アカノの動向と同行
行商人たちを盗賊から解放した後、彼らの誘導に従い最寄りの町へ移動した。
帝国につけばすぐに売られる手筈だったらしく、衣服や路銀に関しては奪われていなかったのが幸いし、行商人の長が従業員を含めた全員分の宿を取る
そんなつもりは無かったと言ったのだが、強引に私の分の宿まで手配してくれた
「ふぅ…」
あてがわれた宿の部屋でも深い溜息を吐いてしまう…
その瞬間、涙がとめどなく溢れてくる
クロノじゃなかった…
クロノがいなかった…
クロノは…もう…いないのだろうか
最早手掛かりらしい手掛かりもない
あるのは限りなく低い可能性である他国の黒髪黒目の人族の目撃情報のみ
重症である筈の彼がそこまで逃げる事は事実上不可能だ
クロノは…【嘆きの森】で魔物に殺されたのだろうか…
私は有りもしない可能性を追いかけているのだろうか…
考えれば考える程に思考はぐちゃぐちゃになり、感情は渦巻き判断が出来ない…
泣き声と嗚咽だけが部屋に響き渡る
「…っ!!…ぐっ…!ああああーーーーー!!」
私は…私は…そんな行き場のない怒りと絶望、後悔がどうしても払拭されない
慟哭と後悔を胸に私はその日、泣き疲れて眠ってしまった…
◇
「それでは、旅の御方…この度は本当に有難う御座いました。」
「「有難う御座いました。」」
次の日の朝、うやうやしく行商一行に頭を下げられる
「いえ…ですが皆さん無事でなによりでした。」
流石に自分で助けた上に宿を取って貰った手前、顔を合わせない訳にもいかない…
「私どもの中には精神的にショックを受けているものも多く、又、商人として商品関係業務も御座いますのでこの町に暫く滞在しようと考えておりますが、貴女様はどうなさりますか?」
確かにあの様な事が起きたばかりだ
直ぐに立ち直れる者はそう多くないだろう
私は…
「私は取り敢えず、ギルドへ向かおうと考えているのですが、この町にギルドがあるかご存知でしょうか?」
私がそう尋ねると頷きながら答えてくれる
「はい、この町にもギルドは御座いますよ。首都の方と比べますと小振りではありますが。」
ルナエラへの報告義務があるだけで依頼を受けるつもりがない為にギルドがあれば充分だ
「有難う御座います。それでは私はギルドへ向かってから今後の行先を検討したいと思います。」
「畏まりました。それでは貴女様がこの町に滞在される期間の宿代くらいは私の方で負担させて下さい。」
そう言いながら恭しく頭を下げてくる
「い、いえ!そんなつもりであなた方を救助した訳では…」
そう言って畏まる私にニコニコしながら首を振って来る
「貴女がロールに声を掛けた所を見ると、人をお探しがキッカケで我々は救助された事くらいは理解しております。それでも私たちは貴女様に助けられたのは事実です。この程度しか出来ない事が心苦しくもありますが…せめてそれ位はさせて頂けませんでしょうか?」
そこまで言われてしまうと、どうにも無下には出来ない…
「はぁ、それでは…この町に滞在の間だけお願い致します…」
そう言いながら私も頭を下げる
「ご、ご主人様!!私が旅の御方のお供に向かいます!!」
そんな私たちに対して行商人一行の中から声が聞こえる
その声の主を見ると、例の黒髪、緑目の女の子、ロールと言われていた子だった
それを聞いて行商人の長は焦り出す
「こら、ロール!こちらの御方は人探しで四方八方に動かれるのだ。お前が傍に居れば、ご自分の思う通りに動けないでは無いか?!」
正直、私もその通りだと思うので断りたい
そんな私の思いを他所にロールは話を続ける
「でもご主人様!こちらの御方が知りたい御方の事を、商人の私たちの誰かがいれば一助出来るかもしれません。しかも、突然この方が町を飛び出されると私たちも心苦しいではないですか?」
その言葉を聞いて私と商人の長はハッとした表情となり思案する
私としては【サンドール商業国】の評議会から情報を得たので、これ以上商人から情報は出てこないと思っていたが…手詰まりとなった今、些細な情報が欲しいというのも確かだった…
「旅の御方…申し訳ございませんが…」
「いえ、彼女の言う事も最もです。私の方もお願いします。」
こうして町にいる間だけはロールという女の子と同行する事となったのだった…
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