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アカノクロノ  作者: ばてぃ〜
最終章【解体神書】
630/640

【記憶・比翼】


そしてそのままサイクスの独演会は続いていく


「2つ目の世界を出来損ないから取り上げて改変する事だけどね。これは一考する価値があったのだけど却下した。理由は労力に対する対価が余りにも少なく、且つ余りにも不透明だからね。何でもそうだけど0から創り上げるよりも途中から改変する方が時間も労力も格段に増してしまうんだ。それに伴う不測の事態を観察する事も考えたけどね・・・やっぱり割に合わない。そして最後に3つ目。」


そう告げると口元に笑みを浮かべる


「私はこの世界の内側から改変する事を選択した訳だけど、メリットは大きく分けて3つある。1から改変する事と違い、自分の周りから改変する訳だから労力が少ない。そして出来損ない達がどの様な世界を創り上げるのかという世界の行く末を観察できる、そして私が自由に動き回れるというかなり大きなメリットが存在したんだ。」


「・・・詰まり始めから・・・この世界に降り立った時から計画していたという事か?」


「勿論その通りだとも。先ほども言っただろう?神は見守らずただ観察をするだけだ、とね。この世界に降りたたずとも観察できるにも拘わらず、この世界に降り立ったのならばそれ相応の理由はあるものなのさ。」


サイクスの何でもないという素振りや表情、声色の全てがクロノに対し怒りを誘発させる

けれどクロノはその怒りを発散させる事なく、胸の内に必死になって押しこめながら言葉をつづけた


「・・・ブロウドさんから聞いたお前の生い立ちは?」


「ふん。出来損ないが創ったモノならいざ知らず、自分自身が創ったモノであれば記憶も記録も価値観すら弄る事は容易いよ。」


「・・・詰まり、ブロウドさんの記憶を弄ったって訳だ?」


これ以上にない程の怒り・・・それこそあと一押しで暴発しても可笑しくはない怒りを必死に蓋しようとするクロノに対し、サイクスの言葉は余りに軽薄だった


「その通りだ。龍族は論外として、魔族に降り立つには絶対数が少ない上に国境を容易に行き来できないからね。数が多く、国々を渡り歩きやすく、擬態も容易な人族になるのが1番効率的だ。だが実験過程でブロウドには目を付けられたからね・・・こう、ちょっことね。」


その言葉を聞き終えた瞬間、クロノはサイクスに殴りかかっていく

だが・・・渾身の一撃ですら、サイクスに片手で受け止められてしまった・・・


「まぁ落ち着きなよ。私が弄ったのは私に対してのみで、それ以外の一切は手を加えていないからさ。」


「ふぅー・・・ふぅー・・・」


サイクスの言葉が聞こえているか否かは定かではないが・・・クロノは必死に怒りに身を任せる事から抵抗し続けていた

だがサイクスはそんな怒りの境界線すら容易に超え、そしてクロノの怒りを容易にいなしていく

そしてクロノの拳など何でも無いという風に拳を受け止めながら言葉を続ける


「順調だったんだよ?300年の研究の成果で10組の交配で1組の黒髪黒目を生み出す所まで行きついたんだ。・・・まぁ本能のまま動き出す知性を持たないモノは処分したけどね。最終的には黒髪黒目の双子を生み出す所まで行きついたんだ。」


「・・・・・・双子?」


クロノは黒髪黒目の双子と言われ、ピンときた表情を浮かべ言葉を反芻する

クロノの言葉にサイクスは「そうだ。」と短く肯定し、さらに言葉を続ける


「まさか黒髪黒目の双子まで生み出せる事は想定外だったがね。より想定外だったのは1人はこれまでで1番理性的且つ、実力も抜きんでていた事かな?彼女は順調に育っていけば出来損ないを超える存在として成長すると思っていたよ。そしてもう1つの想定外だった出来事が・・・弟の方は理性的ではあるものの人族よりも脆弱な存在として生まれてしまった事だ。」


「・・・それって」


「勿論、君と彼女・・・あぁフロウと名付けたのかな?君たちの事だよ。」


サイクスはなんてことも無い様にクロノの疑問に返答した

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