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アカノクロノ  作者: ばてぃ〜
最終章【解体神書】
634/640

【絞殺・考察】


「意気揚々と挑んだ挙句、その体たらくは一体なんえっ?!!妾はそんなもんを眺める為に主さんに付いて来た訳やないえっ?!!!」


「・・・・・・・・・」


その【神】・・・【暴喰神】は猛っていた

自分が敗北した人族・・・クロノ=エンドロールが彼自身が望む未来を掴む光景を見る為にこの2年間、付き従っていたのだ

まぁ、本人は付き従っていたとう事実を否定するだろうが・・・


にも拘わらず・・・その夢が手を伸ばせば届こう場所まで辿り着いたにも拘わらず、【絶対者】ともいうべき【神】に呆気なく敗北するその様は滑稽であると同時に怒りが沸々と湧き上がってきたのだ


「立つんえ!!!立って自分の足で、手でつかみ取るんえ!!!それが【神】を倒した主さんの義務えっ!!」


「・・・・・・・・・」


「・・・・・・主さん・・・・・・」


だがどんな叱咤激励もクロノの耳には届かず、何の反応も示さない様子に流石の【暴喰神】も肩を落とす

このままではあと数刻もすれば完全に廃人と化したまま死んで逝くだろう

それを本能で感じ取っていた


「主さん・・・主さんはそんなに疲れたかえ?幾ら【神】が相手とは言え・・・本当に全てを忘れてしまったのかえ?」


「・・・・・・・・・」


「主さん・・・主さんが言うてはった姉さんの事も、お師さんの事も、同胞(はらから)はん達の事も・・・本当に全てを忘れてしもうたんかえ?」


「・・・・・・・・・」


「このまま此処で終わってしもうたら・・・ホンマに無駄死にえ?」


「・・・・・・・・・」


「妾は・・・妾は喰らう事は出来るえ・・・けど・・・消失しもうた記憶を戻すなんて事は出来ひん・・・主さん・・・ホンマに・・・ホンマに此処で御終いなんか?」


何一つ反応を示さないクロノに対して、【暴喰神】は首を垂れ、力なくそう呟くしか手段は無かった・・・



「・・・さて、このまま朽ち果てるまで調度品の様に飾っておきたい所だけど、残念ながら私は君が視界に入る事で僅かながら不快に感じるらしい。」


【神】はそう言いながら何の反応も示さないクロノへと近づいていく

その表情は不快であるという言葉とは裏腹に少し楽しげな表情を映す


「実際大したものだよ。世界を俯瞰的に記録する私が一個人を不快に思うなんて・・・少なくとも今までもそうは無かった。」


【神】はひざを曲げ、クロノと同じ目線に顔を近づけて優しく語る様な声色で言葉を続ける


「・・・微かに息をしているね。知識としては無くとも本能の部分で呼吸という活動を行っている、か。【無知】であっても本能には逆らえないという事か。だからこそ【無知】は7つ揃った【大罪】には勝てないという事なんだろうね。」


そう言いながら誰に言うでも無く、一人で納得した表情を浮かべる

そしてそこから急に話題を変える様に軽い口調でも物言わぬクロノへ語り掛ける


「ところでね、私は今まで無限の生物を滅してきた。だが・・・実は首を絞めて殺すという事を行った事が無いんだよ。」


「・・・・・・・・・」


「理由は単純でね、私自らが首を絞めて殺害する価値などあるモノが居なかったという理由だけなのだがね。シンプルで原始的、そしてこれ程直接的な殺害方法など他には無いだろう?そこまでの労力に見合い、関心のあるものが居なかったんだよ。」


そう言いながら【神】は静かにクロノの首に手を近づけていく

クロノは当然の様に手に対して反応を示す事なく、容易に首元に手が掛かった


「だから君が初めてだ。私の眼前までやって来て、私を此処まで不快にさせたモノは、ね。そんな君だからこそ・・・私は君をこの様にしてあげたい。」


そう呟いて僅かに手に力を入れる

だがクロノは首が絞まっているいる状況にも拘わらず、【神】を見ずにされるがままとなっていた・・・

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