クロノの指名と任命
◇
ロキフェルとの同盟締結から数日後、僕らは【黒家クロノス】と【遊戯国トリクトリロ】は同盟を結んだ旨の共同声明を発表した
その効果により、侵攻してきた近隣諸国の動きは目に見えて鈍くなり現場判断の小競り合いが数度あった位で収まった
「どうやら僕が思っていた以上にトリクトリロとの同盟は他国にとっては脅威みたいだね。」
私室で飲み物を飲みながらルーシャに声を掛けると彼女は頷いた
「そうですね。トリクトリロは近隣諸国と比べますと、軍事面や貿易面は頭1つ抜けておりました。しかし【魔王】があの様な性格ですので他の【魔王】も扱いに手に余ると判断されておりましたから…」
「確かに掴み所の無い【魔王】だよね…ロキフェルの部下は大変だろうなぁ…」
彼の事を考えると苦笑いしてしまう
ルーシャはそんな僕の表情を見ながら頷く
「そうですね…あの方程気まぐれな方も珍しいですが、どの国の【魔王】も多かれ少なかれ我を通しますので…正直、国民の事を考えられるクロノ様の方が一般的には変わった魔王様だと思われていますよ?」
そう言って彼女は微笑んでくるが、それに対しても苦笑するしかなかった
それから他愛無い話を彼女と続けた後に本題を切り出す事にした
「ルーシャ、今日、君を呼んだのは明日の会議の事なんだ。」
「明日の会議ですか?」
反芻する彼女に頷いて話を続ける
「うん、僕は明日の会議で宰相として君を指名しようと思っているんだけど良いかな?」
それを聞いて彼女は驚いた表情を浮かべる
「君の行動を今まで見てきたけど全く問題無いと思うんだ。それに君は家臣たちから信頼もあるし進行力、統率力もある。自分で考えるという思考も持ち合わせているし適任だと思うんだ。」
そう言って彼女の目をしっかりと見つめる
水色の瞳が涙でぼやけているみたいだった
「私で…良いんでしょうか…?」
「君しか、君が良いんだ。」
彼女の言葉に強く頷きながらそう告げると両手で顔を覆いながら泣き出した
女性を泣かしてしまったという罪悪感があるが、悲しんでいる訳では無いと信じて泣き止むのを待つ事にしよう
…
……
「お騒がせしてしまい、申し訳ございませんでした。」
あれから落ち着き、目が赤くなった彼女が謝罪してくるが何でもないという素振りをする
「で、どうかな?ルーシャに宰相になって貰いたいんだけど。」
そう尋ねると、今度は目を見つめ返して返答してくれる
「重責ではありますが、クロノ様のご期待の応える事が出来る様に精一杯取り組ませて頂きます。」
「そっか、有難う…以前にも言ったけど、僕は魔族領の事を知ると同時に魔帝国へ向かう事を目的としている。その為には君みたいに信頼出来る人材は不可欠だからね…だから本当に嬉しいよ。」
「【真祖】様からの課題ですものね。でも私は【真祖】様がクロノ様をこの地に転移して頂き心から感謝しております。」
照れた表情で返答してくれる
「もしかしたらあの人はこの国の実情を把握していたのかもね…」
そう言いながら飲み物に口を付けて思案する
ブロウドさんはあの時、選択肢を3つ用意したけども…どの選択肢を選んでもこの国に転移させたかもしれない
復讐を選べば人族領に近いこの場所を、放浪の旅を選べば魔族領と人族領の境界線近いこの場所を…
考えれば考える程にそんな気になってきたな
今度お逢いしたら必ず問い質そうと、そう決意した
「後は決めないといけない役職は何があるかな?」
「そうですね…騎士団長、副団長、部隊長は決めなければいけませんね。後は財務を担当する者と、外務と貿易を担当する者、農業関係を担当する者は必須です。」
その言葉を聞いて頷きながら返答する
「確かに最低限それは必要だよね。それで思い出したんだけど…グーガはどうして副団長だったの?彼は強いの?」
僕がそう尋ねると可笑しそうに笑いながら頷く
「確かにあまり強そうには見えませんが、あれでいざという時は強いんですよ。それに彼は器用で多方面にも秀でておりますから。」
そんな他愛ない話をしている内に夜は更けていった
いつも有難う御座います!!
これにてⅣ章本編は終了です!!
今後の流れもある程度まとまっているのですが、続きを書くとアカノさんが非常に遠くなってしまう可能性がありますので…
【間章】を2つか3つ挟んでⅤ章へ行こうと思いますので今後お宜しくお願い致します!!
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