アカノと同行の要望
その後、ギルド支部長との面会はスムーズに実現した
なんでも評議会本部から知らせが来ていたらしく至極丁寧に応対をしてくれる
その際にもし黒髪黒目の青年の情報が出たら教えてもらう様に要請すると快諾された
「アカノ様、本日の用事はこれで完了でしょうか?」
そう言いながらロールはコチラに笑みを向けてくれる
「そうだね…後は私自身で市場等に向かって聞き込みかな?」
そう告げると両手に拳いしてやる気を漲らせる
「となるとここからが私が同行させて頂きました本領発揮ですね!!」
「あはは…期待しているよ。」
そう答えると益々やる気を漲らせていた
◇
あれから16日が経過した
その間もロールと共に聞込みを行ったり、ギルドや評議会支部に出向いたが有力な情報を得る事は出来なかった
正直、直ぐにでも帝国に向かいたかったがルナエラからの情報を待っている現状では旅立つ事も出来ないのが面映ゆい
「アカノ様、無事に連れの者の心労も回復し、商売の目途も立ちました。本日には本来の目的地に向けて出発しようと思います。」
そう行商人の長が挨拶をしてくれる
「そうですか…回復されて何よりです。これからの旅路の無事を祈っております。」
「アカノ様も。まぁ【剣聖】様にその様な心配はないでしょうが…」
そう言いながらハハハっと笑う
それなりの期間を供にしていたのでどうやら素性はロールから割れていたらしい
だが必要以上にへりくだる訳でもない彼らに対して好感を抱いていた
「この度は本当に有難う御座いました。さぁロール、行こうか。」
そう言いながら商人はロールに声を掛けるが、当の本人が俯いて動こうとしない
「ロール?」
行商人が再度声を掛けるにも何も言わない
私がどうしたんだろう?という表情をした途端、彼女は顔を上げ決意を秘めた表情で商人を見る
「ご、ご主人様!!勝手を言っているのは重々承知しております!!わ、私に少しの間お暇を頂けませんでしょうか?!」
その言葉に行商人たちも勿論私も驚いた表情をあらわす
「わ、私はまだアカノ様に恩を返せたと考えておりません!ご家族を探すお手伝いをしたいんです!黒髪の私を差別する事なく接して頂いた事は心より感謝しております!!どうか…どうかお願い致します!!」
そう言いながらピョコンとお辞儀をする
それを見た行商人は難しい顔をしてからフッと息を吐く
「アカノ様…ロールはその様に申しておりますが如何でしょうか?」
そう私の方へ視線を向けて尋ねてくる
私は少し困った表情をしてしまう
「彼女の気持ちは嬉しいですし、有難いとも思いますが…私の旅は苛酷を極めます。この町に着くまでに魔物は無数に遭遇し、山賊は2組、魔族2人と出くわしています。正直…彼女に務まると思いません。」
実際にその通りであるし、正直彼女のペースで移動すると日数が倍掛かるだろう
情報を一刻も早く確かめたい私としてはご免こうむりたい
私がそう言うと行商人の長は頷いてロールの方へ向き直す
「ロール…君のその気持ちは大切なモノだし、商人として育てた私も誇らしく思う。けれどもアカノ様の旅に君は助けになり得ない。一緒に行こうじゃないか。」
ロールは悔しそうな表情をして目に涙をため込んでいる
申し訳ない気持ちになるがこればかりは許容出来ない…
「それでも!!私は!!」
ドゴーーーーン
彼女がそう言った瞬間、街に中心部近くに強烈な破壊音がコダマする
「な、なんだ?!」
狼狽える周りの人を一瞥し私は直ぐに走り出す
「私が見てまいります!!アナタたちは一旦町の外に出ずに何処かで隠れていてください!!」
「あ、アカノ様!私も!!」
ロールが何かを言っていたが私の足は既に音がした方へ走り去っていた
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