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アカノクロノ  作者: ばてぃ〜
最終章【解体神書】
633/640

【屍・柵】


「・・・・・・詰まらない。」


目の前で廃人と化した男を見下ろしながらサイクスは心底ウンザリしたかの様な表情で呟く

彼の心情からすればこの最大の失敗作とも言える世界でさらに世界を引っ搔き回してきた存在が目の前の男だ


そんな男であれば予定調和な結末などでは無く、自分自身の想定していなかったイレギュラーを引き起こしてくれるのではないか?という期待も少なからず存在していた


が、残念ながら期待した男は【記憶の衣】が捲れ上がる様に対して明確な対抗手段を持つ事も無く、他の有象無象と同様に自分に対してされるがまま、そして廃人と化してしまったという如何にも予定調和な結末を迎えたのだからその気持ちも理解出来なくはない


「・・・この世界の審判は降りた。これ以上見るべきことも行うべき事もないこの世界は・・・終焉を迎えさせる。」


目の前で【無知ナ脳】の効力により、呼吸すら出来ているのかも怪しい男・・・クロノ=エンドロールに対してそう語り掛けるが・・・当然なのか必然なのか、クロノがその言葉に反応する事は無かった・・・



「・・・・・・・・・・・・」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



クロノは驚くほどに何も考えていなかった

いや、何も考えられないでいたという方が正しいのだろうか?


目は開いていても何も見ず、耳は聞こえていても何も聞かず・・・彼の脳は全ての思考を止めていた


(・・・・・・・・・・)


驚くべき事に内心の思考ですら何も考えていない状況は文字通り生きた屍と揶揄しても何ら異論はないだろう

彼に対し、誰かが話しかけてもピクリとも動かないであろうし、仮に誰かが彼を傷つけても何も感じずにされるがままであろう


それは最早生きているとは言えない様な状況であることは誰の目から見ても明らかだった


「・・・・、・・・・・・・・」


そしてそんな彼に対して、誰かが声を掛けていた

だがクロノはその声に対し、何も聞こえていないかの様に・・・いや、実際に聞こえていないのであろうが・・・眉を僅かに動かせる事も無い


「・・・・・・、・・・・・・・・!!!!!」


何の反応も示さないクロノに対して、尚も声の主は声を張り上げてクロノを呼ぶ

・・・・・・だが、そんな声ですらクロノは反応を一切示さない


「起きるえ!!!こんな薄ら寒い三文芝居を観に妾は此処まで主さんについてきたんやないえっっ!!!」


そう言いながら脳内でクロノに必死に詰め寄るのは・・・意外にも【暴喰神】だった

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