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アカノクロノ  作者: ばてぃ〜
最終章【解体神書】
631/640

【大罪・廃材】


「僕とフロウ・・・」


クロノはサイクスの言葉を反芻させながら思い出していった

帝国で初めてサイクスに会った時の既視感・・・あれは幼少期に出逢っていたからこその感情だったのだろうと

そして今更ながら幼少期の朧げな記憶を脳内から引っ張り出していく


「正直、君に対してはさっさと処分しようと思ってはいたのだよ。ただ・・・初めての双子の誕生だからね、観察や実験を行う余地があると思い生かしておいたのだけれど・・・それが失敗だった訳だ。」


「・・・・・・?」


何を言いたいのか理解できず、サイクスの真意を探るべくクロノは顔を覗き込む

だが、覗き込む必要も無い程にサイクスの表情は苦渋に満ちていた


「カノン=エンドロール・・・まさかたかだか人族の冒険者にお前を攫われるとはね・・・」


「・・・攫われたんじゃない、助けられたんだ。」


「それは君目線の話だろ?私目線では攫われたのだよ。本来ならだれも来る筈もない土地にわざわざ移住してひっそりと研究していたにも拘わらず、ね。」


「・・・・・・」


そう淡々と説明している口調とは裏腹に、珍しくサイクスは怒りを滲ませる表情を浮かべる


「あの時は正直、そこまで重要視していなかった。既に黒髪黒目による暴走で人族領には【不吉の象徴】という字名まで浸透していたしね。ましてや君は人族にも劣る廃棄作だ・・・観察も終わったし、何らなら手間が省けて助かったと思ったくらいだよ。」


「・・・・・・良かったじゃないか。」


クロノは自分の事を失敗作、廃棄作と言われているにも拘わらず少しも心が痛まないのは目の前の【神】に対して何も感じていないからなのだろうと理解する

だが・・・そんな彼の合いの手がサイクスの怒りをより誘発させてしまった


「良かった?良かっただと?・・・あぁ、君が大人しくくたばってくれていれば良かったのだろうね。だが君は・・・何もない廃棄作だった君は、魔族となり、【魔王】となり、【魔皇帝】となり【魔神】となった。そして・・・出来損ないに勝利し・・・そして【可愛い我が子】をも屠ったのだろう?」


彼がそう言った瞬間、ゾワッとした寒気が背筋を走る

クロノは慌てて拳を引こうとするも、サイクスに掴まれた拳はピクリとも動かなかった・・・


「怒っているのが自分だけだと思ったかい、クロノ=エンドロール。君の存在がこの世界を失敗作にした上に、我が子すらも失ったという怒りで私もまた・・・腸が煮えくり返りそうだったんだよ。」


「くっ・・・【暴喰ノ「無意味だ。」」


【暴喰ノ口】を発動させようとしたその瞬間、サイクスの一言でたちまち霧散していく


「なら【怠惰ナ「許可しない。」」


どうにか逃れようと試みるも、発動させる間もなくキャンセルさせられてしまう


「【強欲「無礼者。」・・・くっ!!!」


どのスキルも即座にキャンセルされてしまう打つ術が無くなりっていくクロノに対し、サイクスは何を思ったのかクロノの拳を突如に解放させる


「クロノ・・・クロノ=エンドロール。君は【大罪スキル】を複数所持しているね?・・・幾つ持っている?」


「・・・5つだ。」


【暴喰】、【強欲】、【怠惰】、【憤怒】、【嫉妬】と内心数えながらそう答える


「そうだねぇ・・・ならば質問だ。【大罪スキル】は全部で幾つあると思う?」


「・・・伝承では7つと書いてあった。」


サイクスの質問の意図が読めないまま、クロノは正直に答える


「そうだね、【暴喰】、【強欲】、【怠惰】、【憤怒】、【嫉妬】・・・そして【傲慢】と【色欲】と合わせて7つだ。だが残念ながら正解は7つではない。」


「・・・・・・だから?」


「生物は存在するが故に背負わざるべき大罪・・・それが【大罪スキル】の根源だ。その根源で1番近く、1番誰もが背負っているのに忘れられた【大罪スキル】があるのだよ。だから正解は・・・8つだ。」


そう言うと同時にサイクスの魔力が異様なほどに膨れ上がっていった







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