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アカノクロノ  作者: ばてぃ〜
最終章【解体神書】
637/640

【呼応・鼓動】


ーーービクンーーー


「っっ?!!!」


時を同じくしてクロノの脳、若しくは心とも言える場所で途方に暮れていた【暴喰神】は目の前のクロノが僅かに痙攣した事に目を見開いた


だが、それもホンの僅かな事・・・

相変わらずクロノの瞳は虚ろであり焦点も定まっては居ない


「主様っ?!!意識は、意識はあるんかえ?!!妾の声が聞こえるんかえ?!!」


だがそれでもクロノ自身が僅かに動いた事に【暴喰神】は歓喜する

そしてそれと同時に、今この好機を逃してはならないと必死に声を張り上げる


「主様っ!!妾は此処え!!主様はこの世界を【神】から解放するんえ?!こんな所で呆けている場合やあらへんえ!!!」


【暴喰神】がそう叫ぶと同時に、クロノの身体はまた僅かながら痙攣する

反応があるという事は未だ見込みがあるという事だと解釈するが、そもそも何故痙攣しているのか?という疑問に今更ながら考えが至る


「・・・・・・なんえ?」


そしてそこで初めて、自分が居るこの空間全体が何かに押し上げられ様としている事を感覚で感じ取った


「場が・・・なんかに引っ張られている様な感覚え。・・・主様はこの感覚に引っ張られて動いているのかえ?」


そう呟いてホンの僅かだけ思案する

この感覚は何なのか?引っ張らせておくだけで良いのか?

何故一気に吸い込まれないのか?自分はどうすれば良いのか?


僅か1秒にも満たない逡巡ではあったが、【暴喰神】の回答は非常に早かった


「要は・・・()()を喰えばええんやねぇ?・・・妾のスキルは何でも喰らう。生物もスキルも記憶も時間ですら・・・そんな妾にこの程度のスキル、どうも出来ひん訳がありゃしませんよって・・・【廻帰月喰】。」


そう言うと同時に【暴喰神】は一気に魔力を放出させ、数百の巨大な触手を顕現させる

そして何でかわからんけど、今日の触手はいつも以上に獰猛に見えるなぁ・・・と冷めた目で【廻帰月喰】で呼び出した触手達に向かって【暴喰神】は指示を口にする


「ほな、やろか?この何かを引っ張る感覚・・・それを邪魔しとる膜みたいなモンを喰い晒せ。一片も一欠けらの存在も許さんえ。この引っ張る感覚を助けるんえ。ほなら・・・いけっ!!!」


そう檄を飛ばした瞬間、数百にも及び巨大な触手達は一気に四方八方に飛び掛かり、何も無い筈の空間を喰らいだした


・・・【暴喰神】の回答は非常にシンプルだった

この引っ張られる感覚があったからこそクロノは僅かに動いた

逆にこの感覚が無かったならば先程と同様、何を叫んでもクロノはピクリとも動かないだろう

だったらこの感覚の手助けをすれば何らかの変化はある筈だという一見深く考えてもいない様な回答により【廻帰月喰】を発動させたのだ


そして・・・

そこらかしこの空間で触手達が顎を広げて嚙み砕く仕草を行う度にクロノの身体がガクッと動き出した


「主様っっ!!!」


ーービクッーー



ーーービクビクビクーーー



ーーービクビクビクビクビクビクビクビクビクビクーーー



「主様っ!こっちえ!!こっちに戻って来るんえっっ!!!」


泣き叫ぶかの様な【暴喰神】の声が空間に響き渡る

そして【暴喰神】の叫びに呼応するかの様にクロノの身体が急激に光り輝いてきたのだった


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