アカノの発見と判明
「はーーーー……」
思わず深い溜息をついてしまう
「まぁまぁアカノ様、溜息をついたら幸せが逃げていくと昔の偉い人は言っていたそうですよ。ここは前向きに私みたいキュートで明るい女の子に好かれた事に喜びましょう!!」
そう言いながら横で女の子がニコニコと笑いながらそう言う
「はは…そうだね…」
どうしても笑顔がひきつってしまうのは致し方無いと思う
私は一刻も早くクロノを探しに出向きたいのに…
何の因果が女の子に懐かれてしまった
それも…黒髪緑目の女の子に…
◇
【サンドール商業国】の首都で情報を貰った私は帝国に向かう道をほぼ飲まず食わずで進んでいった
「ギャッ!!」
「グェ!!」
「お、おま」
道中で現れる魔物や盗賊等はノータイムで斬り伏せながら突き進んでいった
クロノを乗せているかもしれない馬車は約3日前には帝国へ向かっている
通常商人たちで10日のペースで行く事が出来る道中であれば、単身の私であれば途中で遭遇できる可能性は高い
私が首都を出て3日後の夜、遂に目的の馬車を見つける事が出来た
馬車は道路脇に止めて火を囲み酒盛りをしている
捕まった人族たちは……いた!!
荷馬車の鉄格子の中で全員が震えていた
「しかし…後3日、4日か…長ぇなぁ…」
「だな~…娯楽も無けりゃ、女が目の前にいるのに抱けやしねぇ…」
「おい…全員でヤッちまうか?全員そろそろ限界だろ??」
「止めとけ、兄貴に知られたら俺たち普通には殺されねぇぞ…」
「だな~…兄貴は人を甚振るのが趣味みたいな人だからな…」
「帝国に着いたら色町に直行だな!!」
会話を聞いているだけで耳が腐りそうな内容だな
奴等の命を顧みる必要は無いと判断し、人質にならない様に鉄格子のある馬車付近に移動する
火の回りにいるや奴らが荷馬車を引いている全員である事を確認し行動を開始した
「ギャ」
まずはこちらに背を向けていた男の首を斬り落とす
「な、なんだ?!」
「うぉ!!」
そこから両脇にいた男二人に斬りつける
「お前何者だ?!」
「やろっ!!」
こちらに向かってきた男を斬り捨て、委縮していた男の首を斬った所で盗賊の残りは1人となった
「お…お前何者だ?!俺たちが何をしたってんだ?!」
男はガタガタと震えながら手入れを怠っている短剣をこちらに向けてくる
戦意が無い事は分かっていたし、奴らからすれば何故という気持ちは多少は分かるが、こいつと問答する時間すら惜しい
「……」
私は何も言わずに目の前の男の手首を斬り、その流れから首を斬った
男を斬り捨てた後、どこかに潜んでいる盗賊がいないか気配を探るも気配を感じ取らなかった為に鉄格子の傍へ向かった
「……」
「……」
鉄格子の中の人族は皆一様に私に対して怯えていた
「驚かせてしまい、すまない。私は人探しの旅をしている途中であなた達の事を知って助けに来ただけだ。君たちに危害を加えるつもりはない。」
こんな時には弁が立たない自分が恨めしく思ってしまう…
けれど彼らには伝わった様で表情が明るくなり、喜びの声を上げる者もいた
私は鉄格子の錠を斬り、閉じ込められていた人族を開放すると、彼らは我先にと鉄格子から飛び出し喜んだり互いを抱擁したりしていた
鉄格子から出てくる人族を確認しつつ最後の1人が出てきた
若干すす汚れているが、間違いなく黒髪だ
「クロノ!!」
私は思わず声を荒げると声を掛けられた人族がビクッと震えると
「……はえ??」
そう言ってこちらに向けてきた顔は黒髪だが緑目の女の子だった
年は13歳前後だろうか?まだ成人もしていなさそうな年頃だった
改めて見ると姿形でクロノではないと直ぐに判別できる位ことなるのだが、クロノと同じ髪の色というだけで見間違えてしまった…
「き、君は…」
絶望と悲観している感情の中、やっとの事でその言葉を紡ぐ
「私はリステット!!お姉ちゃん、助けてくれてありがとう!!」
そう言ってあどけなく笑う彼女の笑顔にも落ち込んでしまう自分に自己嫌悪した…
いつも有難う御座います!!
Ⅴ章開始です!!
頭の中では何となくストーリーは仕上がっておりますので可能な限りハイペースで頑張ります!!
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