アカノの決断と結団
「アカノ様…どうかされましたか?」
向かい合う支部長が心配そうな声で私に話しかけてくるがそれ所ではない
「ちょっとすいません。」
一言だけそう伝えて思考の海にまた潜る
【真祖】に助けられた、若しくは眷属化されたならばどこにいる?
【嘆きの森】には既に居ない事は自分自身で確認した
【真祖】が本当に神の様な存在であるならば瞬時に遠方に行く方法を持っていてもおかしくはない
その中で目撃情報があるのは聖国か帝国
勿論、どちらでもないという回答の可能性が1番高い
けれども何の情報も無い場所に向かうのは愚の骨頂だ
聖国は普段あまり人が立ち入らない山の上で男性2人が談笑している様な内容
帝国は新皇帝即位の際に隊列していたのが黒髪黒目だったという内容
この二者択一ならば比較的容易だ
【真祖】と帝国が特別な繫がりがあるという事は聞いた事も無い
完全な君主制を敷いている国が【真祖】とはいえ誰かに指示されたことに従うだろうか?
しかも即位式の隊列させる事に何の意味がある?
私はおもむろに顔を上げて支部長に話しかけた
「申し訳ございませんが、【フィングルス王国】のギルドマスターに言づけをお願い出来ますか?私は【インスラント聖国】へ向かう、そう手紙をお願い致します。」
「い、【インスラント聖国】ですか?!あそこは世界でも数少ないギルドが無い国ですよ?!」
「存じています。宗教国家として確立しており聖国騎士しかいない国ですよね?ただ…私の予想が正しければ私の探し人、若しくはそれに近しい人がその国に行っていた筈です。」
「おそらく…入国もままならないのは無いでしょうか?あそこは通常の国ではありませんので…」
「それについては心当たりがありますので、そのツテに頼ろうかと思います。」
私がそこまで伝えると支部長は頷く
「分かりました…ここから【インスラント聖国】までは約1ヶ月は掛かる場所にあり、その間に【ギスファール魔導国】を通り抜けなければなりません…【サンドール商業国】ギルドマスターの紹介状を用意しましょうか?」
私はその言葉に首を振りながら断りを入れる
「お申し出は有難いのですが…これ以上日数を重ねたくはありませんので。出来るだけ早くに発ちたいのです。」
「そうですか…では、私如きで恐縮ですが、せめて私の紹介状をお渡ししましょう。先程の魔族襲撃を退けでくださった事に対する微力ながらのお返しです。」
町民たちの中に冒険者がいたのかもしれないな等と考え
にこやかにそう言ってくれる支部長に恐縮しながらお願いした
◇
「【サンドール商業国】の【名誉騎士】、アカノ=エンドロールだ。評議会支部長にお会いしたい。」
私は次に評議会支部に向かい、受付へ足早に向かい手短に受付の人へそう伝える
「しょ、少々お待ちください!!」
そう言いながら足早に何処かへ向かっていく
唐突に訪れてトップを出せと言っている私は、相手からすると嫌な人族に写るだろう
けれども私には余裕がない
正直、他人にどう思われるかよりもクロノに出逢える可能性が1%でも上がる事の方がよっぽど大事だ
暫し待つと先ほどの受付の人が戻って来る
「支部長がお会いされるそうですのでこちらへどうぞ。」
そう誘導され会議室と書かれた扉の前に連れて来られる
室内に入ると片目にガラスを付けたほっそりとした男性が立って待機していた
「アカノ様こんにちは、ようこそいらっしゃいました。」
「はじめまして、アカノ=エンドロールです。突然の訪問失礼いたします。」
そう言ってお辞儀をすると椅子へ誘導される
「この度は首都近くの魔族だけではなく、この町へ襲撃してきた魔族の撃退も行って頂き誠に有難う御座います。」
「あ、頭を上げてください!当然の事をしたまでです!」
そう言って頭を下げる支部長に対し頭を上げて貰う様いお願いする
初対面の人族に頭を下げられるとどうも居心地が悪い
「き、今日はお願いが有りこちらへお伺いしました。」
「ほう…」
私がそう言うと彼のガラスがキラリと光った様に感じた
いつも有難う御座います!!
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