苦しく、憂う・・・」
僕の言葉に誰一人として声を上げない
多分、真剣に聞いてくれているんだろう
「我は、【国家クロノス】、【魔王】とし、其等に安寧を、施す義務を、要す。【遊戯国トリクトリロ】の、同盟も、それ故の事象、也。」
「故に、我は、宣言す・・・【黒家クロノス】の繁栄と、其等の安寧の為に、我は【魔王】とし鎮座する!!」
僕が高らかにそう宣言するとシーーーーーンとし、物音1つ聞こえなかった
が・・・
「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」
徐々に歓声は大きく波状され、辺り一面に歓声と興奮が響き渡っていった
何処からともなく
「【黒家クロノス】万歳!!!」
「【魔王】様万歳!!!」
「まおーーーーう様ーーーーー!!!」
そんな声が響き渡った
僕の心もそんな歓声に高揚したのか手を上げて応える
そんな僕に対してルーシャが近づいて小声で話しかけてきた
「・・・上手くいきましたね・」
「・・・是。」
◇
昨晩、ルーシャは仮面とローブを鑑定してくれた
その結果、仮面は『物理耐性』『魔法耐性』『状態異常耐性』『自己修復』『声音変換【魔王】『???』ローブは『物理耐性』『魔法耐性』『状態異常耐性』『自己修復』『転移』『???』となっていた
(・・・ブロウドさん)
そう心の中で呟いて呆けていた僕の横で彼女は何か考えている
「ルーシャ、どうしたの?」
「クロノ様・・・1つお尋ねしても宜しいでしょうか?」
「うん、大丈夫だよ。」
「まずは・・・クロノ様、アナタ様は何者なのでしょうか?」
そう言いながら真っ直ぐと僕を見つめてくる
「いや・・・何者と言われても・・・前に伝えた通り、元人族で今は魔族だよ。」
何も嘘は言っていないけれど、綺麗な女性にジッと見つめられると目をそらしてしまう
その挙動を見て彼女は頭を横に振りながら言葉を続ける
「【真祖】様がこれらをアナタ様にこれらを託すのが異常なのです。どちらにも『物理耐性』『魔法耐性』『自己修復』が付与されています。これだけの付与能力が施されていれば、大袈裟ではなく国宝級の品となります。」
「こ、国宝?!!」
これには僕自身が驚いてしまう
「はい。幾ら【真祖】様に変生されたとは言え、それだけでこれほどの物を下賜されるとは考えにくいかと・・・」
「とは言っても・・・本当に何者でのないからなぁ・・・
思わず後ろ髪を掻きながら考え込んでしまう
「本当にお心当たりがないのですね。それでは次にご提案をさせて頂きたいのですが。」
「・・・提案?」
◇
そんな彼女の提案を受けて、ローブに付与されている『転移』を使用し高台へ移動した
結果はご覧の通り
獣人たちは驚いて跪いているから、彼女の言う畏怖を与える事が出来たのだろう
「さぁ【魔王】様、国民達の歓声に手を振って応えてください。」
彼女にそう促されて手を上げ様とした
その瞬間ーーーーーーー
ドゴォォーーーーーーーーーン
激しい魔力の炸裂音が首都の端の方から鳴り響いた
メリークリスマス!!!
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