アカノの負傷と不詳
爆発音がした中央広場へ到着すると、そこには大量の虫が蔓延っている
「これ、は…」
端的に見ると同じ種類の魔物だが私はこの魔物を今まで見た事が無かった
それなりに場数を踏んだ冒険者である私が見た事が無い魔物…
それが人の住まう町に強襲してきた時点で違和感が拭えない
「わぁぁ!!助けてくれーーー!!」
今まさに襲われそうでいる町人が叫びを上げる
「ふっ!!」
そう言って振り下ろした剣で虫の首を斬る
「大丈夫ですか?!」
「あ、あぁ…何があったんだ?」
「私も分かりません。取り敢えず私がこの魔物を引き付けてみますので皆に避難する様に呼び掛けて貰えますか?!」
緊急事態に該当するからかどうしても早口になってしまう
「引き付けるって、あんた…」
「早く!!!」
町の人が何かを言おうとするが禅問答している余裕はない
私は剣を抜いて魔力を付与した瞬間、炎が剣に纏わりついてくる、が…
「まだだ…もっと荒れ狂え!!」
より一層魔力を込めて刀身全てに炎を纏い火柱が立ち上っていく
「ギギギギ…」
「ギャギャギャ…」
「ギチギチギチ…」
その火柱を見て魔物たちは不快としか表現のできない鳴き声の様な音をあげて一斉に襲い掛かってきた
「魔物と言っても虫は虫か…」
独り言を呟いて剣を構える
炎を付与された剣は通常の長さよりも約3倍程ほど長くなり太く見える
「「ギャギャギャギャ!!!」」
「サークルエンド…」
襲い掛かって来る直前にスキルを発動させて襲い掛かって来る魔物を斬り刻んでいく
ある魔物は焼かれ、ある魔物は首を飛ばされているにも関わらず何処から現れているのだ?という疑問が出るほどに魔物が際限なく襲い掛かって来る
…
……
「ギ…ギ…」
「ふぅ。」
最後だと思われる魔物を焼いて一息ついた
約200体程度だろうか?何の前触れも無く見た事のない魔物がこの数で襲い掛かって来るのはただ事ではないな…
そんな事を考えているとあの女の子の声が聞こえた
「アカノ様、凄いです!!流石です!!」
その声を聞いて振り返るとロールが笑顔でこちらに向かって入ってきている
「駄目だ!!来るな!!」
私はその光景を見て思わず叫ぶ
「へ?」
彼女はキョトンとして立ち止まる
「くっ!!」
私が見た光景をどうにかせんと動き出す
こちらに向かって来る彼女のすぐ後ろから黒い魔力弾が迫っているのを弾く為に彼女に向かって走り出した
--ドゴォーーーンーー
その瞬間、苛烈な爆発音が町中に鳴り響く
「ア…カ…ノ…様?」
寸前の所で間に合いロールは無事だった
今も震えてはいるが外傷なないだろう
けれども…
「グッ!!」
私は思わず表情をゆがめてしまう
彼女を庇った時に魔力弾を左肩に掠めてしまい血が滴り落ちてしまう
私はそこら辺の防具を使用している訳では無い
軽量の鎧とはいえ国宝級に匹敵する魔法防御、物理防御に優れた鎧を装備している
にも関わらず魔力弾一撃で鎧を貫通し私にケガを負わせるのはかなり高位の魔物と言っても差し支えないだろう
「アカノ様?!!」
ロールが青ざめた表情で私に声を掛けてくる
「だ、大丈夫…腕は動く…早く逃げなさい…」
事実、腕は痛みを伴いながらも動きはする
ただ…先程の魔力弾を放った魔物が相手となれば、片腕では厳しいと言わざるを得ないが…
剣を片腕で構えて近づいてくる魔物と対峙する
「ロール!早く逃げろ!!」
私が振り返りもせずに声を張り上げる
「だ…駄目です…体に力が…入りません…」
後ろから弱々しい声が聞こえる
マズイ…彼女を庇いながら片手で戦える余裕がある相手ではない…
そんな焦燥感を募らせる私に対して
「おいおいおいおい…マジかよ…何でここにお前がいるんだぁ?」
「え…」
ニヤニヤしながら現れた相手は手傷は負っているものの
最悪な事に…
「ロ…ローエル……?」
魔物ではなく魔族化した、【勇者】ローエルだった…
いつも有難う御座います!!
ローエルさんキターーーーーーーー!!
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